肥満論:痩せるメカニズム──レプチン効果
既に述べた通り、ヒトという生物にとって「太る」ことは自然な生理現象である。⇒肥満論:序文
しかし際限なく太り続けるわけではない。ギネスブックによると最重量の体重の世界記録は635kgなのだそうだが、その彼も減量の世界記録も持っていて、419kg減量して一時期だいたい元大関の小錦と同じ位の216kgになったそうだ。
ヒトの身体は普通は太り過ぎれば、自動的に痩せる機能を働かせる。それが「レプチン効果」と言われるものだ。「レプチン」は1994年に発見された一種のホルモンだが、すべての人間の身体が発生させている食欲抑制情報を伝達する物質、すなわち‘食欲抑制ホルモン’である。
そのメカニズムを説明すると──
1)食事で摂った栄養が余ると中性脂肪となって血液中に流れる。
2)脂肪細胞はこの中性脂肪をどんどん取り込む(太って備蓄する機能──この役割を担うのが脂肪細胞の内の「白色脂肪細胞」)。
3)ある程度溜まってくるとレプチンを発生させる。このレプチンは「もう食べなくても良い!」というシグナル。
4)この脂肪細胞からレプチンが血液中に流れ出すと、脳の中で食欲やエネルギーを司る視床下部に届く。
5)レプチンを受け取った視床下部は、「もう食べなくても良い!もっと動け!」と身体に指令を発する。
6)すると無意識の内に食欲が落ち、しかも活動が活発になり、どんどんエネルギーをさらに使うようになる(この時、比喩的な表現として“脂肪燃焼” ──熱産生させる役割を担うのが「褐色脂肪細胞」)。
7)こうして脂肪が減り、痩せて行く。 (下図参照)
┌ ──→[視床下部]
│ ↓ 摂食量減少
│ ├──→((褐色脂肪細胞))─→熱産生
│ レプチン│脂肪
↑ 分泌 ↓ 分解
└──((白色脂肪細胞))←蓄積・中性脂肪←食物摂取
繰り返すが、このレプチンという物質はすべての人が身体に持っている。ところがこの「レプチン」効果が発揮されず、思うように痩せることができず肥満に悩んでいる人々が多い実態があるのはどうしてなのか?
人によってレプチンの量に違いがあり、少ない者は肥満してしまうのだろうか?実はその逆で、肥満している者程、レプチン過多の傾向にあるそうだ。
(つづく)
参考:
蒲原聖可・著
『肥満とダイエットの遺伝学──遺伝子が決める食欲と体質』(朝日新書)
『肥満遺伝子──肥満のナゾが解けた!』講談社ブルーバックス
『ヒトはなぜ肥満になるのか』岩波科学ライブラリー
『図解雑学 なぜ太るのかやせるのか』ナツメ社図解雑学シリーズ
⇒肥満論:序文
⇒肥満論:肥満の内と外──パイの量
⇒肥満論:レプチン過多と適量化、「身体の声」を聴く
⇒肥満論:グレリン──食欲増進ホルモンと睡眠
⇒肥満論:お米主食ダイエットのすすめ
⇒肥満論:お米主食ダイエット・ポジコメ追加再録
⇒肥満論:スローフードとしての粗食
⇒肥満論:お米主食ダイエット〜米単品はドカ食いの元、冷や飯の効用
⇒肥満論:カロリー一元論の落し穴
⇒肥満論:ダイエット・ハイと別腹の罠;拒食症と過食症
⇒肥満論:インチキダイエット通販で儲ける方法
⇒肥満論:痩せるなら、死んでもいい!?──危険な‘やせ薬’・再録
