【シロクマ文芸部】恋愛相談 #ゆっくりと #BL
ゆっくりと慣れていけば良い。そう言って笑う横顔が、寂しそうに見えたのは駒澤のうぬぼれだろうか。
「お前らやっと付き合ったって……先週から?」
「先週から??」
学生ご用達のとあるカラオケボックス。
一曲も歌う事なく尋問の体勢に入った友人二人は、互いに顔を見合わせた。困惑。お互いの表情がそんな主張を隠せていない。
「は? むしろ先々週まで付き合ってなかったと? あれで?」
「自宅デートで一緒に動画見てるカップルみたいな距離感だったのに」
「いやどんな距離感?」
要約するならば以上である。
苦手なものはソーシャルディスタンスと答える程度には人との距離が近い駒澤だが、殊の外、抜きん出てべったりしている相手がいる。それが青山だ。
青山自身もクラス委員長という役職からか、誰に対しても隔てなく接するフランクな男だ。が、物理的な距離感は普通の男子高校生レベルなので、余計に露骨に見える。
「少なくともバックハグの体勢で肩に顎乗せて頭よしよししながら一緒のスマホで動画見てるような距離は、一般的な友達の距離感じゃねぇだろ」
「駿河っちの口から頭よしよしとか出てくると違和感パないね」
「しばくぞ」
「じゃあ、先週からなんか距離取ってるのは交際隠してるってコト?」
本日の命題を的確に付いた佐原の言葉に駒澤の目が泳ぐ。
「や、なんつーか、恥ずかしくて」
「お前の頭が?」
「駿河、ステイステイ」
話が進まない、と首を振る佐原も怪訝そうな顔を隠さないものだから居た堪れない。駒澤自身だって我ながら呆れてしまうが、事実そうなのだから同仕様もない。
「でも仕方ないじゃん、友達同士と恋人じゃ全然違うじゃん!」
「それで今更? 意識し過ぎて適切な距離感が迷子と?」
「えぇ……付き合う前からどう見てもベタ惚れだったじゃんかコマ」
「今までは無自覚だったんだよー!」
とうとう涙目でテーブルに突っ伏してしまった。
「あれ、委員長は前から絶対確信犯でイチャついてたよな?」
「言ってやるなって……」
初心なとこも可愛いとか思ってるんだろうな、なんて感想はドリンクバーのコーラで飲み干した。無糖のコーヒーにすれば良かった。クソ甘ぇ。
以上、878字。こちら参加させて頂きました。
友達の時は距離近いのに、いざ付き合うと意識し過ぎて逆によそよそしくなるカップル。
こちらの二人↓が付き合いだした後の話でした。
