見出し画像

字素を組み合わせて並べる漢字造字法


京都龍安寺のつくばいの文字

 図1は、京都の世界遺産・龍安寺の「つくばい」です。龍安寺は、枯山水の庭園が有名ですが、この「つくばい」は水戸光国による寄進と伝えられており、「つくばい」は、茶室に入る前に、禊をするための手水鉢(ちょうずばち)としての役割をします。

図1 京都龍安寺のつくばい

 つくばいには、「吾唯足知」の文字が書かれており、英訳すると、以下の様な意味となります。
  I know small happiness.
  I learn only to be contented.

 なお、以前、この写真を使用して、以下の「漢字字素と書き順の関係は?」という記事を書いています。

漢字造字法と漢字教育

 つくばいに書かれている「吾唯足知」の文字は、真ん中の「口」に対して、以下の様な、上下 ⿰、左右 ⿰の組み合わせで、漢字の造字をしています。

  • 吾=五+口

  • 唯=口+隹

  • 足=口+龰

  • 知=矢+口

 すなわち、「吾唯足知」の漢字は、日本文化を表すと共に、漢字または字素(じそ, graphemes)を組み合わせて造字していることを教育するのに、非常に良い例なのです。

漢字の字素分解と合成

 それでは、五、隹、龰、矢、口の含まれる漢字を、JIS 第一水準と第二水準の漢字の中から、多式漢字検索の字素検索から求めてみます。

 結果は、以下の様に、五:14個、隹:90個、龰:89個、矢:36個、口:1148個となりました。
 すなわち、6個の中で1個には口が含まれており、漢字は、このように、字素を並べて造字していることが分かります。

 以下に、具体例な漢字の例を示します。

五: 14
五, 語, 悟, 吾, 伍, 唔, 圄, 晤, 梧, 牾,
珸, 衙, 寤, 齬

隹: 90
進, 権, 集, 確, 難, 護, 準, 観, 推, 催,
離, 維, 雄, 雑, 躍, 曜, 獲, 焦, 奪, 雇,
携, 顧, 歓, 勧, 雅, 擁, 唯, 鶴, 准, 奮,
隻, 稚, 穫, 鷹, 濯, 羅, 雀, 椎, 誰, 雌,
崔, 礁, 蕉, 堆, 雁, 隼, 惟, 碓, 隹, 淮,
帷, 售, 雋, 凖, 雉, 雍, 雎, 匯, 翟, 蒦,
截, 摧, 潅, 儁, 憔, 薙, 錐, 樵, 糴, 攤,
鷦, 罐, 攫, 癰, 蘿, 讎, 躙, 讐, 觀, 讙,
衢, 糶, 籬, 鑵, 躪, 顴, 鑼, 驩, 鸛, 钁

龰: 89
定, 題, 提, 疑, 足, 起, 路, 超, 従, 走,
踏, 徒, 越, 躍, 露, 跡, 促, 是, 趣, 距,
礎, 縦, 踊, 趙, 践, 赴, 堤, 凝, 跳, 旋,
錠, 捉, 淀, 擬, 婿, 赳, 鷺, 蛋, 醍, 蹴,
蹄, 疋, 胥, 掟, 趺, 跂, 趾, 從, 匙, 徙,
捷, 跌, 跛, 趁, 寔, 跋, 壻, 跚, 跏, 跖,
跪, 跨, 楚, 跟, 睫, 碇, 跣, 跫, 踉, 綻,
跼, 踈, 跿, 諚, 踝, 樅, 慫, 踐, 踞, 踪,
踟, 蕗, 躔, 躓, 齪, 躑, 躙, 躡, 躪

矢: 36
知, 疑, 族, 医, 候, 短, 智, 矢, 疾, 痴,
凝, 擬, 矯, 挨, 嫉, 侯, 矩, 喉, 矣, 俟,
矧, 埃, 欸, 笶, 猴, 竢, 雉, 肄, 矮, 聟,
蜘, 嗾, 篌, 踟, 蔟, 薙

口:1148 (100のみ)
同, 事, 議, 部, 党, 合, 回, 員, 問, 高,
京, 言, 調, 治, 和, 加, 話, 設, 保, 記,
結, 点, 活, 名, 向, 告, 認, 知, 信, 使,
品, 論, 計, 感, 各, 始, 革, 確, 減, 台,
容, 談, 格, 口, 過, 局, 税, 検, 常, 語,
営, 証, 可, 割, 説, 難, 研, 何, 石, 足,
違, 護, 害, 副, 警, 宮, 訪, 店, 試, 域,
衛, 額, 環, 験, 商, 景, 落, 賞, 訴, 造,
頭, 味, 閣, 韓, 個, 評, 課, 若, 極, 影,
命, 含, 福, 整, 融, 答, 況, 識, 呼, 谷,,,

 なお、多式漢字検索については、以下のリンクをご参照下さい。

漢字の字素を組み合わせて並べる造字方式


 字素(じそ, graphemes)を組み合わせて並べる漢字の造字方式は、以下の12種類がある。

  1. ⿰: 吾=五+口、足=口+龰、休=(にんべん)+ 木、隹=イ+↓+丁+三

  2. ⿱: 唯=口+隹、知=矢+口、青=龶(十+二, じゅうに)+月

  3. ⿲: 術=(ぎょうにんべん)+术 +亍

  4. ⿳: 草=(くさかんむり)+日+十

  5. ⿴: 国=(けいがまえ)+玉+ →

  6. ⿵: 間=(もんがまえ)+日

  7. ⿶: 山=↓+(かんにょうは後)

  8. ⿷: 医=→+矢+ ↳

  9. ⿸: 病=(やまいだれ)+丙、広=广(まだれ)+ム、灰=(がんだれ)+火

  10. ⿹: 包=(つつみがまえ)+己

  11. ⿺: 進=隹+ (しんにょうは後)

  12. ⿻: 力=↴+↙=/TU/=/つ/、九 =↙+㇈=/UN/=/うん/、果=日+木、車=亘+↓

 このように、漢字は、上下左右などに字素を並べて、漢字を造字していることが、理解できます。
 そうすると、漢字数が少なくなるので、漢字を学習する壁が、低くなった気がするのではないでしょうか?

 なお、以前、「麦+分 +灬」で、 「ピザ(pizza) = 麦 +粉+火焼 (wheat + flour + baked by fire)」などのように、 新しい漢字を作ったことがあります。

 また、字素が見つからない場合は、画素(かくそ, 原子字素, atomic graphemes)を用いて、次のように、分解します。
  凸= → +↓ +㇈ +凵
   = /→↓㇈↳↓]=/AINLI]=/あいんり]
  凹= ㇈ +↓ +→ +凵
   = /㇈↓→↳↓]=/NIALI]=/にあり]
なお、凸の3画目を𠄎で書きたくなりますが、最長一致ではなく、字素分解の規則が優先するので、㇈となります。

まとめ

 漢字の字素を組み合わせて並べる12種類の漢字の造字方式について解説しました。
 次回は、「漢字の意味と発音の構成要素」について解説します。

漢字学習リンク:⿰⻖、⿺⻌廴、⿸广厂疒尸戸

 以下のリンクで、部首(ぶしゅ, radicals)の手書きなぞり練習ができます。

 ご意見やご感想は、コメント欄に書いていただければ幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!

Kanji Science ありがとうございます。いただいたチップは、漢字認識サーバのスケールアップや運用費用の一部として利用させていただきます。