【vol.1~3】「実行力」を身に付けるためには何をしたらいいの?
今回は『後回しにしない技術(著:イ・ミンギュ)』を参考にさせていただいて、「実行する」ための方法を整理しようと思います。
特に今回は、(私の仕事のこともあり)受験のためのコーチングの視点で、学習者に実行してもらうための具体的なアクションをまとめます。
書籍内では、大人が仕事をするときに活用できる考え方も多数書かれていたので、是非読んでみることをオススメします。
事例や研究内容の記載も豊富で、抽象論になりがちなこの手の本の中では、具体的なアクションや意味がわかりやすいという印象です。
後回しにしない技術(著:イ・ミンギュ)
本記事では、書籍と照らし合わせやすいように、書籍内のタイトルと記載を引用させていただき、それについての受験コーチングとしての私なりの視点を追加する形で考えてみようと思います。
引用しながらになるのでとても長くなってしまい恐縮ですが、コーチングの際の具体的なアクションに繋げるネタとして読んでいただけると幸いです。
とても長くなってしまったので、決心編・実行編・維持編の3つにわけたものも投稿しています。
分けて読みたい方はそちらをお読みください。
vol.1 決心編
vol.2 実行編
vol.3 維持編
【大前提】実行力は資質ではなく技術だ
・実行力は生まれつきの資質ではなく、学んで練習すれば誰でも開発できる、一種の「技術」だ。(p6)
コーチングがサービスとして最も価値が出せるのは、まさにこの考え方が前提にあると思います。
コーチングでは「答えは本人の中にある」という考えのもと傾聴することが重要と言われます。全くもってその通りだと思います。
ただ、それで考えが整理されてスッキリしたから終わりというのは現実的には何も変わっていないという可能性が高いと言わざるを得ません。
短期的な悩みならそれで良いのですが、まさに受験のような長期的に考えるべき目的(仕事や生活、自己実現も実際ほとんど短期的な話ではないはずです)には、考えを整理して目的を決め、具体的なアクション(手段)を検討して、そしてそれを「実行」して初めて前に進められます。考えるだけでは何も生まれません。
したがって、考えを整理した後に、それを解決するために「実行」させることがコーチングの価値であり、そして「実行すること」はやる気というような気持ちの問題ではなく、再現性のある技術だからこそ、誰でも習得ができる、つまり、学べるものであると言えます。
・実行力は「決心―実行力―維持」という3段落からなる。(p8)
・決心の階段→実行の階段→維持の階段(p8)
こちら当たり前に思えますが、だからこそ改めてどのようなことが実現できる技術なのか、そのノウハウの段階を整理できるということです。
以下、この「決心・実行・維持」の3段階に分けて、コーチングで必要な姿勢や考え方を整理します。
【決心1】目標をイメージするだけではなぜ失敗するのか?
・ゴールではなくプロセスを「見える化」する(p24)
・「切実に願い、生き生きとイメージさえすれば、夢がかなう」といったプラスの自己暗示は、実際には思ったより効果はなく、目標を達成するうえでかえって邪魔になることもある(p25)
・「毎日生き生きとイメージしてごらん」と言って、そうではない大学生のグループと実際の中間テストの点数を比べてみた。研究の結果は予想を裏切るものだった。高い点数を取ったのは、イメージしなかった学生たちだったのだ。(p25)
まずこの点がコーチングの視点として重要で、目的だけをイメージさせるコミュニケーションのみは絶対にダメです。
ゴール(目的)に行きつくための解決策が大切であり、ある意味ゴールは結果論です。
つまり、実行が重要であるということです。
🌟コーチングポイント🌟
目的をイメージさせることよりも、実行プロセスを具体的に検討する
【決心2】実践を続けられる人の特徴
・イメージを現実にするには必ず満たしておくべき前提条件がある。それは、成功への道を探し出すこと。(p29)
・目標を達成した場面をイメージする「ゴールの視覚化(Outcome-oriented Visualization)」よりも、目的までのルートを正しくとらえる「プロセスの視覚化」の方が、ずっと重要なのだ。(p29)
・自分は目標達成の具体的な方法を探し出せる(p30)
学習者自身に手段を常に探し求める姿勢があればどんなことでも成功します。
ただ実際は、それができれば苦労はないというのが正直なところです。
だからこそ、そこをサポートして、一緒に考えるのがコーチの役割です。
🌟コーチングポイント🌟
実行するためのプロセス(手段)を探す手伝いをして、その姿勢を学習者に身に着けさせる
・目標を達成するには、ふたつの動機付けが必要だ。すなわち「スタート・モチベーション」と「持続モチベーション」だ。スタート・モチベーションは、目標を達成した状態をイメージすること(ゴールの視覚化)によってつくられ、持続モチベーションは目標達成までのプロセスによってつくられる。(p30)
個人的には、長期的目標と短期的目標という整理になると思います。
そもそも何かをしようと思うのは長期的な大きな目標があり、ただそれを実現するためには小さな短期的な目標を達成していく必要があります。
長期的な目標(行動目的)は悩んだときや心が折れそうになったときの戻り先になります。
短期的な目標は、正しい努力ができるプロセスの中で、ひとつずつクリアしていくべき具体的なアクションになります。
🌟コーチングポイント🌟
長期的な目標(=最終的な目的)を戻り先として、それを実現するために小さな具体的なアクション(やること)として短期的な目標(=中間目標)を決めさせる
例)長期的な目標:○○大学合格
短期的な目標①:△月の模試で□□点を取る
短期的な目標②:2週間後までに××を覚える
【決心3】良い「問い」は良い「答え」に勝る
・【問題解決のためのIDEALステップ】
●I:問題を認識する(Identify the Problem)
●D:問題を把握する(Define the Problem)
●E:解決策を探る(Explore Solutions)
●A:計画し、実行に移す(Act on your Plan)
●L:結果を検討する(Look at the Effects)(p43-44)
うまくいかないときは必ずその理由があります。
そしてそれは「やる気が出ない」というような抽象的なことで終わらせてはならず、「なぜやる気が出ないのか?邪魔をしているものは何なのか?」という問題として探っていく必要があります。
簡単に進むものではないですが、常に、具体的に問題を認識・把握して、具体的な解決策(アクション)を探る手助けをすることがコーチの役割です。
🌟コーチングポイント🌟
問題を抽象的な話で終わらせず、具体的に認識して具体的に解決策を考え実行させる
【決心4】成功者はみな逆算している
・【逆算スケジューリングの3つのステップ】
●ステップ1:まず、達成したい目標と最終的な期限をはっきりと定める
●ステップ2:目標を達成するプロセスにおける小目標と期限を定める
●ステップ3:目標に関係する最初に仕事を選んで、ただちに実践に移す(p54)
実行プロセスを考えるときは、常に逆算的に考える必要があります。
前から順番に検討する方が考えやすいということもあるかもしれませんが、それは少なくとも実行すべきことを列挙する場合までで、スケジュールとして落とし込むときは逆算的に考える方が良いです。
つまるところ、「時間(期限)」を意識してスケジューリングを行うという話です。
🌟コーチングポイント🌟
目的に対しては期限を意識して、その期限に沿ってスケジュールは逆算的に考える。
【決心5】代案を持つ者が優勝する
・目標達成のプロセスの途中であきらめる習慣を持っているなら、それに対する強力な代案をつくっておかねばならない。(p66)
・実践のプロセスで実践を妨害する突発事態を予想し、箇条書きにする。(p66)
・それぞれの事態に対する代案(Bプラン)を考える。可能なら代案の代案(プランC)も考える。(p66)
この点も何かを為すときには本当に重要です。
立てた計画がそのままうまくいくケースなんてほぼほぼあり得ず、途中で何かしらの妨害が絶対に入ります。
そしてほとんどの人は思考停止のままそのことをできなかった言い訳にしてSTOPさせてしまいます。
代案を考えておくこととは、先に状況を想定しておくということです。
想定しておけば困惑せずに行動に移せます。
困惑している時間がもったいなくてその間にドンドンやらない理由を作ってしまうことになるので、いつでもすぐに行動に移すためにも、(想定通りに)できないときの行動は考えておきましょう。
🌟コーチングポイント🌟
想定通りできないときの代案となる行動を検討させる。
【決心6】偉大なリーダーほどみな怖がりだ
・【プランBの3つの機能】
① 予測可能性(Predictability):突発事態を予想する習慣を持てば、不確実性への不安感が和らぐ
② 制御可能性(Controllability):予想される突発事態への対策を立てる過程で、状況と自分自身をコントロールする力が増強される。
③ 生産性(Productivity):状況と自分自身に対するコントロール力の増強により、どんな状況でも後悔と損失を味わう機会が減り、英かと満足感を味わう機会が増える(p70)
代替案を考えることは、実際に想定外の事態が起こったときに役立つだけでなく、そもそも実行するための方法をいくつも検討できる力にもつながります。
最終的に学習者は自分で自分をコントロールして実行を習慣化していくことを求められますが、その際自分が習慣化しやすい方法を複数理解していることは大きな強みになります。
また、想定したうえで、それ以上の想定外の事態が起きたときにも、その場で思考を止めずに、さらに想定を進めていくことも可能になります。
コーチがいるからこそなおのこと、代案を検討するクセをつけさせることは意識しておきましょう。
🌟コーチングポイント🌟
学習者自身が自分をコントロールする術として、常に代案を考えるクセをつけてもらう
【決心7】「公開された考え」は変えにくい
・人は言葉や文章で考えを公開すると、その考えを最後まで守ろうとする傾向がある。「公開宣言効果(public Commitment Effect)」(p79)
立てたスケジュールはできるだけ多くの人に公開するようにしましょう。
これは特に失敗したときにあまり知られたくない人に公開すると効果がより高くなります。
例えば、家族や友人、あとは多くの人に見られるSNSなどが挙げられます。
ここもコーチの役割は大きいです。
実行するコツがわかっている学習者は敢えて公開して自分を追い詰めることで実行せざるを得ない環境を作りますが、コーチングを受けている学習者の場合は、自分から公開することはできない人が多いでしょう。
だからこそ、コーチがそこを鼓舞して(状況によってはコーチが連絡する形で)計画を公開するようにしましょう。
🌟コーチングポイント🌟
計画を失敗が知られたくない人に公開する。
ある意味強制的に公開させるためにコーチが鼓舞する。
【決心8】世界最強のボクサーが活用した自己コントロール法
・できるだけ多くの人に公開しよう(p83)
・繰り返し公開しよう(p84)
・決心を確実に実践したければ、公開方法をもっとたくさん探してみよう。(p85)
・はっきり宣言し、約束を守らなかったときに払うべき代価を明らかにしよう。(p86)
先ほどの公開の話に追加して、計画が失敗した場合にやることも決めておきます。
これはできるだけやりたくないことを設定します。
例えば、お金を○○円払う、誰かに△△する、などですが、特に、他人が関わっていて自分だけでは完結しない、つまり、絶対にやらないといけないことにすべきです。
人間は怠惰な生き物なので、基本的には「やりたい」より「やりたくない」の気持ちを優先することが多いです。
だからこそ、失敗したときに「強いやりたくないこと」を設定し、それも含めて宣言することで、嫌でもやる状況を作ることができます。
🌟コーチングポイント🌟
失敗した場合に取り組む「失敗することより嫌なこと」を設定する。
これは自分だけで完結せず、他人が関わること(=やらなければならないこと)にする。
【決心9】「なぜ、やらなくてはならないか」を突き詰める
・何かを成し遂げたければ、漠然と「やってみよう」では駄目だ。「なぜ、やらなくてはならないのか」、その切実な理由を探さなくてはならない。(p92)
・どんな目標でも、切実な理由を探し出し、差し迫った気持ちで取りかかれば、その目標はすでに半分は成功したも同然だ。(p92)
結局行動に移せないのは行動に移すだけの理由が自分の中に無いからです。
まずは「やってみよう」「やれたらいいな」という想いから始まるのは当然だと思いますが、一方で、それだけで実際に行動に移せる人は基本的に存在しません。
例えば、早起きなどは典型的な例で「早く起きよう」とは誰しも思うことですが、特段強い動機がない状況だと、結局はダラダラ過ごしてしまうのがほとんどではないでしょうか。人間は怠惰な生き物です。
逆に、朝早くから仕事が入っている、学校がある、など(嫌かもしれないけど)やらないいけない切迫した理由があれば起きることが多いはずです。
結局は理由の切迫感が行動のきっかけになるということです。
※仕事や学校という理由でも起きれない人は、病気の場合を除いて、仕事や学校に行くことの優先度が下がっていると言えます
したがって、せっかくコーチがいるのであれば、とりあえずやってみるという精神も重要ではありますが、その前に目的が如何に切迫しているか、達成すれば価値があることなのかを確認するように努めましょう。
1人だとこの部分も蔑ろにしがち…というか、1人で思考を深めるのは案外大変なので、コーチが「できたら具体的に何が良いのか?」「できなかったら具体的にどんな問題があるのか?」「今のママだと具体的に何がダメなのか?」などを突き詰めていくと良いです。
🌟コーチングポイント🌟
行動に移せないのは目的(やるべき理由)が切迫していないから。
「やってみよう」よりも「なぜやらなければいけないか」にこだわって目的を深める問いかけをする。特に「できなかったら問題があること」に着目する。
【実行1】新年の決意が3日しか続かないのはどうしてか?
・特別な時間、特別な日まで決心を先延ばしにすることは、表向きはいくらでも変化を望むと言っても、内心では絶対に変化したくないと言っているのと同じことだ。(p105)
コーチが意識すべきことは、口で言うことは必ずしも正しくないことがあり、そして、それを本人は気付いていない可能性があるということです。
学習者自身は「〇〇から始める」というのはむしろ積極的な意思表明としてポジティブに話しているのですが、それは実は先延ばしの言い訳を良いように表現しているだけです。
なぜ「今から」ではないのか?それは自分が無意識に逃げようとしているのではないか?ということを敢えて問うことが大切です。
🌟コーチングポイント🌟
先延ばしにした「やる」宣言は「やらない」と言っているのと同じ。
行動の切実性を今一度問い直そう。
【実行2】人生でもっとも破壊的な単語は「あとで」
・もっとも実践に適した日は「今日」であり、最も実行に適した時間は「いま」である。(p111)
・人生でもっとも破壊的な単語は「あとで」だ。(p111)
🌟コーチングポイント🌟
手段は実行されて初めて意味があることを強く意識させ、考えた手段をともかく今日からやってみさせる。
【実行3】わたしたちは、なぜ、「それ」を始められないのか?
・彼ら(成功者)はいくら難しいことでも、その中から簡単にできる小さなことを探し出す。(p122)
どんなことでも1番大変なのはスタートのハードルを越えることです。
逆に始めさえしてしまえばいくらかは続けられることがほとんどです。
本当に簡単なところからで良いので何よりスタートすることを意識しましょう。
成功する人は、自分にとって簡単に始めるというのが、どういう作業でどういう環境なのかを理解しているので、すぐ始めて行動して成果を出せるのです。
🌟コーチングポイント🌟
始めるハードルが1番高い。
作業や環境を整理して、習慣的に「まず始める」ことができるためのアクションを見つける。
【実行4】走り出しさえすれば、半分は終わったも同然
・実際は、意欲がなくて始められないのではなく、始めないから意欲がわかないのだ。(p125)
🌟コーチングポイント🌟
やる気の有無はどうでも良く、むしろそこに依存しないようにすることが重要。
嫌でも手が付けられる環境を整備させよう。
【実行5】「成功スパイラル」のスイッチをONにする
・どんなことでも長く続けてこそ成果が生まれる。長続きを望むなら、最初からあまり欲張ってはならない。運動を長続きさせたければ、目標を高く設定せず、決心を少しでも実行したら目標達成とみなすのがよい。(p131)
まずは最低限から始めましょう。
これまで習慣化できていないのに、いきなり2時間やる、といったことは無理があります。
重要なことは長期的にやれる習慣を身につけることです。
最初は30分でも十分なので、逆に、その30分は確実にやるためのアクションを考えましょう。
🌟コーチングポイント🌟
最初は高負荷(長時間)な計画にしない。
習慣化させるために短時間で良いので、確実に実施できるアクションを考える。
【実行6】「開始デッドライン」の驚くべき効果
・実行力に優れた人の中には、実は「ふたつの締め切り」がある。「終了デッドライン」「開始デッドライン」(p140)
終了デッドラインはいわゆる期限だが、それと同時にいつまでに開始しないといけないかの期限も決めておきましょう。
人は余裕を持って行動することを期待しながら、実際のところは期限の直前から動き始める方が圧倒的に多いです。
つまり、締切だけだと締切前に動き出すことになってしまうので、開始に対しても「期限」という感覚を持つことで行動の時間を正しく取ることができる可能性が高まります。
🌟コーチングポイント🌟
期限は締切(終了時)だけでなく、開始に対しても設定する。
開始にも「期限」という感覚を持つ。
【実行7】人は締め切りに合わせて仕事を始める
・時間がないから成果を上げられないのではなく、時間がありすぎるから成果を出せないことの方がずっと多い。(p146)
要するに、人はポジティブな状況よりもネガティブな状況の方がやろうと思いやすいということです。(というより、やらねば、でしょうか)
ただし、これは学習者の気持ちの持ちようの話であることには注意が必要です。
行動するときは成果を出さなければならないこと(勉強なら説明できる程度に理解しなければならないこと)をわかっている人の場合は、この手法は効果が高いと思います。
一方で、まだやらされているという意識がある学習者の場合は、適当にこなすことに繋がりかねません。
したがって、この考え方は、どちらかと言えば最低限の習慣化はできたが、もう一歩質を上げていきたい場合に活かしていけると良いでしょう。
🌟コーチングポイント🌟
行動予定時間は少し厳しめに設定することで、締切前に必死になる感覚で効率的に行動できる可能性がある。
ただし、これは最低限の習慣化ができていて、アクションの質を上げていくときのテーマにする。
【実行8】すべてが実験だと思えば人生は180度変わる
・実験だと考え失敗した時でも、ただ実験によって仮説が覆されただけ(p159)
・第一に、プレッシャーが減り、何か始める際のハードルが低くなる。第二に途中で苦しくなったり失敗したりしても、ストレスをあまり受けずにすむ。第三に解決策を探す能力が高まり、成果に結びつき、人生が楽しくなる。(p159)
すべての実行において大切な考え方です。
習慣化するためのアクションをどのような形で学習者にフィットさせるかは千差万別です。
したがって、特に習慣化させていくフェーズでは、すべては学習者に合うかどうかの実験だと思って取り組んでもらいましょう。
自分自身を使った実験としてやってみることで実行のハードルが下がりますし、やってみる中で見えてくることも必ずあります。
コーチはその実験の報告を受ける存在として、できたこと・できなかったことを確認するようにしましょう。
🌟コーチングポイント🌟
すべてのアクションは自分自身を使った実験と思って学習者に取り組んでもらう。
コーチは学習者と共にアクションを具体的に検討して、実験結果としてできたこと・できなかったことを一緒に確認する。
【実行9】観察し記録することで行動が変化する
・【自己観察の3つのステップ】
ステップ1:誰かの目、または自分の目で、自分を観察しよう。自分の行動をしっかり見つめていれば、横道にそれることができない。実行することを忘れることもない。
ステップ2:数値を使って監視結果を記録しよう。数値で記録した結果をグラフにして、壁に貼り出そう。実践結果を目で確かめられると、変化が起こりやすくなる。
ステップ3:変化を人に教えよう。実践結果や変化の過程をブログにアップし、メールで人に知らせよう。変化の過程を公開すれば、あきらめにくくなり、アドバイスと励ましをもらえる。(p189)
よく言われることではありますが、予定と実績の記録は残すようにしましょう。
習慣化がうまく進めば確実に実績となる行動時間が増えていきますが、そのことを感覚的にではなく事実として捉えることに意味があります。
その点では、記録は定量的(数値で残せるもの)に取ることも大切です。
これも学習者1人だとやらなくなって自分の習慣を正しく認識できなくなるので、コーチがそれを確認する役割を果たしましょう。
🌟コーチングポイント🌟
計画を立てたときには予定と実績を時間などの定量的な数値で確認する。
感覚ではなく事実として認識させる。
【実行10】勉強をしないために机の片づけを始める
・やりたくない仕事から逃げるためにいちばん簡単な方法は、その仕事と少し関係があって、しかも楽な仕事を見つけることだ。(p198)
どうしても実行がうまくいかないときの反省点として、アクションの直前に何をしているのかを確認することは有効です。
その行動が必要なアクションを阻害している可能性が高いです。
具体的に何が邪魔しているのかがわかれば、次はその行動をさせないような環境やアクションを考えましょう。ひたすらこの繰り返しで、やるべきことをやらざるを得ない環境を構築していきます。
例えば、今回のタイトルの机の片付けをしてしまう場合は、そもそも机で勉強することを避けるなどが対策としては考えられます。
可能なこと・難しいことはありますが、まずは簡単なことからで良いので必要なアクションを実行するためには、どんな環境にすべきかを考えましょう。
🌟コーチングポイント🌟
実行がうまくいかないときは、アクション直前の阻害している行動を具体的に挙げさせる。
その上で、まずは実験としてその行動自体ができないようなアクションを検討する。
【実行11】先延ばしにする人ほど準備時間が長い
・スタートページを自分が就職したい会社のホームページに変えました。そうすると不思議なことに、ウォーミングアップの時間が大幅に減りました。(p203)
・スタートページを必ず成し遂げたい夢や重要な仕事に関係したサイトのアドレスに変えておこう。(p203)
一つ前の話とほぼ同じではありますが、要するに、ウォーミングアップの時間を取らないような環境的な工夫をしましょうという話です。
今回の例は比較的簡単にできることですが、例えば、ついスマホを見てしまうときに、自問自答してアクションに向かわせる方法として有効です。
🌟コーチングポイント🌟
アクションの前の不要なウォーミングアップの時間を無くせるような環境上な工夫を行う。
スマホの待ち受けを自問自答してしまうものに変えて、自分で不要な行動を止めてもらう。
【維持1】自己イメージがあなたの行動を決めている
・ある人があなたとどう接するかは、あなたが実際にどんな人間かということよりも、その人があなたをどう規定しているかに全面的にかかっている。同様に、あなたの態度や行動よりも、あなたがあなたをどう規定しているかによって決まる。(p221)
・朝起きができないのは、怠けているためではない。意志が弱いからではない。自分を「早起きができない人」と決めつけているからだ。(p221)
・「○○、わたしは何者か?これまだどんな人間だったか?これからはどんな人間なのか?」(p223)
これは意識の話ではあるので、コーチから具体的に働きかけられることではありません。
このように自分を規定できるかは学習者自身でしかなく、コーチが意識を直接変えることはできません。
ただ一つ大切なコーチの姿勢として、コーチは学習者が実行可能であると信じることはあります。
人を変えることはできませんが、コーチの信じる姿勢をきっかけに意識が変わっていく可能性はあります。
コーチはこの話をするというよりも、コーチングの姿勢として、常々信じているということは伝えるようにしましょう。
🌟コーチングポイント🌟
学習者自身に「自分はできる」と規定してもらうことは大切。
ただコーチが学習者の意識を変えることは難しいので、少なくともコーチはできると信じているという姿勢を持ち続ける。
【維持2】意志の力に頼ってはならない
・コントロールしたければ、あなたをコントロールしている刺激の力を認識し、まず状況をコントロールしなければならない。もしあなたが状況をコントロールできなければ、状況があなたをコントロールするだろう。(p243)
これまで何度も述べている通りなので今更ではあるのですが、意志の力を信じてはいけません。
意志だけでなんとかなるなら、みんな成功者です。
意志ではなく、習慣を頼り、その習慣を作り上げるために環境を整備することが大切です。
意志が弱いのではなく、実行できる環境を整えられていないだけです。
🌟コーチングポイント🌟
実行は、意志ではなく、習慣化できる環境により為される
【維持3】「背水の陣」のすさまじい力
・逃げられない状況に自分を囲い込み、望みのことに没頭するための囲い込み技法だ。(p245)
実行できないと不利益を絶対に被る状況を作り出すのも非常に有効な方法です。
「やりたい」よりも「やらなきゃ」の方が行動しやすいという性質をうまく活用しましょう。
ただ自分だけでそのような状況に自分自身を追い込むのは辛いので、そのためにコーチの存在に大きな価値があります。
実際のところ、目的を明確にして覚悟が決まっている学習者の方が少ない(特に初期の維持期間)ので、コーチが環境を整えていく、くらいの気持ちを持ちましょう。(サービス登録を一緒にやる、など)
🌟コーチングポイント🌟
やらないと不利益を被る環境に自分自身を追い込めば、必然的に実行できる。
自分で自分を追い込むのは難しいところがあるので、コーチが背中を押してあげる。
【維持4】障害物が目に入るのは、目標から目をそらすからだ
・望むものを手に入れたければ、望まないこと、避けたいことについてではなく、望むものとそれを手に入れる方法について考える時間をもっと増やさなければならない。 (p269)
習慣化が見えつつマンネリ化してきたときには、改めて目的の確認をしましょう。
いくらか実行したからまた見える世界が変わっている可能性はあるので、その目で目的や手段をコーチと確認します。
また、その時点での目的への到達度がわかるテスト(受験なら模試や過去問など)に取り組んでみることも意味があります。
徹頭徹尾、目的達成の意義とその手段をより明確化していくということは常に変わりません。
学習者が自身が行なっていることが正しいことであると心の底から思えるように、何度も何度もいっしょに確認をしましょう。
🌟コーチングポイント🌟
しつこいくらい目的達成の意義とその手段の明確化を行わせる。
学習者はわかっているようで時間が経つにつれて意識が薄くなるので、コーチと話すタイミングで毎回強い目的意識を取り戻させる。
【維持5】アンテナを高く立てればヒントは勝手に集まってくる
・ある目標に集中すると、人間の脳は目標と関連したものだけに強く反応し、それ以外の刺激を無視するようになる。(p273)
これも学習者の意識の問題なので、最後のところは学習者自身がどう考えるかという部分はあります。
ただ、具体的にコーチングできることとしては、学習者の環境を積極的に目的と関連したものだらけにしていく、ということは考えられます。
例えば、(前述していますが)スマホの待ち受け画面を目的に合ったものにするなどです。
また、コーチ自身に余力があるなら、コーチングの度に目的に関する情報やニュースを伝えてあげることでも良いです。
何にせよ目的に近しい情報に触れる機会を増やすことを心掛けましょう。
🌟コーチングポイント🌟
目的に関連する情報に触れる機会を増やすように環境を整えたり声掛けをする。
【維持6】目標から目をそらさないための3つのトリガー
・言語的・常識的触発刺激(Verbal&Symbolic Prompt)(p278)
・状況的触発刺激(Situational Prompt)(p279)
・社会的触発刺激(Social Prompt)(p280)
前述にも関わりますが、目的へのアクションを呼び起こす刺激としては、大きく3つに大別されます。
これまで書いてきたものも、このどれかに分けられるので、環境や整えるときのヒントにしましょう。
言語的・常識的触発刺激は、スマホの待ち受けやパソコンの壁紙、座右の銘を貼り出すなどして、行動ができなくなりそうになったときに、目的を思い起こす刺激です。
状況的触発刺激は、勉強している人が多いところに行って勉強したり、タイマーを使って時間の管理をするなどの、状況自体が行動を促進できるような刺激のことです。
社会的触発刺激は、端的に言えば、同じ目的を持つ人と一緒にいるということです。同じ目的があれば必然的に目的を忘れにくくなります。
コーチは同じような目標感の学習者を会わせたり、(本人の許可をとった上で)スケジュール進捗を共有したり、目的自体は異なっていても習慣化の観点でコーチも一緒に努力してみるなども考えられます。
🌟コーチングポイント🌟
実行を維持させるためには目的を思い起こす刺激を学習者の周りに存在させるように工夫する。
例)
言語的・常識的触発刺激:スマホの待ち受けを目的(志望校など)に設定して、行動できないと感じるときに目的を思い起こす
状況的触発刺激:図書館に行って勉強するなど、周囲の状況で目的に対してアクションを喚起する
社会的触発刺激:同じ目的を持つ人と一緒にゴールを目指すことで、目的をより強く意識するようになる
まとめ
非常に長くなりましたが、以上書籍『「後回し」にしない技術』の中から、コーチング的な目線で活用できるポイントをまとめました。
ある意味ここから「実行学」とでも言える指導方針やコーチ側の意識の持ち方が見えてくるように思います。
コーチングを学ぶと、共感や傾聴の話がよく出てきますが、これはコーチ側のスキルの話であり、学習者が具体的に実現しなければならないことを直接的に叶えるわけではないと感じています。
共感や傾聴の姿勢を持った上で、今回のようなポイントを軸に、学習者に「実行させる」という行動を取ってもらえるように、一緒に模索していくことが大切です。
この長い文章がその一助になれば幸いです。
私自身も今後学びながら、よりわかりやすくまとめていければと思いますので、その際はどうぞよろしくお願いします。
「vol.1 決心編」「vol.2 実行編」「vol.3 決心編」全てのコーチングポイントをまとめた記事を作りました。
「実行」を意識したコーチングを行う際のヒントになれば幸いです。
「実行」させるコーチングのポイントってどんなこと?
