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在留手数料値上げで現場が揺れる

これまで必要な手続きやしなと受け止められていた費用が今後は企業にとっても、外国人本人にとっても、無視できない金額になっていきそうです。

「更新料、誰が払う?本人負担ですか?会社が持つんですか?」
在留手続きの手数料見直しの報道を見て、たぶん現場ではこんな会話が増えてくると思います。

■読売新聞
一律6000円の「在留」手数料を1万~7・5万円に…入管庁案、
永住許可は1万円が20万円に

注意したいのはすべての申請手数料が一律で10万円、30万円になるわけではないという点です。

今回の改正で決まったのはあくまで上限額。
在留資格変更や在留期間更新については上限10万円。
永住許可については上限30万円。

今回決まったのは最大でここまで定めることができるという枠組み。

実際にいくら支払うことになるのかは今後、政令で定められます。
短い在留期間申請と長い在留期間申請で同じ金額になるとは限りません。
報道では在留期間の長さに応じて段階的に設定される方向とされています。

特定技能の現場は1人の話では終わらない

たとえば特定技能の場合だと1年更新になるケースがほとんど。
仮に1年の更新手数料が3万3,000円になるとすれば、これまでの6,000円から2万7,000円の増加です。

1人とか2人なら何とかなるかもしれません。
これが特定技能50名在籍している企業やとどうするのって話しです。

本人負担にするには重い。
企業負担にしても重い。
登録支援機関も企業への説明や費用設計の見直しが必要になります。
単なる印紙代が上がりますで済む話ではないんですよね。
外国人雇用のコスト構造そのものが変わる話やと思います。

申請ラッシュの予感

おそらくここから申請ラッシュも起きますよ。

「今の手数料のうちに申請しておきたい」
「更新できる人は早めに進めたい」
「永住を考えている人は急ぎたい」

こんな流れはたぶん出てきます。

そうなると入管も混む。
行政書士の先生方も混む。
企業の人事担当者も焦る。
支援機関にも問い合わせが増える。

値上げ前にとりあえず出すは危ない

大事なのは焦って申請したらアカンと思います。

特に永住申請。

僕は行政書士ではありませんので申請可否や許可見込みについて断定する立場ではありません。詳細な申請判断は行政書士の先生方です。

ただ登録支援機関として外国人材の生活や就労を見ている立場から言えば、
「値上げ前やからとりあえず出しとこう」という考え方は、
ちょっと危ないんちゃうかなと感じます。

永住申請は本人にとって人生の大きな節目です。
家族の生活、将来の住まい、子どもの教育、働き方。
いろんなものがその先につながっています。

大事なのは出せる状態にすることやと思うんです。

値上げ前に間に合わせたい気持ちはものすごくわかります。
でも準備不足のまま申請して不許可になるより必要な確認をする。
整えるべきところを整えてから出す。

ここは落ち着いて考えたいところです。

手数料が転職のブレーキになるかも

僕が気になるのは転職への影響です。

在留期間が長いほど1年あたりの手数料負担は割安になる。
一見すると合理的です。

でも外国人本人からすると高い手数料を払ったのに転職したらまた申請が必要になるという心理が働く。

不当な労働環境であれば転職できることは大切です。
職場を選び直せる余地は必要です。

手数料の負担が重くなりすぎると、
「辞めたいけどもったいない」
「次の申請費用が怖い」
という理由で動けなくなる人が出るかもしれません。

ここは慎重に経過を見たいところです。

高すぎて逆に不法滞在を増やしてしまわない?

もう一つ個人的に心配していることがあります。

手数料が高くなりすぎることで、逆に制度の外側へ押し出されてしまう人が出ないかという点。

不法滞在を肯定するつもりは一切ありません。
在留期限を守り必要な手続きを行うことは大前提です。

真面目に更新しようとしている人の金銭的負担が重くなりすぎると、一部の経済的に厳しい人を制度の外側へ追いやってしまう圧力になりかねません。

家族を扶養している人。
母国へ仕送りをしている人。
転職直後で収入が安定していない人。
更新時期に家賃や生活費、医療費が重なる人。

そういう人に数万円単位の手数料は決して小さな負担ではありません。

「更新したい」
「日本で働き続けたい」
「今すぐそのお金を用意するのが厳しい」

そうなったときに制度の中に残るための手続きそのものが生活を圧迫してしまう可能性があるじゃないかなとも思う。

在留手続きは外国人本人にとって任意のサービスではありません。
日本で働き、生活を続けるために必要な手続きです。

今回の値上げは単なる事務手数料の話ではなく、日本が外国人をどう受け入れ、どう管理し、どう定着につなげていくかという割と深い問題でもある。

手数料が上がったら何が改善されるのか

気になるのは手数料が上がった先に何が改善されるのかです。

最近は入管の審査期間が長くなっていると感じる。
申請件数に対して体制が追いついていないのではないか。
そう感じることもあります。

もし手数料を上げるのであればその費用がどこに使われるのか。
その増えた分がどこに使われるのかは明確に示してほしいです。

報道では在留手数料やビザ発行手数料、国際観光旅客税の値上げによる増収の一部が外国人政策以外の施策にも充てられる可能性があるとされています。

これに少し引っかかってます。

もちろん国の財源全体の考え方があることは理解しています。
在留手数料は日本で働き、暮らし、在留資格を維持するために必要な手続きにかかる費用じゃないのかなと思ってしまいます。

外国人本人や受入企業の負担が大きくなるのであれば、まずは入管の審査体制の強化、相談体制の充実、オンライン申請の利便性向上など、在留手続きに直接関わる部分に使われてほしいなという感情が出てしまうんですよね。

外国人には選挙権がありません。外国人に負担を求めるのであればなおさら使い道の透明性って大切やと思います。

高くなりますだけでは納得感が出ないと思うんですよね。
「高くなるけどここが改善されます」
「審査期間が早くなります」
「入管に相談しやすくなります」
「不備が起きにくい仕組みにします」

そういう説明があれば受け止め方は変わるはず。
負担を求めるならその負担が何のために使われるのか。

そこをもう少し見える形で示してほしいなと思います。

企業側の費用負担の考え方

企業側もこれから考え方を変えるフェーズかも。

在留手数料を誰が負担するのか。
更新費用を福利厚生として見るのか。
長く働いてもらうための定着コストとして考えるのか。
更新しない判断をする場合の基準をどうするのか。

ここを曖昧にしたまま外国人雇用を進めると後から揉めます。

これからは「更新費用は本人負担です」で終わらせる企業と、
「長く働いてもらうための定着支援の一部です」と考える企業で、
外国人材から選ばれるかどうかが分かれてくるかもしれません。

私たちクリエも制度の変化を追いかけるだけではなく、現場で働く外国人材と受け入れる企業の双方にとって、できるだけ納得感のある形を考えていきたいと思っています。

手数料はただの数字ではない

その数字が人の行動を変えます。
企業の判断を変えます。
外国人材の人生にも影響します。

制度の適正化も必要。
生活者への配慮も必要。
どちらか一方ではなく両方。
そういう制度設計であってほしいな。

現場からはそう感じています。

──外国人材、現場からは以上です。

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外国人材、現場からは以上です。|柏手真治 note 共感いただけた方は、応援いただけると嬉しいです。現場のリアルを伝える原動力として、大切に活用します!