【BOSJ33完結】極上のCHAOSを潜り抜けた先にあった、極上のYOHと「家族」の絆――YOH優勝、幸福な大河ドラマの結末そして新章へ
決勝戦が始まる前、私は高ぶる想いのままに
一本の考察記事を書いた。
夏に去りゆく天山広吉の魂をサンプリングし
あえて1年前と同じ「かかってこいよ、未来!」
という言葉を叫んだYOH。
私はそこに
これまでの敗北や迷走のすべてを
完璧な伏線として回収し
過去の誰の影も追わない
独立した個としての「極上のYOHの時代」が
幕を開ける期待感を見たから。
そう、どこまでもシリアスで壮大な
「大河ドラマの結末」を確信し
震えながらゴングを待っていたのだ。
しかし
運命のリング上で繰り広げられた光景は…
私の予想のさらに斜め上
いや、180度違うベクトルへと突き抜けていった。
■ 「極上のCHAOS三昧」
蓋を開けてみれば
そこにあったのは私が勝手に身構えていたような
張り詰めたシリアスではなかった。
あまりにも純度が高く
あまりにも狂気に満ちた
あの1年前の混沌をさらに煮詰めたような
**「完全なる大混沌(CHAOS)」**の更新だった。
「深読みしすぎた自分が恥ずかしい!」
一瞬、そんな思いが頭をよぎったが…
■ 「極上のYOH三昧」の果てに、歴史は動いた
しかもそこで終わりではなかった。
激闘の終盤
大混沌の渦の中から立ち現れたのは
これまでのすべての葛藤
すべての批判、すべての涙を
その強靭な肉体と精神でねじ伏せる
文字通りの**「極上のYOH」**の姿だった。
コミカルさも、サイコパス的な心理戦も
すべては対戦相手の力を120%引き出し
己のファイトを100%爆発させるための
マイルストーンに過ぎなかった。
怒涛のラッシュから繰り出された一撃一撃には
新日本の生え抜きとしての意地
そして平成から令和へと紡がれてきた
歴史の重みがこれでもかと宿っていた。
あの狂気というオブラートの奥底に
隠されていたのは、何があっても折れない どこまでも頑なで強固な
「プロレスラーとしての芯」だった。
そして、ついにその瞬間は訪れた。
運命のカウント3。
YOHが『BEST OF THE SUPER Jr.33』の
頂点に立った!
試合前の私の考察は
ある意味で外れ、
ある意味でこれ以上ない最高の形で
正解へと導かれた。
誰の影も追わない個の確立ではなく
彼が選んだのは
これまでの歴史をすべて抱きしめた上での
圧倒的な戴冠。
極上のCHAOS三昧の果てに待っていたのは
私が、いや私たちがずっと観たかった
最高に輝く「極上のYOH三昧」の空間…
■ 時空を超えてリングを滾らせた、中邑真輔の遺伝子
しかし、今大会の決勝を真の意味で「伝説」へと昇華させたのは、終盤に放たれたあの戦慄の一撃だった。
誰もが予想し得なかった局面
YOHが引き抜いた伝家の宝刀。
それは、かつてこのユニット「CHAOS」を立ち上げ、新日本プロレスを、そして世界を狂おしいほどに滾らせた絶対的カリスマ――
*中邑真輔の魂そのもの「ボマイェ」*
ただの過去の模倣ではない。
ただのファンサービスでもない。
身悶えするような狂気と色気を孕み
対戦相手の顔面へと深く突き刺さった
漆黒の膝蹴り。
そしてリングに
確かに鳴り響いた**「イヤァオ!」**の残響。
あの一瞬、BOSJの決勝リングは時空を超えた。
かつて中邑真輔が創り上げ
オカダ・カズチカへと引き継がれ
そして今、誰もが予想しなかった形で
YOHという一人のレスラーの中に眠っていた
「変態性」が完全に覚醒したのだ。
これまでの迷走も
奇行とも取れるトレンディな言動も
すべてはこの「滾るイズム」を
己の血肉として爆発させるための
潜伏期間だったのではないか。
そう思わせるほどの
圧倒的な説得力がそこにはあった。
■ CHAOSという「居場所」、あるいは「家族」の絆
優勝が決まった瞬間のYOHの表情
解き放たれた笑顔
そして彼を包み込んだリング上の空気を見て
胸の奥が熱くなるのを止められなかった。
1年前――オカダ・カズチカの退団という激震に揺れるリングで、ビニール製のガウンを身に纏い、孤独にCHAOSへの愛を叫んでいた男。
あのときの涙は
あと一歩届かなかった悔しさと同時に
崩壊しかけた自らのホーム(居場所)を守ろうとする孤高の覚悟の涙だった。
しかし今夜、ジュニアの頂点に立ったYOHの周りには、確かに目には見えない、しかし絶対に切れない絆が存在していた。
彼にとってCHAOSとは
単なるビジネス上のユニットや
利害関係で結ばれた集団ではない。
中邑真輔が蒔いた混沌の種が
世代を超え、酸いも甘いも噛み分け
泥沼の因縁をも乗り越えた先にある
「本当の居場所」であり「家族」そのものだったのだ。
その温かで強固な絆をバックボーンに持っているからこそ、彼はどれだけ狂おうとも
どれだけ迷走しようとも
決してブレることのない強烈な「軸」を保ち続けることができたのだろう。
中邑真輔のボマイェという名の遺産を引き継ぎ
帰るべき「家族」がいるからこそ
安心して混沌の闇へと深く潜ることができたのだ。
■ 久しぶりに訪れた「幸せな空間」に浸って
プロレスというジャンルは、時に残酷で、時にファンを奈落の底に突き落とすような結末を目撃させる。
だからこそ、今夜のように私たちが信じ
伴走してきた1年の大河ドラマが
これ以上ない幸福なカタルシスを伴って結実した夜の価値は、言葉にできないほど尊い。
試合前の大考察から、試合中の大混沌、劇的なボマイェの覚醒、そして感動の優勝へ――。
完璧に躍らされ、ひっくり返され、最後はただただ圧倒的な多幸感に包まれる。
これこそがプロレスを観る上での最高の悦びであり、私が求めてやまない
「極上のプロレス」そのものだ。
今、私の心には、久しぶりに訪れた「幸せな空間」の余韻が心地よく広がっている。
「三沢の魂」を己の根源に持つ私にとって
プロレスとは生き様そのものだ。
今夜YOHが魅せたのは、まさに混沌(CHAOS)を生き抜き、創設者・中邑真輔の遺伝子をも飲み込んで、自らの手で掴み取った本物の生き様だった。
私たちの信じた男は間違いなく
新日本プロレスの歴史の転換点を創り出した。
「かかってこいよ、未来!」と叫んだ男が、自らの手で引き寄せた「永遠の今」。
極上のYOHの時代は、今、ここから始まる。
私の心は、まだ激しく滾ったままだ。
そして次の日のYOHがまた…
