償うということ 〜 赦し・序章 〜


📖『こころにしみる日々(下)~ 灯りを求めて。出所、そして壮絶な日々 ~』


7/4(火)🌟
2023.7.4

🐦⬛夜中に目が覚めてしまう。
薄手のカーテン代わりによしずをメインルームに立ててみる。風景は遮られるものの、気分が落ち着くことがわかった。少なくともしばらくの間はほとんどの時間を部屋で過ごすことになると思うので、人から見れば、いったい何者なんだということになってしまう。少しでも見えにくくしておきたい
🐦⬛遠くの風景を見ながら、ふと、

「花火が見えるんじゃないか?」
と思った。マップアプリで方角を確かめてみると、GY花火大会、YA花火、BK花火大会といった近隣の花火大会は多少小さくなるものの、十分に見えることがわかった。さらに小さくはなるものの、LL花火大会も見ることができそうだ。これはすごいと思った。信じられない。。。
もしもその頃までに私のこころが少しでも回復に向かえば、ぷんや元妻を招待することができるかも知れない
🐦⬛KYHの代理人のNM弁護士から電話が入る。
「部屋の明け渡しの立ち会いの件はどうなっていますか?」
「今、業者からの連絡待ちで、連絡があり次第、今日明日にでも最優先でと思っています」
🐦⬛業者から電話があり、13時に立ち会いということになる。
私は大急ぎで準備をする。KYに着いたのは13時前だった。私は駅前でタバコを吸ってからKYHに入る。玄関口に鍵がテープで貼ったままになっていた。窓を開け、部屋の中をざっと見回す。ゴミが少し残っていたので拾って、さらに元妻のものらしい毛皮風の襟巻きが押入れの中に転がっていたのでそれも拾う。とりあえず持って帰ることにしよう。元妻が来ることがあれば手渡すことができる。
立ち会いに現れたのは何度もいろいろな修繕をお願いしてきたTSのSKさんだった。
「お久しぶりです」
立ち会いはあっという間に終わった。問題はないということだった。
「淋しいです」そして
「いろいろお世話になりありがとうございました」
🐦⬛AB社 ◯◯店 ODさんへのお詫びのために、ケーキ屋へシュークリームを買いに行く。

待っている間に、ショーケースに並んでいるケーキを見ながら、いろいろな想い出が甦ってくる。つらい気持ちになる。IK神社に寄りたかったが、またの機会にすることにした。またの機会は訪れないかも知れないが仕方がない。来るなら改めてゆっくりと来たかったのだ
🐦⬛駅へ向かう。
電車が走り出す。私はiPhoneでメールをチェックしかけたが、これでKYの風景を見るのは最後になるかも知れないと思い、窓の外を眺めることにした。空は晴れ渡っていて風景がさらに美しく見えた。KY小学校を通り過ぎる。ST中学を通り過ぎる。大好きだったKYを、こんな形で去らなければならない。つらくなる。でも、さようなら。
🐦⬛GEKに着く。
改めて見る風景は美しすぎて、こんなに美しい町を去らなければならないということがつらかった。
次にいつ来れるのか今はわからない。ゆっくりと電車が動き出す。さようなら。
🐦⬛AB社 ◯◯店を訪れる。
「長々と話をするつもりはありませんが、本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。よろしければこちらを皆さんで召し上がってください」私はシュークリームをODさんに手渡した。
「ありがとうございます。いただきます」
「話は以上でございます。お忙しいところすみませんでした。それではこれで失礼させていただきます」
🐦⬛駅構内にある成城石井で47度のジンを買ってNKに帰る。

AOで買い物をしたあと、KIでオリーブを買おうとしたところでYMさんから電話が入る。
「どこをほっつき歩いとんすか?遊び回っとるんすか?契約書来てますよ」
私は近くにいることを伝え、FE社へ向かう。事務所の横にある駐車場でタバコを吸ったあと事務所に入る。
家主の捺印入りの契約書と重要事項説明書を受け取る。
「すぐに帰りますので」
「まぁ、いいじゃないですか」
「お忙しいのでは?」
「客なんか来ませんよ」
私は少し休ませてもらうことにする。あそこの飯の話になる。
「まぁ、こういうことを言うと勘違いする人がいるかも知れないので良くないかも知れないですけれど、食べられます。決して臭い飯ではないですね」
「ほんまですか?」
「ほんまです。個人差はあるとは思いますけど、私の場合、1ヵ月ではずれは1食か2食くらいでした」
「へぇ」
私はあそことあそことあそこでそれぞれ食べ物が違うということ、食事は受刑者が作っているということ、それを知ったとき、今すぐにシャバに戻りたいと思ったことなどを話した。

「興味津々でしょう?」
「そんなことないですよ。全然興味はないわ」
「ああ、そうですか。そりゃそうですわね」
やがて話は沖縄の物件の話、あの日の話になった。私はNKの物件が見つかったあと、FKさんとの初めての面談があり、そのとき初めて沖縄行きへの可能性があることを知ったこと、それからNKの物件の話が進む裏で沖縄の物件を探していたこと、NKの物件の審査が通ったあと、あの週末に沖縄の物件の審査が通ったという連絡が入ったという経緯などを話した。

「その話は最初から間違ってるんですよ。沖縄の物件を探してるんやったら、最初からそれを言うべきなんですよ。そうしたら、こっちも沖縄の物件を探すじゃないですか」
私は当初、生活保護を受給しているという話を伝えた際に、YMさんから冷たくあしらわれ、自分の置かれている状況がどういう状況なのかを痛感させられたということ、YMさんに沖縄の件を言っても、相手にしてくれないだろうなと最初からあきらめていたことなどを話した。
「それでも最初に言うのが筋じゃないですか?」
それはその通りだった。
「人が絡んでいると自分の思い通りにはならんのですよ。いろんな人が絡んでますからね。僕も最近はなるようにしかならんと思ってるんですよ。元々はそうじゃなかったんですけどね」
「それはわかりますね」
新しいケースワーカーの話。
そこから推測されるFKさんが駆け出しの若手かも知れないという話。
NK区役所では今後の長期的な生活保護を視野に入れるので、仕事を探すように指導することになるという話。
しばらく生活保護でゆっくり時間をもらえるというのは甘いかも知れないと思ったという話。
「そんなことはないですよ」
こちらは何もわかっていないので額面通りに受け取ってしまうという話。
こんな状態の人間に相談を持ちかけられても相手も困るだけなので、精神保健福祉センターに相談にいこうと思っているという話。
それでは解決しないですよという話。
「自分のしたことをやましいと思ってるんでしょ。それは普通の人間の持つ感覚なんじゃないですか?正常なんですよ。過ちを犯して悪いと思わず堂々としていられる人間の方が異常なんです」
私はその言葉を聞いて、はっとさせられた。
自分の持っている感覚は異常ではなく正常だったのだ。

「それに向き合うということが償いであり、償うということなんですよ。殺人を犯した人間でもそれは一緒でしょう。どれくらい時間かかるかはわからないでしょうけど」
「多分一生だと思います」
「そうかも知れないですね」
私のおかげで客から連絡が入ったという話。
「今、私にこうやっていい話をしているから、それが回っているんですよ。全てそういうことなんです」YMさん。
僕は何回も死のうと思ったことがあるんです。でも怖くてそんなことはできんかった。普通はそうでしょう?簡単に痛みもなく何もなく死ねるんならそっちの方がよっぽど楽だと思う。
花火の見える部屋に巡り合ってそれを得られたわけでしょう。それはカルマさんがこれまでにいいことをしてきたからやと思いますよ。だからピアノも置けて、眺望もいいあんな部屋を与えられたんですよ。僕はそう思ってますよ。
「僕の両親は◯◯GKやったんですよ。自分は嫌いですけどね。だって子供をほったらかして集会に行くんですよ。こっちが風邪ひいて寝てても。でも親がそれで救われてるんやったらそれでいいやろうと」YMさん。
私は祖先が天理教のお偉いさんだったことを話した
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これは実は、全体でひとつのリアルなストーリーになっています。
🔰📖『ここしみ』 超・あらすじ
👉ざっくりと全体を把握したい方へ
❓📖『ここしみ』って?
👉全体像。壮絶な日々の果てに綴られた“特別な一篇”。こころに灯る何かを感じてもらえたら。。。
壊れた人生。それでも生かされた。だから今語り始める。「罪と罰」、「愛と絆と再生」、そして「本当の自由」の物語。私があそこで過ごした272日間と、その後の壮絶な日々を綴っています。
また、獄中「🏛️訴訟ゲーム」を通じて、冤罪、死刑制度、司法の闇など、現代社会の深い問題についても斬ります。他に、「🏰ムショトピ」といったゆるーいコンテンツも。
そんな風に、ひとつの人生の軌跡を通じて、「生きるとは何か?」「愛とは?」を問いかけます。
👉気になるコンテンツだけでもOK
👉だいたいの話は各話ごとの短編としても(多分)お読みいただけます
📖『こころにしみる日々(上)~ 愛と喪失と再生の獄中272日間 ~』
📖『こころにしみる日々(下)~ 灯りを求めて。出所、そして壮絶な日々 ~』
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