電池不要、ピッキングに合わせて光るピックを作りました
はじめに
以前の記事で紹介したクランプ式ピエゾピックアップなどを製作する中で、圧電素子を扱っていた際にふと思いついたアイデアから、電池不要でピッキングに合わせて光るギターピックを作ってみました。
完成してみると想像以上に面白く、友人や家族にも好評だったので、今回はその製作過程を紹介したいと思います。
今回製作したものは構造が非常にシンプルなので、電子工作初心者でも比較的挑戦しやすい内容です。興味のある方はぜひ作ってみてください。
まずはどんなものなのか、動画をご覧ください。
※ほかのカラーの点灯動画も記事の最後に掲載しています。また参考動画は夜に撮影したため全てミュート奏法ですが、普通に弾いても同じように光ります。
なぜ作ろうと思ったのか
以前の記事でも紹介しましたが、私はピエゾピックアップや圧電素子にとても大きな可能性を感じており、これまでにクランプ式ピエゾピックアップなどを製作してきました。
これらを試作している中で、
圧電素子は変形や振動によって電圧が発生するため、LEDを直接つないだら、振動した瞬間だけ光るのでは?
ということに気付きました。
音作りとはあまり関係のない現象ですが、「これをピックに組み込めば、ピッキングした瞬間だけ光るのでは?」と思ったのが、この製作の始まりです。
実際に試してみると、LEDの光量はそれほど強くないものの、狙いどおりピッキングした瞬間だけ発光するピックを作ることができました。
「すでに同じような製品があるのでは?」と思い、市販されている光るピックを調べてみたところ、多くはボタン電池を内蔵し、常時点灯または一定パターンで点滅するタイプでした。
私が見つけた範囲では、
電池不要
圧電素子による自家発電
演奏に合わせて自然に発光する
という仕組みのものは見当たりませんでした。
もちろん私が世界で初めて思いついたとは限りませんが、少なくとも市販品ではあまり見かけない面白いアイデアなのではないかと思っています。

試行錯誤のポイント
構造自体はとてもシンプルで、ピックに圧電素子を貼り付け、その電極へLEDを接続するだけです。
しかし実際に製作してみると、見た目や演奏性、耐久性など、いくつか改善すべき点が見えてきました。
そこで試作品をいくつも作りながら、次のような点をブラッシュアップしていきました。
演奏性になるべく影響を与えないこと
光っているときだけでなく、消灯時も見栄えの良いデザインにすること
演奏中に圧電素子が剥がれないよう、ある程度の耐久性を持たせること
試作品はいくつか作りましたが、どれも少しずつ改良点があり、最終的に現在の形へと落ち着きました。

圧電素子を2枚重ねて、それ自体をピックとして使うことも試しました。しかし硬すぎたため、ピックガードが削れてしまいました。

砲弾型ではない小型LEDも試しました。
作り方
砲弾型LEDを上向きに取り付けるタイプの光るピックについて、材料の準備から完成までの流れをまとめました。
材料
圧電素子(ピエゾ素子)
LED
接着剤
市販のギターピック

①ピックにLEDを差し込む用の穴をあける
LEDの直径の大きさに合わせて5mmの穴をあけます。

②ピックに圧電素子をとりつける
LOCTITE ピンポインター(ゼリー状タイプ)を使い、配線面を上にして圧電素子をピック中央へ貼り付けます。

③穴へLEDを差し込み、圧電素子の+・-端子へ届く長さまでリード線をカット
配線部分が少しでもシンプルになるようLEDの足部分を短くカットします。


④圧電素子とLEDの足をはんだでとりつけ
はんだ付け後は、ピックに軽く振動を与え、LEDが正常に点灯するか確認します。

⑤シリコンボンドではんだ個所とLED箇所をコーティング
耐久性を上げるため、シリコンボンドではんだやLED部分を固定します。

⑥完成!
赤に光るピックができました。

実際に使ってみた感想
圧電素子を貼り付けるため、通常のピックより少し厚みは増しますが、演奏してみると違和感はそれほどなく、普段のピックに近い感覚で使用できました。
また、暗いライブハウスやステージでは、ピッキングのたびに光る様子がとても映えそうです。
派手すぎず、それでいて演奏に合わせて自然に光るので、通常のLEDアクセサリーとは違った面白さがあります。
青色以外にもいくつか試してみたので、参考までに動画を掲載しておきます。
イエロー
ブルーよりも光が弱く見えますが、これはLEDの取り付け方向の違いによるものだと思われます。ブルーはLEDの向きの関係で光がギター本体に反射するため、実際よりも明るく見えているようです。一方、消灯時の見た目はこちらの方がすっきりとまとまっています。

レッド
イエローと同じく、砲弾型LEDを表面につけたもの(作り方紹介でできあがったもの)です。
まとめ
今回は、圧電素子をいろいろ試している中で偶然思いついたアイデアから、「電池不要でピッキングに合わせて光るピック」を製作してみました。
音作りに直結するものではありませんが、演奏そのものを楽しく演出できるアイテムとして、とても面白いものになったと思います。
もしこのような仕組みのピックが製品化されて、多くのギタリストに使われるようになったら、それもまた面白そうですね。
最近は音響機材やエフェクター作りに夢中になることが多かったのですが、このように家族や友人が「面白い!」と笑ってくれるようなものづくりができたことも、とても嬉しい出来事でした。
演奏を便利にするだけでなく、「弾くこと自体が少し楽しくなる」ようなアイデアも、これからいろいろ形にしていけたらと思っています。
免責事項
・本記事執筆者は電子工作・回路設計の専門家ではなく、試行錯誤しながら製作した内容を紹介しています。
・内容には誤りが含まれている可能性があります。
・本記事を参考に製作・使用された際の、機材故障・怪我・その他トラブルについては責任を負いかねます。
・製作・使用は自己責任にてお願いいたします。
