【YouTube無料】「大将キム・チャンス」韓国の「反日の英雄」を(今はなき)チョ・ジヌンが演じる 堂々たる反日映画
【概要】
1895年、キム・チャンスは王妃暗殺に加担したとされる日本人を殺害し逮捕される。死刑宣告を受けるチャンスだったが、収容者のほとんどが身に覚えのない罪で服役していることを知り、彼らの免罪を晴らすために読み書きを教えることに。ある日、キムと仲間たちは巨大な鉄道建設作業所に送られることに。そしてそこでは、想像を絶する試練が待ち受けているのだった――。
(YouTube概要欄より)
2017年作品
대장 김창수
Man of Will
邦題別名「隊長キム・チャンス」
【出演者】
チョ・ジヌン/ソン・スンホン/チョン・マンシク
監督:イ・ウォンテ
本編
予告編
【評価】
(ネタバレなし)
最近の無料YouTube映画は、「ゆきゆきて、神軍」なんかの公開で「攻めている」と言われます。
たしかに最近、YouTubeの無料映画は、ガンバってますね。
この映画の無料公開なんかも、「攻めている」ほうだと思います。
閔妃殺害事件の報復として日本人を殺害し、死刑判決を受けるが脱獄、反日・韓国独立運動を主導して、のちに大韓民国臨時主席になる「金九(きん・きゅう キム・グ)」の伝記映画です。
そういう映画ですから、気持ちいいくらい「反日」です。
日本の地上波なんかで流れる可能性は万に一つもないので、YouTubeで無料で見られるうちに見ておくべきでしょう。
映画としては、「愛国の英雄」を持ち上げすぎて、非現実的、歴史的正確さも疑問符がたくさんつきます。
映画としての評価は100点満点で70点くらいでしょうか。
でも、とにかく「日本人が憎い!」と思わせる、という点では成功しています。反日映画としては90点くらいか。
歴史的正確さについては、この映画の英語版wikiの、以下の記述が参考になるでしょう。
映画には多くの要素がフィクション化されており、ほとんどの脇役もその一つである。李監督は、綿密に正確な歴史描写は一般的に大衆への影響力が低く、博物館に収蔵されるにとどまるため、こうした変更は正当化されると述べている。
特に注目すべきは、キムが殺害した男は明成皇后殺害とは何の関係もない日本人民間人(土田譲亮)であったという点で、多くの研究者が一致している点である。李監督は、土田の無実よりも、当時の民衆が日本人に対して抱いていた一般的な不満や怒りの方が重要だと述べている。
映画で描かれている時代とほぼ同時期に仁川で最初の鉄道が建設されていたのは事実だが、キムがその建設に関与していたという証拠はない。実際、金九が強制労働を強いられたのは、映画で描かれた時期から10年以上後の2度目の投獄時で、しかも港湾での労働だった。
監督・脚本家のイ・スンギは、この要素を創作したのは、朝鮮における日本の帝国主義を正当化する一般的な論拠に反論するためだと述べている。特に、何千人もの人々が奴隷のような状況で働き、命を落とした日本の強制的な近代化政策が、表向きは朝鮮にとって有益に見えるプロジェクトを生み出しながらも、実際には日本の富を増やすためのものであったことを強調したかったという。
さらに、金九の命を救うための嘆願書は高宗に送られなかった。イ監督は、高宗が金九を助命したのは単に証拠がなかったからだと主張している。
また、金九は映画の時代頃に「金九」という名前を名乗ったわけではない。彼は生涯で2度投獄されており、映画の題材となった投獄は最初の事件で、名前を変えたのは2度目の投獄時だった。
でも、このwikiの記述も、そのまま信じるべきではないでしょう。
まさに論議の的になっている「歴史問題」ですから、各自が調べて歴史の真実を探るしかありません。
参考まで、キムの日本人殺害事件は、日本語版wiki「金九」の記述では、以下のとおりとなります。
1896年 - 鴟河浦事件。食事を注文した時に女給が自分より先に食膳を与えるのを見て憤慨したのが真相ともいうが、閔妃殺害にはなんら関係がない日本人の土田譲亮を、後の本人の言によれば、土田が朝鮮人のふりをしていたことから閔妃殺害の仲間か同類の輩と考え、日帝・日本人への懲罰として殺害したという。仁川領事館の報告書では、土田は「長崎県出身の庶民」であり、「出張中の長崎商人の従業員」と記されていたとされる。しかし、金九は自叙伝の中で、土田は刀を隠しており、日本陸軍中尉であることを示す身分証明書を持っていたと主張している。殺害後金品を奪って逃走、捕縛され、強盗殺人犯として死刑判決を受けた。後に特赦により減刑され、さらにのち、脱獄する
あと、この映画を見て思ったのは、文字が読める、文章が書けることがすごく讃えられて、「嘆願書」みたいな書類の効果が凄い。
読み書きが巧みな人、書類を書ける人が政治的に勝者になる、出世する、というのは、まさに儒教文化で、日本もそうなんですが、そういうところが欠点でもあるよな、と思いました。
この映画のもう一つの値打ちは、若くして引退したチョ・ジヌンが「金九」を演じていることです。
チョ・ジヌンは私の好きな役者でしたが、高校時代の犯罪歴が暴かれ、昨年(2025年)12月に49歳で引退しました。
私は以前、「悪いやつら」(2012)でのチョ・ジヌンを讃えて、以下のように書きました。
チョ・ジヌンは、「卑劣な街」にも出ていて、どちらの映画でも、ヤクザなのか、ギャング組織員なのか、どっちつかずの役をやる。Vシネマを取り上げた別の記事で、私はインテリヤクザ役の草刈正雄を讃えたが、チョ・ジヌンもそういう役がうまい。ヤクザになるには考えすぎる男、というか。
チョ・ジヌンは、撮影現場でも暴力的だと言われましたが、まあもともとそういうイメージで、不思議はないですね。
キム・ギドク問題や、K-Popでの同様の問題でも思ったけど、韓国の芸能界からそういう問題人物や問題行動を完全に排除したら、韓国らしさがなくなるとさえ思う。
いまの「コンプライアンス」過剰は、どの国でも問題ですが、チョ・ジヌンがこんな形でいなくなったのは、本当に残念です。また戻ってきてくれないかな。
なお、チョ・ジヌンは、他のYouTube無料映画「消えた時間」(2020)にも出ています。
あと、ついでに、今のYouTube無料韓国映画では、「カエル少年失踪殺人事件」(2011)も傑作なので、未見の人にはこの機会にお勧めです。
<参考>チョ・ジヌン関連
