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布団に入っても30分以上眠れない人へ|入眠障害の正体と対処法 - 『睡眠』の栄養戦略

なぜか眠れない。頭が覚醒しているわけでもないし、寝る時間がいつもと大きく変わったわけでもない。それでもなかなか寝付けない。そんな経験、ありませんか?

実はこのタイプの不眠は、意外と多く見られます。

それ、深部体温のせいかもしれません。

睡眠は単に「疲れたから起こる現象」ではありません。人の体には眠るための生理的な条件があり、その一つが深部体温(core body temperature)です。


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深部体温とは、脳や内臓など体の中心部の温度のことを指します。この温度は一日を通して変化しており、昼に高く、夜に低くなるというリズムを持っています。

重要なのはここです。

人は体温が下がることで眠くなる。

夜になると体は眠る準備を始めます。視床下部の体温調節中枢が働き、手足の血管が拡張し、皮膚から熱が放出されます。その結果、深部体温がゆっくり低下し、脳が睡眠モードに入るのです。

逆に言えば、深部体温が十分に下がらない状態では、脳はまだ「活動時間」だと認識します。その結果、

  • 入眠が遅れる

  • 眠気が起こらない

  • 睡眠が浅くなる

といった問題が起こります。

眠れない原因は「脳」ではなく「体温」にあることも多い。

この関係は、睡眠研究でも繰り返し確認されています。

例えば、睡眠研究の分野でよく引用される研究の一つに、Krauchiら(1999)による研究があります。この研究では、入眠前の体温変化と睡眠開始の関係が詳しく調べられました。その結果、入眠のタイミングは深部体温の低下と強く関連していることが示されました。特に、手足の皮膚温が上昇し、体内からの放熱が起こるほど、入眠までの時間が短くなることが確認されています。

また、Raymannら(2005)による研究でも、深部体温と入眠の関係が検証されています。この研究では、体温調節と睡眠の関係を調べた結果、深部体温の低下が不十分な場合、入眠潜時(寝付くまでの時間)が長くなることが示されました。つまり、体温が高い状態では、脳は睡眠に入りにくい状態にあるということです。

入眠は「脳が疲れたから」ではなく、「体温が下がったから」起こる。

このため、深部体温のコントロールは睡眠の質を考えるうえで非常に重要な要素です。ストレスや体内時計と同じように、体温調節も睡眠の生理学の重要な一部なのです。次の章から栄養戦略の観点から深部体温を調整する方法について紹介します。

睡眠は一つの理由で乱れるわけではありません。下記の記事で様々な睡眠の悩みを持つ方への栄養戦略をまとめているので是非覗いてみてください。



第一章:グリシン - 深部体温の低下をサポートするアミノ酸

前章では、入眠には深部体温の低下が必要であることを説明しました。
では、この体温低下を栄養の観点からサポートすることはできるのでしょうか。

その代表的な栄養素が、グリシン(glycine)です。

グリシンは、体内に存在する最もシンプルな構造を持つアミノ酸の一つで、コラーゲンなどのタンパク質を構成する成分として広く知られています。また、食品にも多く含まれており、肉や魚、ゼラチンなどに豊富に存在します。

栄養学的には、グリシンは非必須アミノ酸に分類されます。つまり体内でも合成できるアミノ酸ですが、食事やサプリメントから摂取しても安全性が高いことが知られています。実際、食品添加物としても長く利用されており、安全性の面では比較的扱いやすい成分です。

グリシンは安全性が高く、食品としても広く使われているアミノ酸です。


グリシンはなぜ深部体温を下げるのか

グリシンが睡眠と関係する理由は、体温調節への作用にあります。

グリシンは摂取後、血液を通じて脳に到達し、視床下部の体温調節中枢に作用すると考えられています。その結果、末梢血管が拡張し、手足の皮膚からの放熱が促進されることが報告されています。

体の中で起こる変化は次のようなイメージです。

末梢血管拡張

皮膚温上昇

放熱増加

深部体温低下

つまりグリシンは、体温を直接下げるというより「放熱を促すことで深部体温の低下を助ける」と考えられています。

グリシンは放熱を促進し、睡眠に必要な体温低下をサポートします。

この作用が、入眠のしやすさや睡眠の質の改善につながる可能性があります。


グリシンと睡眠に関する臨床研究

グリシンの睡眠への影響については、日本の研究グループによって複数の臨床研究が行われています。

例えば、Yamaderaら(2007)の研究では、睡眠の質に不満を持つ成人を対象に、就寝前にグリシンを摂取させた場合の影響が調べられました。その結果、グリシンを摂取した群では主観的な睡眠の質の改善と入眠のしやすさの向上が確認されました。また、翌日の疲労感の軽減や日中のパフォーマンス改善も報告されています。

さらに、Inagawaら(2006)による研究では、グリシン摂取後の体温変化と睡眠の関係が検討されました。この研究では、就寝前にグリシンを摂取した場合、末梢皮膚温が上昇し、深部体温が低下する傾向が観察されました。そして、この体温変化が入眠潜時の短縮と関連している可能性が示されています。

グリシンは深部体温の低下を促し、入眠をサポートする可能性があります。

このように、グリシンは睡眠薬のように神経を鎮静させる原料ではなく、体温調節という生理的なメカニズムを通じて睡眠に作用する点が特徴です。


グリシンの摂取量とタイミング

グリシンの摂取量については、日本の機能性表示食品でも使用されている量が一つの参考になります。多くの製品では、1日あたり約3gのグリシンが使用されています。

研究でも、3g前後の摂取量で睡眠への効果が検討されることが多く、この量が実用的な目安と考えられます。
また、摂取するタイミングとしては、就寝の30〜60分前がよく用いられます。これは、グリシンが体温調節に作用するまでの時間を考慮したものです。

グリシンは1日約3g程度を就寝の30-60分前に接種してみてください。

深部体温の低下は入眠のトリガーになるため、就寝前にグリシンを摂取することで、体温低下のプロセスをサポートできる可能性があります。


第二章:深部体温を調整する栄養戦略

深部体温は、自分ではなかなか意識しにくい指標です。心拍数や疲労感のように体感できるものではないため、普段の生活の中で気づくことはほとんどありません。

しかし実際には、睡眠の質を左右する重要な生理指標の一つです。

深部体温は「眠れるかどうか」を決める生理スイッチの一つです。

体温が十分に下がると脳は睡眠モードに入り、逆に体温が高い状態では脳はまだ活動時間だと認識します。そのため、深部体温の低下がうまく起こらない場合、眠気が来ない、寝付けないという形で問題が現れることがあります。

重要なのは、こうしたタイプの不眠では、ストレスや神経の興奮が必ずしも原因とは限らないという点です。たとえば、

  • 強いストレスは感じていない

  • 寝る時間は毎日大きく変わっていない

  • 頭が冴えている感覚もない

それでもなぜか寝付けない。そんなときは、深部体温のリズムも疑ってみる価値があります。

ストレスや覚醒、体内時計に問題がないのに眠れない場合、体温調節が関係していることがあります。

睡眠は一つの要因で決まるものではなく、神経、ホルモン、体温、体内時計など複数の生理システムの組み合わせで成立しています。その中でも体温調節は比較的見落とされやすい要素ですが、実際には入眠のトリガーとして重要な役割を持っています。

今回紹介したグリシンのように、体温調節の観点から睡眠をサポートする栄養アプローチも存在します。睡眠の問題を考えるときは、単純に「眠くなる成分」を探すのではなく、生理学的にどの要素が乱れているのかを考えることが重要です。

睡眠サプリは「原因に合わせて選ぶ」ことで効果が変わります。

このnoteでは、プロフェッショナル層が安定して高いパフォーマンスを発揮するための栄養戦略をテーマに発信しています。日々のコンディション、集中力、回復力の基盤になるのは、やはり睡眠です。その睡眠を、生理学や研究データをベースに整理していくことを目的にしています。

気になるテーマをコメントで教えてください

もし、今後取り上げてほしいテーマや気になる分野があれば、ぜひコメントで教えてください。テーマでも特定の原料でも構いません。今後の創作の参考にさせていただきます!

こうした内容が役に立ちそうだと思ったら、フォローしてもらえると嬉しいです。今後も、コンディション設計に役立つ栄養戦略を発信していきます。

それでは皆様、ご健康に✋


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