企画論07 なぜ今、頒布会なのか

「売れ筋を増やす」「広告を増やす」とは違った事業成長アプローチ

ECや通販の相談を受けていると、ここ最近とてもよく似た構図に出会います。

品揃え型のECで、
いくつか事業の顔となっている出来の良いプロダクトがあり、
それらが売上の大部分を支えている。

そして、次の成長フェーズとして語られるのは、ほぼ例外なくこうです。

「もっと売上規模を上げたい」
「だから、集客を増やしたい」
「広告を強化できないか」

この流れ自体は、決しておかしくありません。
むしろ、分かりやすく、説明もしやすく、依頼として成立しやすい

しかし同時に、私はここに、
ある“思考の固定化”を感じるようになりました。


売上を上げるとは、何を増やすことなのか

多くのケースで、
売上を上げることは、暗黙のうちにこう定義されています。

売上を上げる

売れ筋商品の集客を増やす

だから、

  • 広告予算を増やす

  • 配信面を広げる

  • CPAを少し犠牲にしても量を取りにいく

という判断が、自然に選ばれます。

ただ、この考え方には、
一つの前提が置かれています。

「商品側の価値設計は、すでに完成している」

私は、ここに強い違和感を覚えることが増えました。


その売れ筋商品の価値は、本当に出し切れているのか

売れている商品がある。
リピートもある。
定期購入も回っている。

それ自体は、間違いなく素晴らしいことです。

ただ一方で、
その商品がなぜ評価されているのか
その価値がどこまで言語化されているのかを聞くと、
意外と曖昧なままになっているケースも少なくありません。

  • 便利だから

  • 美味しいから

  • 品質がいいから

もちろん、どれも正しい。
しかしそれは、「単品としての評価」にとどまっています。

では、その評価を
事業の骨格として広げることはできないのか。

私は、ここに大きな可能性が残っていると感じることが多いのです。


集客ではなく、価値の再定義から始めるという発想

私が考えるもう一つの成長の入口は、こうです。

  • いまあるヒーロープロダクトを

  • もう一度、丁寧に咀嚼する

  • その商品が提供している「基本価値」を再定義する

  • その価値を軸に、広げられる構造を考える

ここで重要なのは、
無理に新商品を作らないという点です。

特に大きな企業になればなるほど、

  • ECのためだけの新商品開発は後回しになりやすい

  • 商品化までに2〜3年かかることも珍しくない

その間に、
事業としての勢いが失われてしまうことすらあります。

だからこそ、

  • 既存の基本商品はそのままに

  • 組み合わせ方や編集の仕方を変え

  • 価値の体験を拡張する

というやり方が、
現実的かつスピーディーな選択肢として浮かび上がってきます。


そこで再び立ち上がってくる「頒布会」という考え方

こうした文脈の中で、
私の中で何度も立ち返るのが頒布会です。

頒布会とは、

  • 毎回同じ商品を繰り返し届ける仕組みではありません

  • ある「考え方」「価値」を軸に

  • 定期的に、異なる表情の商品が届く仕組みです

これは、

  • 売れ筋を増やすための手法ではなく

  • 売れ筋の価値を、事業として広げるための設計

だと私は捉えています。

単品リピート通販が
「同じものを、安心して繰り返し買う体験」だとすれば、

頒布会は
「同じ価値を、毎回違うかたちで味わう体験」です。


売れ筋を増やす=広告を増やす、ではない

ここで、あらためて整理しておきたいことがあります。

私は、
広告や集客を否定したいわけではありません。

ただ、

売上を伸ばすための最初の一手が、
必ずしも集客である必要はない

と言いたいのです。

  • 価値を再定義し

  • その価値を反復できる構造をつくり

  • 顧客の満足を積み重ねていく

その結果として、

  • 継続率が高まり

  • ロイヤル顧客が育ち

  • 事業基盤が強くなる

そういう成長の仕方も、確かに存在します。


なぜ「同じものを繰り返さない定期」が成立するのか

ここまで読んで、
こう思った方もいるかもしれません。

「定期なのに、同じものを繰り返さない?」
「それで、本当に継続するのか?」
「顧客は不安にならないのか?」

むしろ、
なぜ成立してしまうのか

なぜ、
同じ商品を繰り返さなくても、
人は「次も欲しい」と思うのか。

その答えは、
頒布会の“設計の仕方”そのものにあります。

次回は、
頒布会とは何かを、
単品定期通販との違いから丁寧に解きほぐしながら、

顧客は、いったい何を反復して買っているのか

という問いに向き合っていきます。

「同じものを繰り返さない定期」が成立する理由は、
そこにあります。

https://note.com/kawabe_atsushi/n/nb51419ddc3fd

────────────────────
▼ 本記事は、以下の連載の一部です。

どこまでもロジカルなダイレクトマーケティング
─ 広告・CRM・事業PLを貫く設計思想の全体像

全体構造・読み方はこちら
https://note.com/kawabe_atsushi/n/n879156f50c33
────────────────────

いいなと思ったら応援しよう!