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救い、励まし、陶酔。わたしのいちぶになった3冊について

月並みにもほどがある表現で恐縮ですが、わたしは本というモノが大好きです。「文章」とか「文字」とか「活字」とか、そういうものを見るのも自分で作成するのも大好きです。

わたしはこれまでにも何度か「気に入った本を何度も読むクセがある」という話を書いてきましたが、実はその中にも序列のようなものがあって、これまでの人生の中に何冊か「とんでもない回数読みまくった超絶お気に入りの本」というのがあるんですよ。

今回はその中から特に印象に残っている3冊をご紹介します。

オンラインサロン「京都くらしの編集室」のnoteチャレンジ企画に参加しています。
4月のテーマはコチラ。
【本】私という人間を定義した3冊。今の自分の価値観の土台になっている本。2026年度のはじまりに、自分の現在地を確認する。


■ はじめに(注意事項)

今でこそハチャメチャ元気な40代として暮らしていますが、実はわたしは「虐待サバイバー」であり「AC(アダルトチルドレン)」の当事者でもあります。

そのため今回「自分の価値観の土台になっている本」を紹介するにあたっても、どうしてもそういう過去とのつながりに触れざるを得ない部分がありました。

わたし自身はもうすっかり解放されているので書いていてしんどいと感じることはないのですが、現在進行形で悩んでいらっしゃる方が読むとフラッシュバックを起こしてしまう可能性があるかもしれません。

こういう話題が苦手な方はぜひ、ほかの『京都くらしの編集部』メンバーの記事を読んでみてくださいね。

わたし自身の経験については無名人インタビューで全部話しています。

2026年3月末まで運営されていた『かがみよかがみ』にもこのテーマに関するエッセイを寄稿したことがあります。

では、いきますか~。

■ アスク・ヒューマン・ケア研修相談センター『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』

わたしはいわゆる「機能不全家族」で育ちました。で、それが大学生活の後半あたりで限界を迎えてしまって、鬱状態で引きこもったり摂食障害になったりしていたんです。

当時は精神科で投薬治療を受けていたわけですが、そのクリニックには週に何度かカウンセラーの先生がいらしており、あるとき医師からわたしも定期的に受けてみるよう勧められました。

そのカウンセラーの先生が「この本で一緒に勉強しましょう」と紹介してくださったのが、こちらの『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』

実際にワーク形式で自分の育ってきた環境を振り返りながら、自分の心の中にいる「インナー・チャイルド」をケアしてあげる…という本です。

この本では、ワーク形式で自分自身のこれまでを振り返りながら、その中で自分が無意識に身に付けてしまった「心の鎖」をほどいていくことを目指します。

特に、ワーク直前に書かれていたフレーズにハッとしました。

私たちが過去をふりかえるのは、
親や家族を断罪するためではありません。
自分をあわれむためでもありません。
過去を書きかえるためでもありません。

私たちが過去をふりかえるのは、
自分を縛っている鎖がどこにつながるのかを
見つけだすためです。
そして、大人になった自分はもう、
その鎖に縛られる必要はないということを
知るためです。

一般的に、被虐待者は自分の被害をだれかに訴えるのが苦手です。

  • もっとひどい環境の人だっているのに贅沢だ

  • そんなにしっかり教育費をかけてもらっているのに?

  • あなた自身に問題があるからそうなるのでは?

  • そうは言ってもたった一人の母親なんだから大切にしないと…

こう言われるのが本当にしんどいからです。「理解してもらえない」ことへの絶望感もありますが、それ以上に、自分でも「本来はそう思うべきなのかもしれない」「わたしの経験なんて全然たいしたことないはず…」と考えてしまうんですよね。

だからこそ、この本ではあらかじめ「家族を責めるんじゃなくて、ここではあなたが『つらい』と感じていることそのものを見ていくんだよ」と前置きしてもらえたおかげで、素直にワークに取り組めたのだと思います。

「つらいときにつらいと感じることは罪じゃなかったんだ。え、それを外に出すことまで許されるの?」と最初は戸惑いましたが、すべてのワークを終えるころには驚くほど息がしやすくなったのを今でも覚えています。

ちなみに続編もあり、現場でも2冊セットで取り組みました。もし「あれ?わたしも当てはまるのでは…?」という方がいたらぜひチェックしてみてください。

Kindle版もあるよ。

■ ウェイン・セオドア『ウェイン: 虐待少年の“絶望”と“希望”の日々』

こういうジャンルばっかり続いて申し訳ないのですが、2冊目はウェイン・セオドアという被虐待当事者による本です。

「六歳の時、ぼくは父さんに殺されかけた」。髪を鷲づかみにされ、血だらけの頭を浴槽に何度も突っ込まれる。鼻が折れ曲がり、大量の血で息が詰まり、意識は朦朧としているのに、涙がとめどもなく流れ落ちた…。米TV番組にて凄まじい虐待体験を告白、番組史上最高視聴率を記録した著者が、父親と闘い、自ら希望をつかみとるまでを綴った壮絶な日々。

あらすじより

身体的虐待を主に受けていた主人公の話ですし、アメリカの男性が主人公ということもあって、そこまで深く共感できるというわけではなかったのですが……当時、この一冊にはものすごく励まされていました。

なんというか、良い意味で「アメリカ映画」っぽかったんです。

この本はテレビ出演での告発まですべてを終えてから「成功譚」として綴られた物語なのもあってか全体的に「折れない・諦めない正義の主人公」感が強いのですが、むしろそれが良い、みたいな。

だから、自分自身を投影しながら読むというよりは「すべての被虐待児のために立ち向かうヒーローを応援しながら読む」という感覚に近かったのかもしれません。

「ウェイン」と出会ったのが先ほどの「AC本」より後だったのも大きいと思います。「虐待を受けている子でも、こんなふうに心の中で反論したり反発したりしてもいいんだ」という実例を見せてもらったような感じ。

当時はお布団でも読み、ときには入浴時にお風呂にまで持ち込んで読んでいたので我が家にある「ウェイン」はボロボロですが。今でも本棚の隅にひっそりと置いてあり、わたしのことを見守ってくれている一冊です。

■ 姫野カオルコ『レンタル(不倫)』

さて、ここまではじっとり暗めのテーマが続いてしまったので、最後に明るい(?)小説系も。

姫野カオルコの『不倫レンタル』は、彼女の初期作品である『処女三部作』の第三作目。三冊ともちょっとずつ主人公が違っていて、物語もちょっとずつ違うんだけれど、すべてを通して読んでいくと「おぉ、なるほど、そういうテーマだったのか」と分かる気がするような作品群…なのですが。

わたしは最初にこの三冊目と出会ってしまったんですよね。そしてこの作品が今でも一番好きです。

売れないエロ小説家、力石理気子。美人なのに独身で、しかも未だ処女の彼女が、ひたすら「セックスをしてくれる男」を捜し求めて奮闘する、生々しくもおかしい、スーパー恋愛小説。

角川文庫あらすじより

ちなみにこのタイトルって正式には『レンタル(不倫)』らしいんですよ。著者自身もそのように表記しているので、それが正解なのでしょう。でもわたし、先ほどお見せした表紙のイメージのせいでどうしても『不倫』って本だと思ってしまうの。この勘違いはもう正せない気がします…。

さて。この作品の面白さは、「文章そのもの」にあると思っています。

ストーリーの良し悪しが、とか、人物の心情のゆらぎが、とか、もちろんそういう側面でもちゃんと小説なんだけれど、本作のメインディッシュはあくまで「文章そのもの」なんじゃないかと。そういうイメージなのです。

Kindleのサンプルで読める範囲でも面白いのですが、主要なキャラクターが出揃ってからはさらに面白さが加速します。まず主人公の理気子自身、なかなかクセの強い女性です。さらに周囲の人々までかなり個性的、いや、変な人揃い。そんな変な人まみれの世界で起きるアンナコトやコンナコトを理気子のクセ強モノローグでがしがしと描写していくわけですから、そりゃあもう全体的にえらいこっちゃ、なわけ。

ねぇ、皆さまお気付きでしょうか。

今わたし、この本のことを思い出しているだけで文体がおかしくなってる。

…というわけで、本作は、「文章そのものを味わいながら楽しむ」という観点から、わたしの読書観を変えてくれた本だと思っています。

こんな文章を自在に書ける「作家」という存在に対して、ものすごい憧れと嫉妬の気持ちを抱かせてくれた一冊です。

■ なんともいえないチョイスになってしまいましたが…

このnoteチャレンジのお題を見たのは、『京都くらしの編集室』に入会した4月8日のこと。実はそこからずーーーーーーーーーっと、何を書こうか悩み続けていました。

たとえば、「もっとライターっぽい本にした方がいいのかなぁ」とか。

でもライターっぽい本って何なんだって話ですよね。エッセイ?ビジネス書?自己啓発本?

もちろんそれらの中にお気に入りの本も存在するのですが、「自分の土台になった」ほどの強い影響を受けたかっていう意味では今回の3冊には到底敵わないと判断しました。

あと、入れるか最後まで迷っていたのが手塚治虫の『きりひと讃歌』です。小学校高学年のときに初めて読んで「正義の心を持っている主人公なら必ず幸せになる…とは限らないんだ」という無常さや「そもそも悪役に見える人だって自分なりの正義や理論に基づいて行動しているだけなんだ」という多角的な視点を知った作品です。

今回は「マンガだから」という理由で外しましたが、こちらもわたしの価値観には多大な影響を与えた作品だと思っています。

noteチャレンジ初回からめっちゃ長くなってしまった!

来月以降はもう少しシンプルにまとめられるようにガンバリマス…。


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