昔は本が好きだったのに、今は1ページも読めない。「耳」を使ったら戻れた話
本を開くのが、怖くなっていませんか。
仕事から帰ってきて、ふと本棚を見る。
「あ、あの本まだ読んでないな」と思って手に取る。
でも、ページを開いた瞬間、文字が上滑りしていく。
一行も頭に入ってこない。目がシバシバする。
結局、本を閉じて、スマホを眺めて一日が終わる。
そして残るのは、「また読めなかった」という自己嫌悪だけ。
これは、以前の私の話である。
読めなくなってから、私は何をしていたかというと、
ゲームをしていた。
アニメも見ていた。
別に嫌いになったわけではない。
むしろ楽しい時間だったはずだ。
ただ、問題はその後だった。
ゲームを切り上げた後、
アニメの最終話を見終わった後、
ふと時計を見る。
「ああ、また今日も何も残らなかったな」
そう思ってしまう自分がいた。
ゲームもアニメも嫌いではない。
だが、終わった後に残るのは、
「楽しかった」よりも
「時間を無駄にした」という感覚だった。
本を読めていないことが、
じわじわと自己評価を削っていく。
だから余計に、本を開くのが怖くなった。
開いて、読めなかったら、
「やっぱり自分はダメだ」と確定してしまう気がしたからだ。
昔はあんなに本が好きだったのに、大人になったら読めなくなる。
「意志が弱くなったのか」「好奇心が枯れたのか」と本気で悩んだ。
だが、違った。
本が読めないのは、意志が弱いからではない。
現代人の「目」と「脳」が、文字情報の処理に疲れ切っているだけである。
骨折した足でマラソンは走れない。
しかし「道具」があれば、移動はできる。
読書も同じである。
ここでは、私が「目で読む」を一度やめて「耳で聴く」に切り替え、読書を生活に戻した方法を書いておく。
「読む」のではなく「流し込む」
提案したいのは、iPhoneやiPadの読み上げ機能を使った「聴く読書」である。
高いオーディオブック契約が必須という話ではない。まずは手元のスマホで十分である。
やることは単純だ。
「本を目で追う」のをやめて、再生ボタンを押す。
それだけで、状況が変わる。
• 目が疲れない
視覚を使わないので、ドライアイでも、老眼でも、暗い部屋でも関係ない。
• 「ながら」ができる
満員電車でも、皿洗い中でも、散歩中でも、読書が進む。
• 止まらない
目で読むと、疲れた瞬間にそこで終わる。
しかし音声は勝手に流れていく。物語が前に進む。
これは読書というより、「脳に物語や知識を流しておく作業」に近い。
どんなに疲れていても、ラジオを流すくらいならできる。その感覚で本を扱えばよい。
最初の1冊は、Kindleアプリが楽だった
私はiPhoneの標準機能や、いくつかの読み上げ手段を試した。
そのうえで、最初のリハビリとしてはKindleアプリの読み上げ機能(アシストリーダー)が一番楽だった。
理由は難しくない。
雑に扱っても止まりにくいからである。
• 画面の向きが変わっても止まりにくい
• 通知が来ても止まりにくい
• 手が離せない場面でも続きやすい
疲れているときに必要なのは、高機能さではなく継続性である。
細かい設定で躓く余裕はない。
「機械音声は味気ないのでは」と思うかもしれない。
私も最初はそうだった。
だが慣れると、声より内容に意識が寄るようになる。目的は“気持ちよく読む”ではなく、“本の世界に戻る”である。
「積読」を「完了」に変える最短ルート
部屋に「いつか読もう」と思って積んでいる本があるなら、今日その中の1冊を開いて再生ボタンを押してみてほしい。
内容を100%理解できなくていい。
聞き流してもいい。
途中で意識が飛んでもいい。
それでも、数十分後には「本を触れた自分」が残る。
この小さな成功体験が、読書の再起動になる。
この方法に切り替えてから、私は「読書量」を数えるのをやめた。
数える必要がなくなるくらい、本を読むことが日常に戻ったからだ。
足が痛いなら、歩かなくていい。
目が痛いなら、見なくていい。
耳を使えば、本の世界には戻ってこれる。
追記:設定や検証が気になる人へ
「具体的にどう設定するのか」
「誤読はどうするのか」
「なぜKindleなのか」
こういう“技術的な話”は、別記事にまとめた。
今すぐ読まなくていい。
リハビリが進んで、余裕が出てきたら「そういう話もある」と思い出してもらえれば十分だ。
▼ 【検証】Kindleアプリ(v7.48.1)はiOS辞書と連動している。私がiPhone読み上げを卒業した技術的理由
紙の本を愛するあなたへ
「手元にあるのは紙の本ばかりなんだけど……」
「紙の質感や匂いがないと読んだ気がしない」
その気持ち、痛いほど分かります。私も元々は「紙派」でした。
正直に言うと、紙の本を「聴く」方法もなくはありません。
カメラで撮影して文字認識(OCR)をさせたり、裁断してスキャンしたり……。
ですが、今はそれをやらないでください。
その作業は、元気な時でも面倒くさい「地獄の作業」です。今の疲れた脳でやろうとすれば、間違いなく本が嫌いになります。
「リハビリ期間中だけ」と割り切って、Kindle(電子書籍)を使ってみてください。
元気になって、文字を目で追える体力が戻ってきたら、
本棚で待っている彼ら(紙の本)を、また開けばいい。
今は、無理に会いに行かなくていい。
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