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ステージゲート制度の論文に触れ、考察する。(5)じゃあ、どうするか?



ステージゲート制度とは何か

― 目的・機能・背景を体系的に整理しています。
 自分のまとめ目的。

1.ステージゲート制度とは?

■定義

ステージゲート制度(Stage-Gate)は、
カナダの経営学者ロバート・G・クーパー(Robert G. Cooper)によって
提唱された新製品・新規事業開発の管理フレームワーク。

■論文:あり(1990年)
■タイトル:“Stage-Gate Systems: A New Tool for
      Managing New Products”(Business Horizons)
■概要:新製品開発を多段のステージに分け、
ステージの終了ごとに意思決定ポイント(ゲート)を設けるプロセス。
その後の著書『Winning at New Products』などでも体系化され、
現在では世界中の企業で採用されている。

■原文

https://www.researchgate.net/publication/4883499_Stage-Gate_Systems_A_New_Tool_for_Managing_New_Products


■これまでの要約はこちら

今回はこのつづき。

8. A Visible Road Map

概要:Stage-Gateは、共通言語の提供が目的。

以下を提供する。

  • 経営者に全体像を示す

  • プロジェクトリーダーに進路を示す

  • 組織に共通言語を与える

「Senior managers gain structure and vocabulary」
共通言語の提供が目的。

事例(図2を参考に)

ステージ2の詳細検討ステージでは、以下の検討が含まれます。
【検討内容】
・ユーザーニーズと要望製品における必須な機能や
 希望の機能を特定するための市場調査
・可能性のある技術的解決策完了の可能性
・開発にかかるコストや期間、潜在的なリスク
・特許の障害があれば解決法、関係部門通じた調査
【成果物】
・市場分析結果
・競合分析結果
・顧客の反応結果
・開発の評価結果
・生産の評価結果
・法務相談結果
・財務相談結果
・知財相談結果

Stage-Gate Systems: A New Tool for Managing New Products,February 1990Business Horizons 33(3):44-54

9. Typical Stage-Gate System(詳細工程)

後半(p.9–10)は詳細解説。

Gate 1:Initial Screen

  • 戦略適合性

  • 市場魅力度

  • 技術実現可能性

Stage 1:Preliminary Assessment

  • 市場調査

  • 技術予備評価

Gate 2:Second Screen

・基本はGate1とおなじ

Stage 2:Definition

  • 詳細市場調査(競合、ニーズ、ウィッシュリスト)

  • コンセプトテスト

  • 財務・法務・知財分析

Gate 3:Business Case Decision

ここで本格投資判断。

Stage 3:Development

ここでこれまでに問題を実際に解決。

Gate 4:開発後レビュー

Stage 4:Validation

  • 顧客テスト

  • 試験販売

  • 生産試験

Gate 5:Pre-Commercialization

Stage 5:Commercialization

Post-Implementation Review

成功・失敗の学習レビュー。


10. 著者の最終メッセージ

最後にCooperはこうまとめます。

Stage-Gateは:

  • 無秩序な開発に規律を与える

  • 成功確率を上げる

  • 経営の関与を強める

  • 学習を制度化する

単なる承認制度ではない。


11.論文を読んで思うこと(感想まとめ)

これは止める制度

本論文を読んで感じたのは、Stage-Gateは「質を上げる制度」
というよりも、まずは「止める制度」
無秩序に走り続ける“特急列車”を止める。
止めることで、残ったテーマに資源を集中させる。
その結果として、全体の成功確率を上げる。
これが本来の設計思想に近いのではないかと感じた。

この機能が発揮されるには

第一に、ゲートは「説得の場」ではなく「検証の場」であるという認識が、双方に共有されていること。
特に通過を目指す側が、指摘を乗り越える障害と捉えた瞬間、
制度は形骸化する。事業価値を最大化するために検討できているか?
双方で認識がいる。

第二に、ゲートキーパーは審査者である前に支援者であり続けること
一度前提を認めたのであれば、その前提が崩れない限り
支援を続ける責任がある。
いわゆる“はしご外し”が起きる環境では、制度は信頼を失う。

第三に、事前準備を軽視しない文化があること。
Homeworkを怠ったまま「走りながら修正する」ことを
正当化する風土では、Stage-Gateは単なる通過儀礼になる。

これらの前提が崩れたとき、制度は容易に“受験制度”へと転落する。

さらに言えば、制度の欠陥か運用者の問題かという問いもある。
もともと製品中心で設計された評価軸が、テクノロジーやサービス型ビジネスにもそのまま適用されていないか。
製品開発で成功した経験が、サービス評価では足かせになっていないか。
この点は慎重に検討する価値がある。

Stage-Gateが機能しないのは制度の問題なのか、それとも運用の問題なのか。あるいは、その両方なのか。この問いを、次に考えていきたい。


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