企画論05 なぜ"マーケットインだけ"では足りないのか──価値が循環する企画の考え方 

コンセプトを「市場に届ける」ための思考

──Product out と Market in、そしてアーリーアダプターという視点

前編では、
定義したコンセプトを「どの価値レイヤーで語るか」という観点から、
スペック/メリット/ベネフィット/バリュー
という4つの表現レイヤーについて整理しました。

後編では、その続きとして、
その価値を、どのような思考構造で市場に届けていくのか
という点を掘り下げていきます。


■Product out と Market in は対立概念ではない

製品企画やマーケティングの文脈では、長年、

  • プロダクトアウトはよくない

  • マーケットインで考えるべきだ

という言われ方がされてきました。

確かに、
「できること」「作れてしまったもの」を先に商品化するのではなく、
顧客が何を求めているのかを起点に考えることは重要です。

ただし、実務の現場で考えると、
この2つは単純な対立概念ではない と感じています。


■企業視点で見ると「マーケットイン → プロダクトアウト」

まず、企業側の視点で整理してみます。

  • 生活者の声

  • レビュー

  • 行動データ

  • 市場の変化

こうした情報を受け取り、
「生活者は何を求めているのか」を理解する。
これがマーケットインです。

そのうえで、
自社の強みや技術、リソースを使って、
商品・サービスという形に翻訳していく

この翻訳のプロセスが、プロダクトアウトです。

ここで言うプロダクトアウトは、
「企業都合の押し付け」ではありません。
マーケットインを起点とした、アウトプットとしてのプロダクトアウト
です。


■生活者視点で見ると「プロダクトイン → マーケットアウト」

一方、生活者側の立場で見ると、逆の流れが起きています。

  • 企業から発信された商品情報を受け取り(プロダクトイン)

  • 実際に使い、体感し、自分なりに解釈する

  • 生活の中に取り入れるかどうかを判断する

そしてその評価や感想が、

  • SNS

  • レビュー

  • 口コミ

といった形で外に出ていく。
これがマーケットアウトです。

このマーケットアウトの結果が、
再び企業にとってのマーケットイン情報になります。


■企業と生活者の間で回り続けるスパイラル

つまり実際には、

  • マーケットイン
    → プロダクトアウト
    → プロダクトイン
    → マーケットアウト

という循環が、
企業と生活者の間でぐるぐると回り続けています。

プロダクトアウトとマーケットインは、
どちらか一方を選ぶものではなく、
往復運動の中の一部 として捉えたほうが、
現代のダイレクトビジネスにはフィットします。

プロダクト/マーケット スパイラル

■では、その価値は「誰」に向けて届けるのか

ここで、もう一つ重要な問いが出てきます。

それは、

このコンセプトは、
どの層に最初に受け取ってもらう前提で設計するのか

という点です。

この視点を整理するために、
イノベーター理論を使います。


■イノベーター理論を「企画設計の軸」として使う

イノベーター理論では、
新しい製品やサービスの受容態度を、
導入の早い順に分類します。

  • イノベーター(約2.5%)

  • アーリーアダプター(約13.5%)

  • アーリーマジョリティ(約34%)

  • レイトマジョリティ(約34%)

  • ラガード(約16%)

この中で、
企画コンセプトを考える際に最も重要なのが、アーリーアダプター層
だと私は考えています。


■なぜアーリーアダプターが重要なのか

特に、EC/通販を前提としたダイレクトビジネスでは、

  • 実物に触れない

  • 言葉と画像、情報だけで判断する

という購買構造になります。

つまり、
新しい製品やサービスに対して、
一定のリスクを取れる層でなければ、購入に至らない

ということです。

アーリーアダプターは、

  • 情報収集力が高く

  • 自分なりに判断し

  • 試した結果を発信する

という特性を持っています。

この層に受け入れられるコンセプトであるかどうかは、
その後、キャズムを超えて普及していくかどうかを左右します。


■コンセプト設計の現実的な基準点

ここまでを踏まえると、
ダイレクトビジネスにおけるコンセプト設計では、

  • 価値をどのレイヤーで語るのか

  • その価値は、アーリーアダプターにとって
    「リスクを取ってでも試す理由になるか」

という2点を、常に行き来しながら考える必要があります。


■後編のまとめ

  • プロダクトアウトとマーケットインは対立しない

  • 企業と生活者の間では、価値が循環している

  • コンセプトは「誰に最初に届けるか」で精度が決まる

  • ダイレクトビジネスでは、
    アーリーアダプター視点での設計が極めて重要

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▼ 本記事は、以下の連載の一部です。

どこまでもロジカルなダイレクトマーケティング
─ 広告・CRM・事業PLを貫く設計思想の全体像

全体構造・読み方はこちら
https://note.com/kawabe_atsushi/n/n879156f50c33
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