企画論03 事実→解釈→課題化→企画化の入り口~どこまでもロジカルなダイレクトマーケティング(15)
前回までは、3Cを通じて
「市場の中で、顧客に対してどう戦うのか」
「自社をどのように魅力的に見せるのか」
という、戦略の描き方について整理してきました。
今回はその続きとして、
3Cで描いた戦い方を、製品・サービスの企画へと落とし込むための思考プロセス
について話していきます。
■企画化の基本プロセスは3段階
製品・サービスを企画していく際の思考は、
大きく次の3段階に分かれます。
事実を情報として収集すること
集めた事実だけをベースに解釈・予測し、課題化すること
課題化された問いに対して、どう解決するかを考えること
この内容と順番を守れるかどうかで、
企画の精度は大きく変わります。
■事実と、事実ではないものを切り分ける
よく陥りがちな罠のが、事実だけでなく、そうでないものもベースに含めて企画を始めてしまうこと。
例として、「あまり売れないスキンケア商品」を想定してみます。
次の4つは、いずれも“情報”ではありますが、
企画のインプットとして使えるものと、そうでないものが混じっています。
自社のスキンケアはあまり効かない
自社のスキンケアがSNSでバズらないのは、効果が低いからだ
お客さんから「このスキンケアは効果がない」と言われた
アンケートで100人中95人が「効果を感じない」と評価した
ここで重要なのは、
何が事実で、何が事実ではないかを切り分けることです。
事実とは
データ
客観的な結果
実際の体験
感情(不安・違和感・不満など)
事実ではないもの
主張
意見
理屈
判断
事情や思い込み
この段階で判断や意見が混ざると、
その後の解釈・課題化・企画化は、必ず歪みます。
■事実をベースに、解釈・予測し、課題化する
次のステップでは、
集めた「事実だけ」を組み合わせて、原因や背景を考えます。
ここで初めて、意思や判断が入ります。
そして重要なのが、
課題の輪郭をどれだけシャープにできるか です。
そのために有効なのが、
「問いのレベル感を上げること」と「対象を絞り込むこと」。
問いの例
どうすれば、このスキンケアは効果を感じられるのか
どうすれば、日本で一番効果を感じられるスキンケアになるのか
どうすれば、更年期世代の女性に一番効果を感じられるスキンケアになるのか
問いのレベルを上げ、対象を絞り込むことで、
企画の方向性は一気に定まっていきます。

■課題化の次にやるべきことは「答えを出すこと」ではない
ただし、ここでひとつ注意しなければならないことがあります。
それは、問いが定まった瞬間に、答えをひとつに決めてしまわないことです。
たとえば
「どうすれば、日本で一番効果を感じられるスキンケアになるのか」
という問いが立ったとき、多くの現場では、
成分を強くする
有名な原料を使う
処方を変える
といった 一つの解決策 に、すぐ飛びついてしまいがちです。
しかし、企画の入口で本当に重要なのは、
答えを決めることではなく、
「どんな方向性の答えがあり得るのかを広げること」 です。
ここが、思いつきと企画を分ける、非常に重要な分岐点になります。
■「日本一効果を感じる」という問いから生まれる複数の対策方向
同じ問いからでも、
企画の入口は複数考えられます。
たとえば「日本一効果を感じられるスキンケア」という課題に対しては、
日本で最も権威のある美容研究者・専門家と共同で処方を開発する
原料・素材をすべて最高水準の国産素材に限定する
日本よりもさらに評価基準の厳しい海外の研究機関・ラボと共同開発する
日本一の大規模使用実感データをもとに、「効果感」の最高峰を見出し、設計する
といった、異なる方向性が考えられます。
いずれも同じ問いへの答えですが、
企画としての性格はまったく異なります。
■この段階では「良し悪し」を決めない
重要なのは、
この時点では どれが正解かを決めなくていい ということです。
むしろここでやるべきなのは、
どんな方向性の解決があり得るのか
方向性ごとに、企画の意味合いはどう変わるのか
事業やブランドとして、どんな影響を持つのか
を、一度並べて考えることです。
この「方向性のバリエーション」を出せるかどうかが、
企画者としての力量を大きく分けます。
■ここが「企画化の入口」である
課題化された問いに対して、
解決の方向性を複数描き出す。
この時点では、仕様も、処方も、価格も決まっていません。
しかしこの段階で、
企画の射程
競争の仕方
ブランドとしての立ち位置
の大枠は、ほぼ決まってしまいます。
だからこそ、
企画化の入口では、拙速に答えを一つに絞らず、
あえて“幅を持って考える”ことが大事なのです。
■見落としてはいけない「コアコンピタンス」
このようにして企画の方向性をいくつか描いたうえで、
次に必ず確認すべきなのが コアコンピタンス です。
コアコンピタンスとは、
ある企業、あるいは個人が
活動しようとする分野において
競合他者を圧倒的に上回り、
かつ簡単には真似できない能力や強み
を指します。
■コアコンピタンスを評価する5つの基準
一般的に、コアコンピタンスは次の5つの軸で評価されます。
模倣困難性:簡単に真似されないか
移転可能性:複数の商品・サービスに展開できるか
代替不可能性:他の手段で置き換えられないか
希少性:持っている競合が少ないか
耐久性:一時的ではなく、長期に価値を生むか
これらを踏まえると、コアコンピタンスとは、
自分たちだけが持つ強みで、
さまざまな商品・サービスに展開でき、
お客さまにとって代替がなく、
長期にわたって価値を生み続ける企業価値
と言い換えることができます。
■なぜ企画の入口でコアコンピタンスが重要なのか
自社の企画が、
自社のコアコンピタンスに基づいていれば、
競合に簡単にひっくり返されることがありません。
逆に、コアコンピタンスと無関係な企画は、
一時的に売れても、すぐに模倣され、価格競争に巻き込まれます。
だからこそ、
課題化 → 方向性検討 → 企画化
という流れの中で、
コアコンピタンスとの接続を確認することが大事になのです。


■今回のまとめ
企画化は
事実 → 解釈 → 課題化 → 方向性設計
というプロセスで進む課題化では「問いのレベル感」と「絞り込み」が重要
企画の入口では、答えを急がず、方向性を広げる
最後に、コアコンピタンスと接続して企画を選び取る
次回は、この企画の方向性を
どのように製品コンセプトとして言語化していくのか、
そして
価値をどのレイヤー(スペック/メリット/ベネフィット/バリュー)で語るべきか
について掘り下げていきます。
ここから、企画が
「言葉になり、形になっていくフェーズ」 に入ります。
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▼ 本記事は、以下の連載の一部です。
どこまでもロジカルなダイレクトマーケティング
─ 広告・CRM・事業PLを貫く設計思想の全体像
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▶ https://note.com/kawabe_atsushi/n/n879156f50c33
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