不良と目力で戦った女子中学生の約60年未来の話
1 自然だけが懐かしい故郷
その村には雑貨屋さんが一つありました。だから買い物をする概念は一応あるけれど、その子は父子家庭で育ちました。
記憶にないけど、お母さんは病気で助からなかったと教わっています。痛みさえ覚えていないけれど、幼い頃にガラス片のようなものを踏み抜いたことが原因で、小学生の時に骨結核に感染しました。畳敷の和室で横になっていて、家族が近くを通る振動さえ、患部に響くほど症状は重く片足切断と診断されました。
娘の足を失いたくないと父親が他の医師も探してくれ、骨盤の骨を足首に移植する治療を受けられました。自分の骨ではあっても、傷が回復するまで違和感は残るものです。切断は回避できても、好きなだけ走れる足は失いました。
父子家庭だから見舞いは限られるし、家に帰れても児童福祉がないから松葉杖で歩けるようになるまで縁側の向こうの空を流れる雲を見上げて、一生分の孤独を経験したと言います。
『赤毛のアン』などが好きな夢みがちな本の虫の女の子ですが、曲がったことは嫌いです。気の弱い数歳上のきょうだいが、村の悪童にいじめられた時は、物干し竿を引きずっていき報復したとのこと。当時の大人達は子どもを見ており、それはあの子が怒るのも無理はないと理解したようです。
2 煤煙で空が暗い東京
父親の仕事の都合で東京の下町へ引っ越し、不良に目をつけられて、ライターを着火して鼻先に突きつけられた時、静まり返ったクラスで誰も助けてくれないことは理解し、黙って不良を睨みつけて気迫で勝ったらしいです。
「絶対許さん目」で存在感で勝負する子は、現代もいるかもしれませんね。
これは1960年代前半のことだから、まだ牧歌的ではあり、その後、この不良は彼女が廊下を通ると道を開けてくれたとのことなので、不良から根性あると認められたのかもしれませんね。動物的な、不良の勘もあるのでしょう。
3 四年生大学は遠く学費の負担は重い
1960年代の自宅から通学する貧乏学生(学費は自分で稼いでいた)としては、まだコンビニもない時代ですけれど、学んで本を読み、考える時間を持てたことが財産になっています。図書館の使い方、つまり、知らないことを理解できるようにするにはどうすればいいのかを獲得していますね。
例えば、これは彼女が結婚し、家庭塾の経営をした後のこと。家族の療養を支えるため、専門の教育だけでなく、クリーニング店の店番で働いたこともあります。彼女が50歳頃のことです。
図書館に行き、布地と洗浄の本を読み、またクリーニングの工場側(洗濯する側)の状況も理解して、リスクを見積もれるようになりました。だから、お客様がいらして断る時に、根拠を説明できます。
また、店は一人で切り盛りするから、一度会うと顔と名前を記憶できる特技を活かして、お客様が向こうのほうに見えると、その方のお洋服をバックヤードから用意してご来店をお待ちすることも出来ました。
そうした積み重ねから、3年間クレーム0を達成しました。
筆者はコールセンター業界で、アパレルも少し経験しました。クリーニングやお洋服のお手入れの対応は難しいです。ですから、その努力と仕事に敬意を抱きます。
このように、必要があれば学ぶ力のある人でした。これは、引退する前の話です。
4 引退して老いて死ぬことの難しさとDXの恩恵
現在は、色々あります。彼女としては、頼りにしていた利き足が故障してしまい、歩行が大変になったり、高齢で女性だから筋力が低下しやすいなど、老いて死ぬことは初めてのことだから、戸惑っています。けれど、福祉器具や人工関節などを検討しなくても、杖やサポーターを工夫すれば、快適に行動できるし、自転車も乗れています。
彼女は特定の思想心情はありません。でも、選挙の棄権はしない信念はあります。婦人参政権が無かった歴史を理解している人です。
彼女の健康への取り組みは、自分のためだけではないのです。
少子高齢化社会に対して市民として問題意識を抱いています。だから、彼女はたった一人かもしれないけど、健康を保って介護の確率を下げれば、医療費と介護費を減らせるかもしれない。自分のできる最後の祖国への貢献だと、痛いところがあってもストレッチしたり、主治医に相談したり、憂鬱な日も散歩は欠かさずに体を動かして拘縮などを予防しています。
5 考察
本稿で、筆者の私が言いたいことは抽象的な後期高齢者はおらず、一人の個人がいるということ。
誰だって誇りを保ちたいです。
安心して衰えて死んでいくことは、国の成熟度でもあると思います。
「歳だから仕方がないことは、本当に歳のせいだろうか?」と、僕は思います。
PayPayなどのバーコード決済で、ピッと買い物するのが楽しい高齢者もいるかもしれない。
町によって、どの支払い方法に対応しているか変わりますよね。だから、Apple Pay・Google Payでスマホで払えるのが快適かもしれないし、PayPayみたいな方法が無難かもしれません。
そして、Amazonとネットスーパー(もちろん、楽天でもどこでもいい)は、ネットで買い物をする基本だから、練習するといいと思う。
仮に、ベットで過ごす時間が増えても、欲しいものを買って、フードデリバリーで食べたいものを届けてもらえたら、楽しいと思う。つまり、贅沢を勧めてるのではなくて、高齢になっても諦めなくていいこともあります。それに、経済も潤います。
6 AIは友達ではなく現代を理解するための辞書だとしても
うちの母の世代は、友達は亡くなるか、介護や入院か、自宅療養中で、若い頃のように文通や電話で交流できません。ここは、息子が頑張っても、埋められません。AIもそうです。
だけど、「息子が書いたエッセイのあの言葉が分からないんだけど」とGemini Advanceに相談すると親切に教えてくれたり、ソフトバンクのキャンペーンでもらった(※一年分無料)Perplexity Proも調べてくれるし、ChatGPT+も話を聴いて理解してくれる。(AIが確率で間違えることを教えてあるから、他のAIでクロスチェックも行っています。)
だから、「また、教えて貰おう」と思える。AIは人ではないけれど、「もう話したくない」と思わせない仕事を誠実に果たしています。
人が老いて死んでいくことにおいて、公平や倫理は何だろうと考えています。私の母だけ特別扱いして欲しいのではなく、現在の技術で可能なことを現場が理解できれば、少子高齢化の負担の重さや理不尽さなど、多くのコミュニケーションを改善できると思えるのです。
だって、パソコンやネットに興味ない文系のばあちゃんが、AIと毎日話してますよ? SFみたいなことが現実に起きてる。2023年からだから、もうすぐAI歴2年になります、うちの母。
まとめ
辞書でいい、車椅子や義肢や松葉杖の代わりでもいい。海外の景色や文化や、カバの赤ちゃんの様子をYouTubeで眺めるのでもいい。電子レンジくらい不可欠な道具であるiPadは、生まれて初めて自分だけの部屋と時間を持てている彼女の現在を支えてくれています。ミニマリストだし、ラジオやAudibleが中心だから、スマートテレビは無くて十分なようです。
ネットは我々の窓や翼であり、それは高齢者も変わらないと、私は観察しています。
Photo by James Wheeler:
https://www.pexels.com/photo/symmetrical-photography-of-clouds-covered-blue-sky-1486974/
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