企画論01 思いつきと企画を分ける境界線~どこまでもロジカルなダイレクトマーケティング(13)

ここしばらくの状況の中で、「企画」することに対しての要望を受けることが多くありました。私、もともとは千趣会の頒布会製品プランナーとしてキャリアを始めたこともあり、この辺りの考え方はしっかりと叩き込まれてきました。
その内容が汎用性に富むよう、本質的に構造しなおして説明することが多いのですが、その機会が多くなってきたので、Noteにまとめなおしておこうと思います。
なお、全体概略としては以前の電子書籍でまとめてありますので、手っ取り早く全体を見たい場合はこちらをどうぞ
●どこまでもロジカルに学ぶEC・通販ビジネスの儲かる仕組み

【企画論01】思いつきと企画を分ける境界線

──企画とは「価値を見立て、形にする技術」である

多くの人が「企画≒アイデア」と捉えがちですが、実務の世界では両者はまったく別物です。
思いつきは“点”ですが、企画は“構造”であり、“意思決定のプロセス全体”を含みます。

では、企画とは何か。どこからが思いつきではなく「企画」になるのか。
その境界線を、最初にしっかり定義しておきたいと思います。


■企画には4つのステップがある

私の企画プロセスは、大きく4つのステップに分かれます。


ステップ1:市場・顧客を観察し、問題を発見して課題化する

企画の出発点は「発想」ではなく、「観察」です。
市場の変化、生活者の行動、顧客の困りごとを丁寧に見つめ、
そこから“問題”を発見し、それを“課題”として言語化する。

課題は、企画の原点です。
課題を見誤れば、どれだけよいアイデアを出してもズレた企画になります。


ステップ2:課題を解決するアイデアを発案し、評価し、選択する

課題が定義できたら、初めてアイデアを出します。
しかしこの段階でも重要なのは 「出したアイデアをどう評価するか」 です。

  • 価値はあるか

  • 具体性はあるか

  • 実現可能性はあるか

こうした観点で評価し、複数の候補の中から「選ぶ」。
ここで初めて、アイデアは“企画の素材”になります。


ステップ3:選択したアイデアを“企画”へと具体化し、評価・検証する

選ばれた発案は、そのままでは企画になりません。
ここから 具現化=企画化 のフェーズに入ります。

具体的には、

  • 誰の

  • どんなニーズに

  • どんな新しいアイデアや技術を使って

  • 何を実現するのか

を言語化し、コンセプトの形に落とし込みます。

後ほど詳しく触れますが、私は梅澤伸嘉先生から学んだ
「C = Idea/Seeds + Needs/Benefit」
という公式を基準にしています。

企画化とは、価値をロジカルかつ魅力的に表す作業です。

参考書籍:消費者ニーズ・ハンドブック 梅澤伸嘉氏


ステップ4:実行案として確定し、仕様として開発に落とし込む

企画案を評価し、検証し、ビジネスとしてどれを実行するかを決めます。
これが「実行案」です。

そして次に、開発フェーズとして、

  • どんな仕様にすべきか

  • どこまで実現できるか

  • 関係者全員が納得できる形は何か

を具体化して、製品としての骨格を固めていきます。


■企画するとはどういうことか

私は企画を次のように定義しています。

「マーケティング分析をベースに、アイデアや技術によって、
オリジナリティある価値を形/言葉として表すこと」

マーケティング分析とは、
市場・顧客・競合の事実を読み解き、背景を理解し、課題を設定すること。

アイデアや技術(Seeds)は、それを解決へ導く“手段”。

それらを結んで価値として表現することこそが、“企画”です。


■製品コンセプトの構成(C = I/S + N/B )

梅澤伸嘉先生(マーケティングコンセプトハウス)が提唱されている方式は、非常に本質的です。

●ニーズ(Needs)=〇〇したい

●アイデア/シーズ(Idea/Seeds)=新技術・新発想

●ベネフィット(Benefit)=〇〇できる

企画とは、
生活者が「〇〇したい」と思うニーズに対し、
新たなアイデアや技術で応えて「〇〇できる」という未来を提示すること。

言葉として魅力的であり、かつロジカルである必要があります。


■企画書には「なぜ、そう考えたのか」を書くべき理由

私は常に、
「なぜ、それを良いと思えたのか」
という企画者の“思いの源泉”も書くことを推奨しています。

企画はロジックだけではなく、
企画者が見た風景、感じた違和感、顧客との対話など、
“着想の背景”が質を決めるからです。


■製品企画と製品開発の違い

企画と開発は、似ているようで役割が異なります。

■製品企画

  • 自分が信じられる価値を断じる

  • インプットを蓄積し、価値の構造を見出す

  • まだ形のない価値を“言葉として先に提示”する

企画とは「断じる仕事」です。

■製品開発

  • コンセプトを“現実の仕様”へ変換する

  • 顧客、社内、パートナーが納得する形に整える

  • アイデアが本当に実現できるかの確度を高める

開発とは「決める仕事」です。


■プランナーに求められること

プランナーがビジネスの現場で求められるのは、
「現実に落とし込めるレベルまで持っていく力」 です。

夢物語ではなく、“実現できる当たり”をつけておく。
これができて初めて、企画は前に進みます。

企画の精度は、ここで決まると言っても過言ではありません。


■第一回まとめ

  • 思いつきは「点」、企画は「構造」

  • 企画は4ステップで成立する

    • 観察・課題発見

    • アイデア発案・評価・選択

    • 企画化(コンセプト化)

    • 実行案の確定と仕様の具体化

  • 企画とは、価値を言葉として定義すること

  • プランナーは“断じる”ことが求められる

続編はこちら
→ 企画論02 市場・顧客を読む技術~

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▼ 本記事は、以下の連載の一部です。

どこまでもロジカルなダイレクトマーケティング
─ 広告・CRM・事業PLを貫く設計思想の全体像

全体構造・読み方はこちら
https://note.com/kawabe_atsushi/n/n879156f50c33
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