【読書感想文】天久鷹央の推理カルテ〔完全版〕
2014年9月に刊行されたものを書きおろし、完全版として出された本書。
面白いと評判だと聞き、ならば読んでみようと手にした。
2014年に書かれたものならば、作家当初の固い文章かと思いきや、書きおろしたというだけあって、非常に読みやすかった。
読みやすいのに、なぜか私は読むのに時間がかかったのだが。
スラスラ読めるし、医療ものとはいっても難しくはないし。
それなのに、どうしてか読めない。
いや、読めるんだけど、進まない。
よくよく考えてみると、振り返って登場人物の名前を確認したり、今人物はどこにいるのかと確認したり。
つまり、確認作業を入れていた。
いつもはそんなことはしないのに、なぜなのか?
思うに、面白いからこそだと思った。
面白い作品ほど細部を確認したくなるのだろう。
自分に合わないとか、なかなか物語に入れない作品は、振り返ることがない。
登場人物の名前なんて、適当に読んでおいても、後でつながればいいや。
という意識で読むので、読み進めるのも早い。
だが、今回はそうはいかなかった。
これが原因のような気がする。
しかも、一行ずつをじっくり読んでいた。
それにしても、なんでこんなにじっくり読んだのか?
冒頭は少年が出てきて、河童がいるとか言い出す。
どんな風に本編へと流れて行くのか、ここが大事だと思ったのだろう。
そのため、登場した少年の名前を振り返る。
ふむふむ、俊介と幸太か。
と、確認する。
シーンは展開され、病院へ。
河童はどこへ行ったのか、患者の病状から診断へと入る。
ここが面白い!
決して難しい病名ではない。
しかし、一般的に本に登場するのって、難しそうな病気だ。
それなのに、ビタミンAの摂りすぎとか、アルコール依存症とか。
あ~、あるよね~。
へ~、そういうこともあるんだぁ。
と思うわけだ。
こうして読み進めて、薬をジュースで飲むと、モノによっては大変なことになるんだな、と分かる。
もちろん、一般的な知識はある。
ジュースで飲むと、化学反応を起こすこともあるとは聞いている。
だが、ついつい面倒で、手元にあるもので飲んでしまうということは、よくあることだ。
だが、これからは気を付けようとつくづく思った。
難しい病気を題材にされるより、こういうのあるよね、という、誰もがやりそうなミスを題材に持って来られると、読んでいても面白い。
我が身に置き換えやすいからだろうな。
しかも著者は現役の医者だ。
書いてることに嘘はない、はず。
ストーリーは創作でも、医療に関しては信じていいように思う。
こういう生活に近い病気を書いてくれると、勉強になる。
天久シリーズは他にも多数あるので、これからが楽しみだ。
タイトル:天久鷹央の推理カルテ
著者:知念実希人
出版:実業之日本社文庫
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