鏡の前で迷う、 “比べてしまう美しさ”
こんにちは、僕は美容師という仕事を通して、
たくさんの「美しさへの迷い」に立ち会ってきたと思います。
「もっと小顔に見せたい」
「SNSで見たあの人みたいになりたい」
「なんだか老けた気がする」
どの言葉も、とても正直で、
誰の心にも起こりうる感覚だと思います。
ただ、その奥には、気づかないうちに
“他人の正解" を多く入り込んで、
人と比べる視点だけにいるように感じています。
比べすぎた心が、少し疲れているだけ。
________
今は、比べやすい時代です。
スマートフォンを開けば、整えられた美しさや、
完成された雰囲気が当たり前のように流れてくる。
意識していなくても、
「自分はどうだろう」と心が反応してしまうのは、
自然なことなのかもしれません。
でも、人と比べ続けていると、
少しずつ自分の感覚が遠のいていくように思います。
「どう在りたいか」よりも
「どう見られるか」が先に立ち、
美しさの基準が、外側に置かれてしまう。
鏡の前に座るお客様を見ていると、
本当に苦しくなりやすいのは、
誰かより劣っているからではなく、
「今の自分を、そのまま受け止めきれなくなっている状態」なのではないかと思います。
もちろん僕自身もありますし、みんながそんな部分は持ち得ているのではないでしょか。
そんな場面に立ち会うときに、
僕はよく思います。
この方にいま必要なのは大きな変化ではなく、
一度立ち止まって“整うこと”なのではないかと。
________
心理学の分野では、森林浴や自然音が、ルッキズムの影響を和らげるという研究もあるそうです。
それは、
「人と比べる自分」から
「自然の一部として存在する自分」へと
静かに戻してくれるからだと言われています。
自然の中では、誰かと比べる必要がありません。
高い木も、低い草も、
それぞれがその場所で息をしている。
そこに優劣はなく、
ただ“在る”という感覚だけが残る。
その心の静けさが、
表情を変え、髪の艶を変え、
目の奥の光を変えていく。
________
時に、サロンの中でも僕はそれに似たような変化を何度も目にしてきました。
美容室は、単に外見を整える場所ではなく、
心を再起動させる場所にもなっているのではないかと。
僕たちが目指している“豊かな暮らし”とは、
まさにこういった心の静けさの延長線にあるものだと考えています。
先に述べたような、"自然"を感じさせるような設計のサロンづくりをしています。
デジタルの物をなるべく排除したり、
物が少なくシンプルで優しい色味の内装など。
BGMは音楽とホワイトノイズでの工夫。
(この辺りのことはまた別の記事にてまとめます)
こう言った、
僕たちが目指す世界観のようなものも、
お客様から選ばれ続ける理由の一つかもしれません。
________
髪質や骨格、頭の形。
それらは、
直すべき欠点としてたげてはなく、
その人がこれまで生きてきた時間の痕跡のようなものだと思っています。
そこに無理を重ねるより、
今の状態を丁寧に見つめ直すようにすること。
必要以上に変えなくても、
その人らしい自然な美しさとは、
誰かのようになることではなく、
「これが今の自分なんだ」と静かに受け止められることだと思います。
そして変化や成長は、その先にあるもの。
まずは、少しずつでいいから比べることを手放してみる。
自分の感覚を大切にすること。
そこから、自然と次の一歩が生まれていく。
美しさは、競争ではなく回復なのかもしれません。鏡の前で、自分に戻る時間をつくること。
それが僕の仕事の本質です。
今日も誰かが、「比べる自分」から
少しだけ自由になれますように。
今日もお客様と楽しみを共に向き合い続けています。
いつもありがとうございます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今日もいい一日を。
