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「ちゃんと伝えたはずやのに伝わらへん。」──外国人材と日本語教育の話

わかってるはずが伝わらん。

「ちゃんと伝えたはずやのに、なんで間違えるんやろ」
現場でよう聞く言葉です。

でも僕ら日本人同士でも誤解することありますよね。
ちょっと早めにって言うても人によって早めの基準はちゃう。
そこに文化や言葉の違いまで加わったら──
そら伝わらへんこともある。

“伝わらん”原因の多くは日本語やなく“関係の設計ミス”。

日本語能力は入口であって人間関係の代わりにはならん

企業の担当者からよう聞かれます。
「うちの外国人、N4取ってるのに会話が通じへんのですわ」って。

それ正直しゃあない部分もある。
N4は日常会話レベル。
しかも日本語は文法より“曖昧さ”で回る文化なんですよ。
「あとでやっといて」って、それ何分後なん?
5分後? 5営業日後?(それは請求書か。笑)

日本語教育ってほんまは“信頼関係”やと思う

まず日本語を学ばせないとって声は多い。
でも僕は“学ばせる前に話したくなる関係”が先やと思ってます。

日本語の授業を週に1回しても、
職場で誰も話しかけへんかったり、
教えてもらった日本語を使わんかったら、
その日本語は空気の中で干からびるんです。

日本語のテキストを開いても心が動いてへん。
「お疲れ様です!」って言っても返事がなくて、笑って誤魔化す。
その小さな沈黙の連続がもう話さんでええかなにつながる。
──そんな気持ちが積もって口が開かんようになる。

日本語教育がうまくいかん理由は、
言葉やなく関係の質にあることが多いと感じています。
信頼があれば「間違ってもええから話そう」。
信頼がなければ「間違えたくないから黙っとこ」。

まずは勉強より先に「話したくなる空気」を作る。
ここが出発点。

やさしい日本語は思いやりの翻訳

「語彙を減らす」「文を短くする」だけやない。
“相手の理解速度に合わせる”ことが本質やと思うんです。

  • 「後で頼むわ」→「今日の3時までに終わらせてください」

  • 「ちょっと気をつけて」→「この線の外に出たら危ないです」

これだけでトラブルはぐっと減るし誤解が無くなる。
簡単さだけじゃなくて明確さが信頼を生む。
ほんまにシンプルなことなんやけど、
伝える気持ちのデザインを意識してるかどうかでぜんぜん違う。

人は“文章”より“表情”で学ぶ

僕らは特定技能の入国前にマニュアルを動画化。
“見てわかる”はそれだけで勇気になる。
「読んでもわからへん」より「見たらできた」。

動画・写真・ジェスチャーも今や立派な言語です。

沈黙の裏には「笑われたくない」がある

日本語を話さへんのを「やる気がない」と誤解しがち。
でもほんまは怖いんです。

「間違えたら笑われるかも」
「変な発音やと思われるかも」

日本語の前に必要なんは安心の空気
安心ができたら言葉はあとから追いかけてくる。

「注意しても外国人は黙るんです」って相談もあった。
でもその黙るは無視やなくて。
これかも知れません。
「怒らせてしまった」「失敗した」と思って、
心のシャッターを下ろしてるだけなんかも。

指導は修正作業であり同時に関係修復のチャンスでもある。

言葉は包丁。使い方しだいで料理にもケガにもなる

僕は日本語教育のプロではありませんが、
業界の方なら共感してくれると思います。
外国人材にはサンドイッチ型の伝え方
が効きます。
「ここは良かったよ」
「ここを直そうか」
「次も期待してるで」
これだけで責められたが信じてもらえたに変わる。
まず褒める、次に改善点を言う、最後に期待で締める。

叱るより伝え方を変える。
「何してるんや!」より
「ここはもうちょいこうしてみようか」。
「あなたが間違った」より
私は心配してる」。
これだけで空気が変わる。
人は正しさよりも“信じられてる”ことで動く。
教育って相手の心を信じる仕事やと思う。
日本人でも一緒ですよね。

「説明→復唱→実演」──伝えるのは一方通行ちゃう

僕が現場で大事にしてる三段階。
1️⃣ 説明:やさしい日本語
2️⃣ 復唱:本人の口で繰り返してもらう
3️⃣ 実演:短時間で動作確認

めっちゃ地味やけど効果抜群。
「言うたはず」が「伝わった」に変わる瞬間。
チェックリストで記録を残せば監査にも強い。
言葉は確認されて初めて教育に繋がる。

話せる職場が辞めない職場になる

離職理由でよく挙がるのは職場に馴染めなかった。
根っこを深掘りすると、
「話せない」
「伝わらない」
「理解されない」が出てくる。

だからまずは企業が育てるべきは、
言葉の理解力やなく人の理解力
日本語教育とはお互いを知ろうとする文化を育てること。
言葉を学ぶ前に「ここに居てええんや」と思えること。
これがスタートラインやと思う。

言葉を学ぶ前につながりを学ぶ

「週1回の授業」より「毎日の雑談」が日本語学習になる。
「先生」より「隣の先輩」が先生になる。

僕らクリエの現場でもeラーニングやオンライン授業をやりつつ、
“休憩中の雑談”や仕事終わりの談笑が効くことを何度も見てきた。
LINEで何気ない日常の「お疲れさまです」って送る。
一緒にご飯を食べながらコミュニケーションとる。
それだけで彼らの中の「日本語」が動き出す。

これは弊社の日本語教育を支える先生の座右の銘でもありますが、
学びは教室だけやない。
正にその通りやと思います。
毎日の関わりそのものが日本語教育になる。
お互いを知ろうとする文化を育てることやと思う。

話したくなる職場をどう作るか

私たちクリエが大切にしてるのは
教えるより関わるというスタンス。

  • 笑顔で名前を呼ぶ(まず人として承認)

  • 忙しくても1回だけ手を止めて聞く(空気が変わる)

  • 「ありがとう」を言語化する(行動が定着する)

たったこれだけでどんな日本語教材よりも人を変える。
働きに来た外国人がチームの一員に変わる瞬間がある。

日本語は教わるより育て合う

外国人材の支援は単なる「通訳・翻訳」やないんです。
お互いの文化や考え方を紐解く仕事やと思います。

これからの社内の日本語教育のスタートは、
漢字・文法・語彙を教えることやなく、
あなたと話したいと思える空気を一緒につくること。

僕はいつも思うんです。
言葉は信頼の上にしか育たん。

──外国人材、現場からは以上です。


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外国人材、現場からは以上です。|柏手真治 note 共感いただけた方は、応援いただけると嬉しいです。現場のリアルを伝える原動力として、大切に活用します!