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外国人向けSNS求人。──入管庁のSNS分析強化から考える採用の入口

読売新聞からこんなニュースが出ました。

出入国在留管理庁が不法残留者や不法就労に関する情報を把握するため、SNS上の情報収集・分析を強化する方針だという内容です。

対象として想定されているのは不法就労をしている外国人本人だけではありません。違法な就労先をあっせんする人物、雇用する事業者、在留資格偽造に関する情報なども含まれるとされています。

入管がSNS分析へ。そろそろ見逃されへんで。

外国人材のSNS上の求人情報の危うさは前からずっと気になっていました。

Facebookの外国人向け求人グループ。
匿名アカウントからの募集。
DMへ誘導されるやり取り。
会社名、許可番号、所在地、担当者名もよく分からない投稿。

もちろんSNSそのものが悪いわけやありません。

外国人の方にとってSNSは生活情報を得る大切な情報源です。
家族や友人とつながる場所、同じ国の人から日本での暮らし方を教えてもらう場所でもあります。

日本語の求人票を読むより母国語で書かれている方がそりゃ見ます。
同じ国の人が投稿していたら安心もします。
急いで仕事を探している人なら、なおさらです。

でもここが怖いところなんです。

安心して見える入口ほど危ない求人が紛れ込む。

「すぐ働けます」
「ビザ大丈夫」
「仕事が休みの日だけでもOK」
「現金払い」
「資格いりません」
「在留資格や就労可否の確認はあとで大丈夫」
「紹介料を先に払ってください」
「詳しくはDMで」

このあたりの言葉が並ぶと僕としてはもう赤色灯が回っています。
見た目は求人でも中身を確認せずに進めるには危なすぎる。
そういう感覚です。

SNSで高額報酬等をきっかけに応募、匿名性の高いアプリでやり取りする流れを犯罪実行者募集の典型的なパターンとして示しています。
これはいわゆる闇バイトの注意喚起ですが外国人向け求人でも「簡単・現金・身分確認が曖昧」といった言葉には慎重になるべきです。

外国人向け求人も構造は似ているなと思います。

仕事やお金に困っている人がいる。
日本語に不安がある人がいる。
在留資格の仕組みを十分に理解できていない人がいる。
母国語で「大丈夫・紹介できる・すぐ働ける」と近づく人がいる。

もしかしたら本人は悪いことをしようとしているわけではないかもしれません。むしろ必死に仕事を探しているだけのことも多いと思います。

その入口に立っている人が適法な事業者なのか。
本当に求人企業とつながっているのか。
在留資格に合う仕事を案内しているのか。
本人から不自然な費用を取っていないのか。

ここが見えない。

本人が大丈夫と言ったでは企業は守れない

企業側も他人事ではありません。

「SNSで応募が来たから」
「知り合いの紹介だから」
「本人が大丈夫と言っていたから」
「紹介者が問題ないと言っていたから」

これはほんまに起こりがちです。

外国人雇用ではその“大丈夫”だけでは足りません。

不法就労者を雇用した事業主や不法就労をあっせんした者は不法就労助長罪の処罰対象になると説明しています。外国人が不法就労者であることを知らなかった場合でも在留カード確認をしていないなどの過失があれば処罰対象になり得るとしています。

「知らなかったんです」だけでは済まない可能性があるということです。

企業にとってもかなり重い話ですよね。

企業も行政対応に追われます。
現場も混乱します。
地域にも不信感が広がります。
まじめに制度を守っている企業まで同じような目で見られてしまう。

これが一番きついんです。

「情報提供です」でほんまに済むんかな

もう一つ、最近ちょっと気になる動きがあります。

外国人材領域でこういうビジネスモデルを耳にすることが増えてきました。

「企業は0円で外国人材を採用できます」
「求人情報と求職者情報を提供しているだけです」
「職業紹介ではありません」
「特定募集情報等提供事業の届出はしています」

一見するとちゃんとしているようにも聞こえます。

もちろん個別の事業が適法かどうかは契約内容、業務実態、金銭の流れ、企業や求職者への関わり方を見ないと判断できません。
外から勝手に断定してはいけないところです。

でもね職業紹介許可を持つ登録支援機関として見ると正直思うんです。

「それ、ほんまに情報を渡しているだけで止まってるん?」

求人情報や求職者情報をただ掲載したり渡したりしているだけなら、職業紹介には当たらないとされています。

でも企業と求職者の間に入って、応募につなげたり、面接を調整したり、採用が決まるように動いたりするなら話は変わってきます。

「情報を出しているだけなのか」
「採用が決まるように間に入っているのか」

ここです。特定募集情報等提供事業の届出をしているからといって、何をしても職業紹介ではないという話ではありません。

企業にこういう外国人材を採用しませんかと提案する。
求職者側にこの会社どうですかと案内する。
面接につながるように調整する。
双方の条件を聞いて採用が決まるように間に入る。

ここまでいくと単なる情報提供なのか雇用関係の成立を手伝っているのか慎重に見ないといけません。

名前ではなく実態です。大事なのは看板ではなく中身です。
実際にどこまで企業と求職者の間に入っているのか。
採用が決まる流れにどれくらい関与しているのか。

そこを見ないと本当に適正な運用かどうかは分からないと思っています。

0円採用の裏側に誰かの負担はないのか

特に気になるのはやっぱりお金の流れです。

企業からは費用を取らない。
その代わりに現地の送り出し機関などからスポンサー料や運営費のような形で収益を得る。この仕組み自体を一律に違法やと決めつけるつもりはありません。

外国人材の受け入れに関わる立場としてはどうしても気になります。

そのお金は誰が誰に何の対価として払っているのか?
その費用は最終的に外国人本人へ回っていないのか?
企業側は本当のコスト構造を分かったうえで採用しているのか?
採用費用0円という言葉で本来確認すべきリスクがないか?

大事なところやと思います。

企業側からすれば「0円で外国人材を採用できますよ」と言われたら、そら気になりますよ。人手不足で困っているなら、なおさらです。

0円という言葉は便利なようで少し怖い。

本当に0円なのか。
誰かが別の形で負担していないのか。
本人にしわ寄せが行っていないのか。
支援、教育、在留手続き、生活立ち上げの責任は誰が持つのか。

採用費用が安いこと自体が悪いわけではありません。
でも安さの裏側に責任の空白があるならそれは企業にとっても外国人本人にとってもあとから大きなリスクになります。

真面目にやっている事業者が割を食う構造にしてはいけない

求人を売る。人材を流す。採用できたら終わり。あとは企業と本人で頑張ってください。こういう感覚が外国人材業界に広がってしまうとまじめにやっている事業者まで巻き込まれてしまいます。

職業紹介許可を取り、登録支援機関として体制を整え、支援責任者・支援担当者を置き、義務的支援を行い、面談し、記録を残し、入管法や職業安定法を確認しながら運用している側からすると正直こう思います。

「いや、そこ曖昧にして商売されたら業界全体が疑われるやん。」

外国人材の仕事は制度への信頼で成り立っています。
企業が安心して採用できること。外国人本人が安心して働けること。

この土台が崩れると結局、割を食うのは現場です。

まじめに働きたい外国人本人。
人手不足に悩む受入企業。
制度を守って支援している登録支援機関。
適正に紹介している職業紹介事業者。

みんなが迷惑を受けます。

僕は今回のSNS分析強化や不法就労・違法あっせんへの取締り強化については基本的に必要な流れやと思っています。

違法なもの。
悪質なもの。
外国人本人や企業を食い物にするもの。

こういうものはきちんと摘発されるべきやと思います。
真面目にやっている業者からすればそこは遠慮なくやってほしい。

グレーで稼いだ者勝ちみたいな空気が一番よくありません。

そんなことがまかり通るといびつな市場になってしまいます。

出会い方に責任を持てるか

SNS求人そのものを否定したいわけではありません。

むしろ正しく使えば外国人材との接点づくりには有効です。
母国語で情報を届けることも大切です。
日本で働きたい人に分かりやすく仕事を伝えることも必要です。

便利な道具ほど使う人の姿勢が出ます。
SNS求人もまさにそうやと思うんです。
これから外国人雇用で問われるのは人を集められるかだけではありません。
その出会い方に責任を持てるか。

どこで出会ったのか。
誰が説明したのか。
どんな条件を伝えたのか。
在留資格との整合性を誰が確認したのか。
職業紹介に該当し得る行為をしていないか。
本人や送出機関との金銭の流れは透明か。
入社後、誰が支えるのか。

曖昧にしたまま採用だけ進めるとあとから必ずどこかで無理が出ます。
ただのリスクの先送りです。

採用の入口は定着支援の入口でもあります。
入口が不透明なままでは入社後の信頼関係も不安定になりやすい。

でも入口を間違えるとその採用は戦力化ではなく、火種になります。
外国人材の採用はただ人を集める仕事ではありません。

これから問われるのは採用の入口に責任を持てるか。
そこをごまかす外国人雇用はもう見逃されにくい時代に入っています。

──外国人材、現場からは以上です。


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外国人材、現場からは以上です。|柏手真治 note 共感いただけた方は、応援いただけると嬉しいです。現場のリアルを伝える原動力として、大切に活用します!