薩摩拵
現在刀剣博物館にて行われている「日本刀美の表現と薩摩金工の精髄」展(〜2025/7/21)にて薩摩拵が複数展示されていた。
個人的に薩摩拵を実見するのは初めてで非常に変わった出来というか、薩摩武士の特徴が顕著に表れた拵であった気がしたのでメモとして残しておきたい。
薩摩拵の特徴については展示解説が非常に分かり易かった。

展示解説を基に薩摩拵の特徴を箇条書きしたのが以下。
御国拵
尚武の気風と示現流・自顕流の隆盛に強く影響を受けた、薩摩藩独自の拵。薩摩金工による金具で構成される。武骨な意匠
華美を廃し、あえて飾り立てない質実剛健なデザイン。柄
高価な鮫革の代わりに馬革や牛革を使用。目貫は省略。縁頭
強い斬撃に耐えるため、縁頭の腰を高く、がっしり頑丈に作る。小型の鐔
構えの邪魔にならないよう、小ぶりなもの。鯉留めの孔
鯉口・鐺を針金などで縛るための小穴(二つ開口)を設けたものがある。無闇に刀を抜かぬ自戒を表現。独特な返り角(滑り台状)
帯の返り角はフック状ではなく滑り台状とし、強く引くと帯ごと抜ける仕掛けで「抜刀は最後の手段」を示唆。精神の具現化
これら一連の工夫を通じて、武断精神と自制を重んじる「薩摩の精神」を体現している。
これを頭に入れて展示品を見ると非常に面白い。
全体的なフォルムとしては「鐔が小さく、柄や鞘が太く丸っぽい、反りは浅め」という印象。




こちらの拵もシンプルで質実剛健さが伝わってくる。




薩摩金工の鐔は精巧に出来た鐔も多く展示されていたので、柄や鞘は質実に見えつつも金具はこだわった拵も多かったのではないかと思うがどうだろうか。


例えば以下の薩摩拵は江戸ほどの華やかさは無いにしても金具からも比較的華やかな見た目の印象を受ける。


反対に以下の拵は金具もシンプルに質実剛健という言葉が合いそうな見た目。



桃山時代から江戸初期ごろの島津家の拵などにはまだこのような無骨な特徴は見られないので面白い。
展示品は全て江戸後期とされていたが、やはり薩摩拵の形状的にも江戸後期から幕末あたりに流行ったものだろうか。
薩摩拵をまとめて比較できる機会は今まで無かったので非常に得られる事の多い展示会であった。
それにしても「実」に特化した薩摩拵は如何にも戦闘民族島津の血を引いた薩摩武士の気概が伝わってくるようです。
2025/7/21まで刀剣博物館にて展示されていますので興味ある方はぜひ。こちらには書きましたが名刀も多く並んでいます。

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

