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システム思考で、過去と未来を見る

ものごとを見るときには「見ているものが全てである」と考えがちです。

しかし実際には、ものごとの一部だけを見ていることがあります。

広い視野で全体を把握することが大切です。

さらに時間による変化を考えることも必要です。

ものごとは変化するからです。

本質を見落とさないために、広い視野で全体を見ながら、さらに時間による変化も見る方法を解説します。

システムの空間図

前回の記事では「ものごとの一部だけを見てしまう」状態、つまり木を見て森を見ずの状態を防ぐためのシステムの空間図を解説しました。
シリーズ記事(最後にあります)の「前回の記事」をご覧ください。

図1.システムの空間図

「システムの空間図」を使えば、大きく見たり、小さく見ることができます。

図2.大きく見て、小さく見る

ではこれで「今見ている(見えている)ものが全てである」という思い込みを完全に防ぐことができるでしょうか?

見ている(見えている)」とは、時間的には現在を表します。

つまり「今見ている(見えている)ものが全てである」には「現在の状態(状況)が全てである」という思い込みも含まれています。

時間による変化

「ものごとの本質を見落としてしまう」要因の2つ目は、「現在の状態(状況)が全てである」という思い込みです。

ものごとは、刻一刻と変化します。

現在見ているものは、いつまでもそのままとは限りません。

徐々に変化したり、急変することもあります。

また過去についても考えてみましょう。

現在見ているものは、以前には異なる状態だったかもしれません。

コップの中にが入っています。

その水は、少し前はでした。

現在見ているもの(水)は液体の状態ですが、固体の状態でした。

ものごとは変化します。時間による変化を考慮しないと、本質を見落としてしまうことがあります。

では、どうすればよいでしょうか?

先に説明した「システムの空間図」に時間軸を取り入れることができます。

システムの時間・空間図

「時間による変化」を考慮するために、空間図に時間軸を取り入れたものを、システムの時間・空間図と呼びます。

「システムの時間・空間図」のフォームを示します。

図3.システムの時間・空間図

時間・空間図の上下関係は、空間図と同じです。

図4.時間・空間図の上下関係

システムを中央にして

  • 上の欄:上位システム内の他のシステム

  • 中央の欄:システムにするもの

  • 下の欄:下位システム(構成要素)

を記入します。

また、時間・空間図の左右関係は、時間の関係になります。

図5.時間・空間図の左右関係

現在を中央にして

  • 左の欄:過去

  • 中央の欄:現在

  • 右の欄:未来

となります。

「過去・現在・未来」の「他のシステム・システム・構成要素」を記入します。

「システムの時間・空間図」は「3×3」の9つの欄で構成されます。

図3.システムの時間・空間図

時間・空間図の「縦軸/横軸」は

  • 縦軸:空間軸

  • 横軸:時間軸

になります。

図6.空間軸と時間軸

時間軸の設定

時間・空間図の時間軸の設定では、「何時いつ現在とするか」は自由です。

さらに「過去未来何時いつにするか」も自由です。

ものごとの変化を分析したい時には

  • 過去:1年間

  • 現在:今

  • 未来:1年後

といった設定ができます。

過去や未来との時間の間隔を変えるのも自由です。例えば

  • 過去:2年間

  • 現在:今

  • 未来:1年後

といった設定にするのも自由です。

また、問題の原因を分析したい場合には

  • 過去:問題の発生前

  • 現在:問題の発生中

  • 未来:問題の発生後

といった設定にすることができます。

発生前や発生後の時間の大きさは、大きく(日・時間単位)ても、小さく(分・秒単位)ても構いません。

発生前や発生後の時間が不明の場合は、「発生前」「発生後」だけでもOKです。

時間軸の設定は分析の対象に応じて、自由に設定することができます。

歴史や事業・ビジネスの結果など、長い時間軸が必要な分析対象もあれば、物理現象や化学変化など、比較的短い時間軸になる分析対象もあります。

分析対象に適した長さの時間軸を設定することで、より正確な分析を行うことができます。

では具体的な例を使って、システムの「時間による変化」を考えてみましょう。

木の時間・空間図

前回の記事では「木の空間図」を使って、木を大きく見たり、小さく見る分析を行いました。

図7.木の空間図

木(システム)と「他のシステム」の関係を考えることで、広い視野で全体を把握することができます。

さらに木(システム)と「構成要素」の関係を考えることで、より深く分析することができます。

では「木の時間・空間図」を作成しながら、木(システム)の時間による変化を考えていきましょう。

空間軸は、図7(木の空間図)と同じ空間軸を使います。

木をシステムにして、森を上位システムにします。

次は時間軸の設定を行います。

時間の長さは「春・夏・秋・冬」の季節単位にするのが良いでしょう。

まずは「何時いつを現在とするか」を決めます。

図7(木の空間図)のようすは、季節としてはといえます。

それで現在にしましょう。

図8.空間軸の現在

夏を現在にすると、過去を、未来をにすることができます。

図9.空間軸の過去と未来

空間軸の設定が完了しました。

次は、現在をベースにして、過去未来のようすを考えていきます。

図10.過去と未来を考える

では時間軸を戻して、過去のようすを考えましょう。

過去の時間・空間図

時間軸の過去はにしました。

まずはシステムから考えます。春(過去)のシステムは、どのような状態でしょうか?

まだ葉はなく、枝に花が咲いている状態です。

図11.春(過去)のシステム

次に他のシステムについては、どうでしょうか?

まだ周囲には草はありません。

それで他のシステム(の種類)が少なくなり「周囲の木・地面」になります。

図12.春(過去)の他のシステム

構成要素については、どうでしょうか?

葉はありませんが、代わりにが咲いています。

それで構成要素が少し変わり「幹・枝・・根」になります。

図13.春(過去)の構成要素

過去の「他のシステム・システム・構成要素」を考えました。

その結果、過去(春)のようすは、現在(夏)とは異なっていることがわかりました。

システムはで、その上位システムはという見方は変わりませんが、他のシステム構成要素変化しています。

時間軸を過去に戻してみると、時間による変化があることがわかりました。

次は、時間軸を進めて未来のようすを考えましょう。

未来の時間・空間図

時間軸の未来はにしました。

秋(未来)のシステムは、どのような状態でしょうか?

季節が進んで紅葉しています。それで葉の色が変化しています。

図14.秋(未来)のシステム

他のシステムについては、どうでしょうか?

周囲に草はありますが、枯れています。

他のシステム(の種類)は同じですが「周囲の草」については状態が変化しています。

図15.秋(未来)の他のシステム

構成要素については、どうでしょうか?

葉はありますが、葉の色が変化しています。

図16.秋(未来)の構成要素

未来の「他のシステム・システム・構成要素」を考えました。

その結果、未来(秋)のようすも、現在(夏)とは異なっていることがわかりました。

システムは木で、その上位システムは森という見方は同じでも、他のシステム構成要素変化しています。

時間軸を未来に進めた場合でも、時間による変化があることがわかりました。

今見ているものが全てではない

ものごとを見るときには、「見ているものが全てである」という思い込みが生じます。

現在の状態(状況)が全てである」という思い込みです。

「システムの時間・空間図」で、時間軸過去に戻し、さらに未来に進めて考えることで、そのような思い込みを取り除くことができます。

「今見ているものが全てではない」という気づきは、さまざまな発見につながります。

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