第1話:一緒にいるのに、孤独を感じる私ーASDと愛着障害の二人
※この物語はフィクションです。ただし、実際の心の葛藤や体験をヒントに描いています。
第1話 「彼は好きだ、と宣言する。それでも私が苦しい理由」
彼は、いつもそう言い切った。それは、疑いようのない事実として、彼の頭の中に存在していた。彼にとっては、喧嘩もせず、穏やかな日々が続いているのだから、順調なのだ。彼のその言葉に、私はどれほど救われただろう。
私も、心からそう思いたいと願っていた。でも、心の奥にはいつも、満たされない穴が開いていた。それは、彼の言葉や態度では決して埋まらない、ぽっかりとした空洞だった。苦しさと不安で、夜中に目が覚めることも珍しくなかった。
彼が私を愛していないわけではない。それもわかっていた。彼は、私が風邪を引いたときに黙って薬を買ってきてくれたり、疲れていそうなときに食事の準備をしてくれたりする。彼の行動には、いつも愛情が感じられた。
ただ、彼の「好き」と、私が求める「愛」は、まるで別の言葉のようだった。
「ねえ、私のこと好き?」
一瞬の沈黙。彼は少し目を逸らして、「うん。」とだけ答えた。その短い返事が、どうしてこんなにも心細く聞こえるのだろう。
「今日は、こんなことがあってね」
一日の出来事を話すと、彼は静かに聞いている。相槌もなければ、質問もない。私は、彼が私の話に興味がないのだと思い、寂しさと怒りを感じた。
なぜ私たちは、これほどまでにすれ違うのだろう。
この物語は、ASD(自閉症スペクトラム)の彼と、愛着障害の私が、互いを理解しようと、もがき、すれ違い、そして傷つきながらも、関係を築いていこうとするフィクションです。
この物語が、私やだれかのこころに寄り添う、小さな光となりますように。
2話はこちらから👇
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