広告投資すべき商品かどうかを、どう見極めるのか?~β版 どこまでもロジカルなダイレクトマーケティング(2)

こんにちは。
「商品力評価 → 投資判断 → 商品力強化 → 事業PL設計 → 広告獲得 → CRM設計 → ロイヤル化」までを一人でデザインし、
経営設計から商品企画・集客・CRMまでを統合、収益を最大化する「EC/通販 事業アーキテクト」の川部 篤史です。

※本稿は どこまでもロジカルに学ぶEC・通販ビジネスの儲かる仕組み(ECzine Digital First)https://amzn.asia/d/5nfZKM8 を、2025年の状況に合わせ、B2Cにおけるダイレクトマーケティングの実務・戦略設計に特化してアップデートを試みるものです。β版の為、都度加筆修正をする予定ですので、ご了承ください
 

広告投資すべき商品かどうかを、どう見極めるのか?

〜「商品力評価」を起点にした事業戦略設計の実例〜



EC・通販の現場でご相談を受けていると、
「広告をどう打つか」「どの媒体に出稿すべきか」「CRMをどう設計すべきか」
といった“売り方の工夫”に話が集中するケースがとても多いです。
もちろん、これらは事業成長に不可欠な要素です。

しかし、冷静に考えてみると、そもそも 「その商品に投資する価値があるのか?」 という問いに答えられていなければ、どれだけ広告を頑張っても焼け石に水になってしまいます。
いわば、「土台が不安定な家に立派な屋根を載せようとしている」ようなものです。

だからこそ私は、まず最初に 商品力評価を起点に投資判断を下すこと を最重視しています。
今回は、実際に私が関わったある化粧水ブランドの事例を紹介します。
(実名・企業名や数字はあえて不正確にしていますが、そのリアリティは感じられるかと思います)


背景と事情
今回紹介する案件は、敏感肌・アレルギー肌向けの化粧水を展開するブランドでした。
既に自社ECを中心にダイレクトビジネスを行っており、一定のユーザー基盤はあったものの、そこから大きく広がっていかない。
「もっと多くの人に届けたい」「この先、どうやって市場を広げていけばいいか」というテーマを抱えていました。
クライアント側では、新しい可能性として 「特定部位専用化粧水」 という発想を検討していました。従来の「顔用化粧水」というカテゴリーから一歩踏み出し、使用シーンを限定した新しい切り口を作ろうという試みです。

ただし、こうした「新しいコンセプト」が市場に本当に受け入れられるかどうかは、やってみなければ分かりません。
そこで私は「まずは商品力と市場性を定量的に評価しましょう」とご提案しました。


調査設計 ダミーLPによるコンセプトテスト


私がよく行うのは「ダミーランディングページ(LP)を使ったコンセプトテスト」です。

今回、自社品のUSPと先方のベンチマークをヒアリングした上で用意したのは以下の4案です。

  • A案:国産無農薬素材数種のみに絞って作った「引き算のスキンケア」

  • B案:特定部位専用化粧水(新しい使用シーンを提示するプラン)

  • C案:乾燥性敏感肌を考えたセラミド美容液(仮想・大手ブランド)

  • D案:自然派ビタミンC美容液(仮想・人気オーガニックブランド)

ポイントは「実在のブランド名を出さないこと」です。
商品名やロゴが出てしまうと、そのブランドイメージに引っ張られてしまい、本当の「商品コンセプトの力」が測れません。
そこで、配色やフォント、デザインのテイストだけは実物に近づけつつ、商品名は一切伏せたLPを4種類用意。
「商品A・B・C・D」として提示し、あたかも本物の商品かのように各年代化から計250名の女性に対して比較調査を行いました。

最低限に絞り込んだ設問設計


質問内容はシンプルながら本質を突いた6項目です。

  1. 理解度(内容は理解できたか)

  2. 魅力度(魅力的だと思ったか)

  3. 購入意欲(実際に買いたいと思ったか)

  4. 独自性(ここでしか買えないと感じるか)

  5. 適正価格(PSM分析を用いた価格帯評価)

  6. フリーコメント(自由記述で印象を記録)

この6項目を掛け合わせることで、「どのコンセプトが市場で勝ち筋を持つか」をロジカルに判定できます。


調査結果
結論として、最も有望だったのは A案(引き算スキンケア) でした。

  • 価格設定:4000円で販売した場合に、売上・利益とも最大化

  • 市場規模:大手ブランド(仮想C案)と肩を並べるポテンシャル

  • 収益性:粗利ベースでも十分な規模感があり、投資に値する

一方、B案(特定部位専用化粧水)は「面白い」「試してみたい」という声もありましたが、A案の購買意欲層と大きく重なっており、社内で共食いするリスクが高いと分かりました。

さらに注目すべきは、フリーコメントから得られた示唆です。
A案について「国産無農薬素材なのに、なぜ北欧風の写真?」「海外っぽい雰囲気に違和感がある」という声が目立ったのです。つまり、商品コンセプト自体は評価されているのに、ビジュアルのトーンが消費者の期待とズレていた。「国産らしさをもっと強調すべき」というヒントが明確に得られました。
これは、広告コピーやデザインを少し変えるだけで、さらに魅力度を高められることを意味しています。


消費者の声から見える本質
調査で得られたコメントを一部紹介します(抜粋・要約)。

  • 「厳選された素材に上質さを感じる」

  • 「アレルギー持ちでも安心できそう」

  • 「国産と書いてあるのに外国人モデルで混乱した」

  • 「自然派素材なのは良いが、効果があるのか不安」

これらの声は、マーケティングにとって非常に貴重です。
なぜなら、単に「買いたいかどうか」だけでなく、どこに魅力を感じ、どこに不安を感じるのか を浮き彫りにしてくれるからです。
広告やCRMの設計は、この「期待と不安のバランス」をどう設計するかにかかっています。
その前提として、こうしたリサーチで「消費者の心の中」を把握することが、投資判断に直結するのです。


考察:商品力評価を起点にする意味

今回の事例から学べることはシンプルですが、とても重要です。

  • 魅力度 × 適正価格 × 利益性 を定量化すれば、投資判断が可能になる

  • 広告やCRMを始める前に「勝てる筋」を見極めることで、無駄な投資を避けられる

  • 未来の市場性を測るリサーチを行うことがカギ

もしリサーチを行わずに、B案(特定部位専用化粧水)を前のめりに投資していたらどうなっていたか?
おそらく新規性は話題になっても、A案と競合してブランド全体の成長を阻害していた可能性が高いでしょう。
逆に、この調査を行ったことで、クライアントは 「まずはA案に集中し、訴求の見せ方を修正して伸ばす」 という判断ができました。
これはまさに「商品力評価を起点に戦略を描く」ことの価値を示しています。


まとめ


事業成長のスタート地点は「商品力評価」です。
「この商品に投資する価値があるのか?」を冷静に見極めることができれば、その後の広告・CRM・ロイヤリティ施策が有効に機能します。
調査 → 仮説検証 → 戦略修正 というプロセスを踏むことで、事業の成功確率は格段に高まります。

広告の前に、まずは商品の本当の力を見極める。
これは私が一貫して大切にしている考え方です。

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▼ 本記事は、以下の連載の一部です。

どこまでもロジカルなダイレクトマーケティング
─ 広告・CRM・事業PLを貫く設計思想の全体像

全体構造・読み方はこちら
https://note.com/kawabe_atsushi/n/n879156f50c33
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