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【読書感想文】天久鷹央の推理カルテ『ファントムの病棟』

前回読んだ「天久鷹央の推理カルテ」が面白かったので、シリーズを追いかけてみた。

さて、今回はどんな話なのだろうか?

3つのストーリーに分れているのだが、最初の話はコーラが大好きな男の話。
1日に4.5リットルものコーラを飲んでいるため、妻が心配していたある日、コーラを飲んだ途端に倒れてしまうという話だ。

本人は毒が入っていたんだというけど、そこには愛の結末があった。

2つ目は、吸血鬼が登場する。
深夜、床に点々と滴る赤い血。
たどっていくと、その先には輸血パックが空になって転がっている。
院内では吸血鬼が出たと噂が広がる。

これを解決するために、鷹央が出向くわけだが。
そういった話が大好物の彼女は、いとも簡単に解決する。
果たして本当に吸血鬼だったのか?

3つ目は、本書の要となる話だと思う。
いつもは強気で、なんでも瞬く間に解決する鷹央だが、小児科に天使が出たと聞き、躊躇してしまう。
どうしても小児科に足を踏み入れることができない。

周りの人間は、そんな鷹央に首をひねるのだが。

なんでも覚え、院内の誰よりも診断能力が高く、態度もデカイ。
そんな鷹央の怯えたような姿と、小さく見える背中。

一体どうして?
なにが彼女をためらわせているのか。

そこには、鷹央の親友とも呼べる少年、健太が入院していた。
だが、健太の命は風前の灯。
それを恐れる鷹央は、回診することもできない。

私としては、それだけ大事な存在なら、逆にちゃんと診てあげるべきだと思うが、治せる病状ではないという。
死に直面した鷹央は、その悲しみと苦しさに打ちひしがれる。

医者って大変だなぁとつくづく思った。
よく聞く話だけど、医者だからって、人の生死に鈍感なわけではない。
慣れることもないという。

そんな医者の悲しみと苦しみを、本書は切々と語っているように思えた。

また、悪ガキ三人組が登場するが、その悪ガキもいい仕事をしている。
子どもだから、後先考えずに人を傷つけることがある。
この悪ガキたちも、健太の心を傷つけてしまう。
だが、病状を知った悪ガキたちは、健太に贖罪をと考える。

大人には、単なるいたずらと見えることも、本人たちにとっては大きな心の動きなのだと教えている。

最後の話はかなり重い話だったが、医者の苦悩を表現した作品だと思えた。


タイトル:天久鷹央の推理カルテ『ファントムの病棟』
著者:知念実希人
出版:実業之日本社文庫


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