人間の條件〜第三部望郷編
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解説:
映画『人間の條件』は、五味川純平の同名小説を原作とする、小林正樹監督の戦争叙事詩である。1959年から1961年にかけて全6部作として公開され、上映時間は9時間以上にも及ぶ大作。主演の仲代達矢が演じる主人公・梶を通して、戦争という極限状態における人間の尊厳と葛藤を描いている。
あらすじ:
物語は、太平洋戦争下の満州を舞台に、理想主義者の青年・梶が、徴兵を免れるために労働管理の職に就くところから始まる。しかし、そこで待っていたのは、過酷な労働環境と、彼が信じる人間主義とはかけ離れた現実であった。
第一部・第二部:
梶は、労務管理の仕事を通して、中国人の労働者たちに人間的な待遇を与えようと奮闘するが、軍や日本の企業幹部からの反発に遭う。人道的な努力も虚しく、次々と理不尽な事件が起こり、ついには「やめてくれ!」と叫んで軍に反抗したことで、憲兵隊によるリンチを受ける。その結果、労務管理の職を解かれ、臨時召集令状を突きつけられる。
第三部・第四部:
軍に配属された梶は、思想犯として差別され、上官や古参兵から執拗ないじめや迫害を受ける。軍隊という理不尽な暴力の構造に苦悩しながらも、人間としての良心を保とうと必死にもがき苦しむ。
第五部・第六部:
戦況が悪化し、ソ連軍の侵攻が始まる。梶の部隊は全滅し、生き残った彼は、妻 (新珠三千代) に会うため、そして人間性を保つために、満州の荒野を敗残兵として彷徨い続ける。飢えや寒さ、そして極限状態に追い込まれた人間同士の争いの中で、彼は次第に人間性を失っていくという悲劇に直面する。最終的に、…割愛。
評価とテーマ:
この作品は、単なる反戦映画にとどまらず、主人公・梶の「人間」としての在り方を深く問いかける点が最大のテーマである。戦争の狂気の中で、友情、愛、そして人間性がどのように変容していくかを克明に描いている。原作の「センチメンタル・ヒューマニズム」という言葉にも表されるように、理想を抱きながらも現実の暴力に打ちのめされる梶の姿は、観る者一人ひとりに「もし自分だったらどうするか?」という重い問いを投げかける。主演の仲代達矢の鬼気迫る演技も高く評価され、世界的に名声を得た日本映画の大傑作である。
個人的コメント:
実は僕は子供の頃、家族と一緒に、故郷・旭川に当時あった東宝・大映の映画を専門に封切り上映していた「富士館」で観ている。だから、そこで東宝映画の植木等の「無責任野郎」シリーズも勿論観ていた。富士館で観た「人間の條件」は、3本に別れている内の最後の1本(第五部・第六部)だった。後にWOWOWで放送されたので、9時間31分の全編も観ている。最も悲しく号泣してしまう場面は当然ラストシーンであったのだけれど、全編を通じて観ている自分が最も「ざまー見ろ!」と溜飲が下がる思いがしたのが、普段、梶を執拗かつ陰湿に虐めていた、かつ権力におもねる卑劣な上官を、腹に据えかねて、梶が●●●●●●●●●●●するシーンだった。その時に怒りに震えながら吐く台詞が確か「貴様みたいな奴がいるから…」だったと思う。因みに、全編を通じて最も美しくて感動するシーンは第三部で観られると思う。
とにかく、Youtubeに今、上がっているので、削除される前に是非、観てもらいたい。

主演の仲代達矢は、この映画の3年に渡る撮影期間中の合間を縫って、黒澤明の傑作「用心棒」と「椿三十郎」にも出演しているのだから、大したものだ。
追悼:本日2025年11月11日に、仲代達矢氏が11月8日に92歳で亡くなられていたことを知った。非常にショックである。偉大な人物が亡くなられたことを非常に残念に思う。世界的な大映画俳優なので、米国のアカデミー賞でも必ず紹介され大拍手が湧き起こることだろう。映画は158本に出演されたそうだ。単なる通行する侍役で出演した「七人の侍」から、出演した黒澤明監督の全作品を観ているが…、「影武者」「乱」を差し置いて、仲代氏の出演映画で僕が選ぶとすれば、ベスト1は、小林正樹監督の「人間の條件」第一部・第二部・第三部・第四部・第五部・第六部のまとめて全編、ベスト2は同じく小林監督の「切腹」である。

