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評価経済社会の核心的な概念:「評価」が新たな通貨になる

「評価」が新たな通貨である

岡田斗司夫氏が2011年に刊行した『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』は、まさにこの新しい社会像を提示した本です。
評価経済社会の核心となる概念は、「評価が新たな通貨である」という一点に集約できます。前Noteで述べたように、人々がお互いに与える「いいね!」や「フォロワー数」といった評価指標が信用となり、それ自体が価値移転をもたらすという考え方です。

まず何が評価されるのかについて整理すると、評価経済社会における価値は他者への影響力や貢献度です。岡田氏が述べるように「新しい社会の競争は『どれだけ有名になれるか』『どれだけ高評価を集められるか』である」とされ、言い換えれば注目度=評価の高さが競争の軸になります。これは決して単なる虚名を指すのではなく、裏には「多くの人から支持・信頼・尊敬を集める能力」があることを意味します。具体的には、芸術家やクリエイターが作品で多くのファンを得ること、研究者が論文引用や評価で高い名声を得ること、あるいは会社員でも社内外から人望を集め専門コミュニティで名の知れた存在になることも含まれます。こうした定量化しにくい価値の源泉を見える形にしたものが、SNSのフォロワー数やユーザーレビューなどの「評価」です。

次に誰が評価を行うのかですが、評価経済社会では基本的に全員が互いを評価し合う関係になります。従来、著名人の評価はマスメディアや評論家といった一部の発信者に委ねられていました。しかし現在では、一個人の発言や作品に対して世界中の誰もがリアクションしフィードバックを与えられます 。例えば、新商品に対する一般消費者のレビューが企業のブランド価値を左右したり、一介のブロガーの記事が専門家顔負けの影響力を持ったりする現象が起きています。評価の主体が大衆へと分散したことで、「評価される側」もまた大衆一人ひとりになり得ます。いまや私たちは皆、Twitter(現X)での発言やInstagramの投稿が日常的にフォロワーから評価される存在であり、良くも悪くも評価と無縁ではいられないのです。

SNSやデジタルテクノロジーの影響は、評価経済社会を実現するためのインフラそのものです。インターネット登場以前にも評判経済はコミュニティ内で存在しましたが、それは口コミや狭い人間関係の中に留まっていました。デジタル技術によって、時間や距離を超えて膨大な人々と繋がり評価し合うことが容易になった点が決定的に異なります。岡田氏も「ハイパー情報化社会の到来とともに、だれもがたやすく贈与のやりとりを実現できる」と述べ、SNS上で「お米を差し上げます」と呼びかければ欲しい人がすぐ集まり、借りた人は別の形で返すという透明なサイクルが延々と続くとしています。このように「お金を動かさずに経済を回す」ことが可能になるのは、まさにSNS等で評価(信頼)が記録・共有されるからこそです。さらにデジタルプラットフォームは評価を数値データとして蓄積し可視化します。評価経済上のムーブメントは従来の経済統計には現れにくいものの、人々は確実にSNSやネット上で価値を交換しており、このデータこそが新たな経済指標とも言えます(例:YouTubeの再生回数ランキングやTwitterのトレンドなど)。要するに、デジタル技術は評価経済社会の土台かつ加速装置であり、SNSなしに評価経済社会は語れません。

最後に、評価経済は貨幣経済とどう共存・関係するかについて触れます。前節でも述べたように、評価経済社会になってもお金そのものは無くならず並存関係にあります。評価経済は貨幣経済の上に重なって新たなレイヤーを形成するイメージで、我々は二つの基準で価値を測られるようになります。一つは従来通り「どれだけお金(収入や資産)を持っているか」、もう一つは「どれだけ世間から評価(信用・影響力)を得ているか」です。この二軸はときに相関し、ときに逆転します。例えばある人が高い評価を得ればクラウドファンディングで容易に資金調達できるでしょうし、企業もその人にスポンサー契約をもちかけるでしょう。結果としてその人はお金を持っていなくてもプロジェクトを実現できたり、生計を立てたりできます。一方、莫大なお金を持っていても社会的評価が低い人(信用がない人)は、いつまでも高い金を払って二流の商品やサービスを買わざるを得ないかもしれません。
岡田氏の言葉を借りれば、「お金で米を買う人はお金しか手段を持たない可哀想な人」であり、「タダで米をもらえる人は有益な繋がり(評価)が多い人」なのです。優位に立つのは評価の高い人であり、「お金も評価も持つ人」が最強なのはもちろんですが、「お金はあるが評価が低い人」は新しい社会では不利になっていくという指摘です。

まとめると、評価経済社会の核心概念は評価(信用・影響力)の可視化と通貨化にあります。誰もが評価し評価される存在となり、デジタル技術がそれを可能にしているのです。貨幣はなお残るものの、評価が事実上の新しい資本となりつつあります。岡田斗司夫氏が予言したこの社会では、人々の価値観が「お金が全て」から「評価(信用)が全て」へとシフトしていくことになります。そしてその兆候は、SNSでの自己表現の重視や無償の情報提供が当たり前になってきた現代にすでに現れていると言えるでしょう。

参照:
バカッターを生みだした犯人 「注目は金」から逃れられない末路は?
岡田斗司夫 今の若者が「大事なのはお金じゃない」と語る理由 | PHPオンライン|PHP研究所

参考:評価経済社会を加速させるデジタルプラットフォーム

以下の取り組みは、将来的な評価経済社会を機能させるためのデジタルプラットフォームになっていくと僕は想像しています。


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