吃音とパンクと、僕の青春
僕をずっと悩ませていた「吃音」の苦しみは、高校生の頃は、不思議なほど影を潜めていました。
通っていたのは、偏差値53くらいの、少し頭が悪い高校。
そこには、ギャルやガングロ、ヤマンバ、Bボーイ、腰パンなど、本当にいろんなタイプの人がいました。
ガチの不良もたくさんいましたが、その多様さが僕を楽にしてくれたのかもしれません。
授業を真面目に聞いていなくても、あまり問題視されない。
先生から問題を当てられても、「聞いてませんでした」「わかりません」と適当に返せば、それで許される空気がありました。
「当てられたらどうしよう」と怯えていた中学時代とは違い、心のどこかで安心感があったのだと思います。
試験前に少し勉強すれば赤点は免れたし、3年間、追試やレポートに追われることもありませんでした。
ただ、あまりにサボりすぎて出席日数はいつもギリギリ。
留年や卒業の危機には、何度も直面していました。
■雷に打たれたGOING STEADYとの出会い
当時の僕にとって、生活のすべては「サッカー」でした。
それ以外はどうでもいい。
そんな毎日を送っていたある日、僕はGOING STEADYの音楽に出会います。
「何これ?まるでブルーハーツみたいだ!」
心臓を直撃するような衝撃でした。
まさに、雷に打たれたような気持ちです。
友達が「これはインディーズっていうジャンルで、タワレコやディスクユニオンに売ってるんだよ」と教えてくれました。
それからは、パンク、メロコア、ハードコア、スカなど、インディーズの世界にどっぷりとのめり込んでいきました。
ライブハウスにも通うようになりました。
そこには、僕と同じような、日常のなかで爆発しそうな、発狂しそうな思いを抱えた仲間たちが集まっていました。
爆音に合わせて拳を上げ、踊り、モッシュやダイブを繰り返す。
最高に楽しい時間でした。
まだGOING STEADYがそこまで有名ではなく、新宿LOFTで200人くらいが集まり、みんなで叫ぶように合唱したライブは、今でも忘れられません。
友達の家に泊まりに行ったり、新しい世界がどんどん広がっていく。
世界が少しずつ開けていく感覚がありました。
もちろん、ライブハウスで「コーラ」を注文するとき、吃音のせいで緊張して嫌な思いをすることもありましたが、それ以上に音楽が僕を支えてくれていました。
■恋、電話、そして「絶望」の面接
恋愛も経験しました。
ダブルデートをしたり、女の子とディズニーランドや花見に行ったり。
初めてのデート、初めての彼女。
高校3年生の頃には電話で話すことが流行りました。
最初は「吃音があるから嫌だな」と抵抗がありましたが、不思議なもので、心を許せる相手なら少しずつ話せるようになっていきました。
だから、高校の友達は僕に吃音があることを知りません。
しかし、卒業を控えた専門学校の入試で、僕は大きな壁にぶつかりました。
美容師になりたいという夢を持って面接に挑むものの、自分の名前も学校名も、言葉が出てこないのです。
専門学校は「3年間で欠席10日以内」が基準と言われるなか、僕の欠席日数は90日。
そこに吃音が重なり、面接官からは冷たく「もういいよ、座って」と切り捨てられました。
あの時の絶望感は、言葉にできません。
それでも、僕は必死で食い下がりました。
「やりたいことは全力でやる性格です。サッカーだけは誰にも負けない努力をしてきました。好きなことに嘘はつけません。高校はサッカーをするために入ったから欠席が多いですが、美容師には本気でなりたい。自分の気持ちを裏切りたくないから、全力でやります」
その思いが届いたのか、一校だけ合格をもらうことができ、僕はなんとか美容学校へ進むことになりました。
■「手話」を考えたほど、追い詰められた日々
しかし、その後の美容学校で、僕は人生ワースト3に入るほどの辛い体験をすることになります。
「上手く話せないなら、いっそ話すのをやめて、手話を覚えようか」
そう真剣に考えるほど、僕は追い詰められていました。
どもることで誤解され、真面目にやっていても反抗的に見られたり、「超ピュアなキモ男くん」と心ない言葉をかけられたり。
言葉を発することが、嫌で嫌で仕方ありませんでした。
「本当は話したい。伝えたい」
そんな願いを抱えながらも、耳が不自由な方のための手話を、話せる自分が使うのは失礼にあたるのではないか。
そう葛藤して、買った手話の本を、勉強する事はしませんでした。
どう生きればいいのか。
どうすれば誤解されずに済むのか。
高校生から21歳頃までの僕は、ただひたすらに悩み、苦しみ、爆発しそうな感情を抱えて生きていたのです。
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物書きを仕事にしたくて頑張ってきました!1度諦めた夢です。しかしnoteと出逢えて表現場所が出来て嬉しいんです!有料記事を無くしていきたいのでチップの応援お願い致します🙇♂️