英語50年史|第12話 ロサンゼルス入国審査ーー最初の関門
初めての海外旅行。初めての飛行機。
ソウル経由で、私はついにロサンゼルスに着いた。
ここからが、アメリカ本番だった。
入国審査という最初の関門
最初の関門は、ロサンゼルスの入国審査。
でも私は、全然不安じゃなかった。
出発前に地球の歩き方を読んでいたからだ。
入国審査のページは、暗記するぐらい読んだ。
どんな質問が来るか、だいたいわかっていた。
それに、ロサンゼルスに着く前から、すでに「英語の審査」は始まっていた。
機内のアナウンスが全部聞き取れた。
ソウルの乗り継ぎでも、英語のアナウンスは全部わかった。
だから入国審査のブースに並んだ時点で、すでにわかっていた。
俺、いけるな。
ブースに並びながら、前の人たちのやりとりを観察した。
当然だ。
怪しまれて当然の格好
荷物はデイパック1個だけ。
中に入っているのは1日分の着替えとモンベルの軽量な寝袋だけ。
しかも履いていたのはボロボロのジーンズ。
寝袋は、私にとって必須のアイテムである。
これさえあれば、最悪どこでも寝られる。
荷物が少ないのには理由がある。
空前の円高なので、必要なものは全部現地調達するつもりだった。
ヒゲは伸ばしていた。
旅先でヒゲを剃るのは面倒なので、最初から伸ばしておけば自然だろうと思っていた。
「3か月」と答えた瞬間
審査官に滞在期間を聞かれた。
地球の歩き方には、1週間か2週間と言っておけと書いてあった。
でも私は、そんなつもりはなかった。
1か月やそこらで帰るつもりはなかった。
だから適当に言った。
「3か月」
すると彼の目つきが変わった。
怪しんだんでしょうね。
荷物を全部出せと言われた。
実は、審査官が勝手にカバンの中を開けて調べるものだと思っていた。
でも違った。
「開けてください」と言う。
へぇ、と思った。
一応犯罪者じゃないんで、いきなり勝手に開けることはできないんでしょうね。
でもその時ちょっと意外だったのは、審査官の言い方だった。
丁寧な言い方だったことだ。
日本語で言えば、「〜していただけませんか」みたいな感じ。
初めて実際にネイティブと話したのに、言っていることが全部理解できる。
その口調の違いまで理解できていた。
映画でネイティブ発音を鍛えたおかげである。
焦りよりも、乗り換えの心配
焦ったかというと、そうでもなかった。
悪いことをしているわけではないし、なるようになれと思っていた。
それに正直なところ、頭の中には別の心配があった。
この後、サンフランシスコ行きの便に乗り換えなければならない。
ロサンゼルスの空港は土地勘が全くない。
間に合うだろうか。
その後も、どこに泊まるのか、どこへ行くのか、何をするのか、金はあるのか、いろいろ聞かれた。
でも、全部完璧に答えられた。
私の英語が完璧だったという意味ではない。
質問に対して完璧な回答ができたということだ。
まあ、どっちにしろ完璧なんですけどね。
しかも映画で鍛えたネイティブ風の発音でかましてやった。
最後は笑顔で "Have a nice trip." だったと思う。
サンフランシスコへ
その後、サンフランシスコ行きに乗り換えた。
初めての外国。初めての飛行機。
土地勘のない空港。
それでもスムーズに行けた。
案内表示を見ながら、特に困ることもなく乗り換えられた。
自分で自分がすごいと思った。
自分のやってきたことは間違っていなかった
英語が完璧に通じて嬉しかったというのではなかった。
正しい発音を練習してきて、正しい発音を聞いてきたんだから当然だと思った。
それよりも嬉しかったのは、自分がやってきたことが間違っていなかったということだった。
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