フランクフルトの街角で、独り島を思う
昨日、ドイツ人の知人と会った際に、最近フランクフルトの街中にオープンした韓国の商品を扱っているお店に行ってみることにしました。
Konstablerwache(コンスターブラー・ヴァッフェ)にできたお店で、お店に入ると韓国系の店員さんから「안녕하세요!」と声を掛けられました。
上層階もあるお店のようでしたが、昨日覗いたのは地上階のみ。こぢんまりとしたお店の中は特に若い女性客で賑わっており、ドイツでも韓流が本格的に人気になってきたことが窺えました。
入口から入ってすぐの場所にあるのが美容系のコーナー。お客さんが入店してまず初めに目にする棚にあった商品のパッケージがふと目に留まり、改めて二度見してしまいました。

青い海に浮かぶ二つの岩が描かれた商品が並んでいます。左から、「独島クリーム」「独島クレンジング」「独島クレンザー」「独島ナイトパック」。
わお。「竹島商品」が目白押しです。
入店してきたお客さんが最初に目にする棚の、ちょうど目線の高さのところに。
この「1025 Dokdo」シリーズは、竹島から約90キロ離れた鬱陵島(ウルルンド)の深海の海水やミネラルを使った商品を扱っているのだそう。
そしてパッケージに目を向けて見ると、2つの岩島の横に、アシカとカモメの可愛いイラストが添えられています。特にアシカがカワイイ。これだけでグッズにできそう。
二ホンアシカ。韓国側の主張では、日本人の乱獲によって絶滅したとされる生き物ですね。
とーってもパンチが利いております。
これ、中国や台湾で、日本好きな人がよく来る日本グッズショップの入口に「尖閣○○」って商品を置くのと同じくらいの威力なんでしょうか。
韓国でこういう「独島商品」が販売されていることは以前から知っていました。しかし、化粧品まで登場するとは思ってもみませんでしたし、独島商品の実物を目にしたのは今回が初めてでした。
領土問題関係で言うと、日本にも北方領土問題を扱う「エリカちゃん」というキャラクターがありますが、こちらは政府系の啓発事業に属するものです。
一方、このRound Lab の「独島クリーム」のような商品は、必ずしも政府が直接的に作らせている、というものではなさそうです。むしろ、民間の商品にまで「独島」という名前やイメージが自然に入り込んでいること、そしてそれが1つの商品価値として成立しているということが、私には興味深く感じられました。
こうして、とある領土問題が民間の商品や日常の消費にまで入り込み、国民感情とも結び付いていくと、当事者同士が理性的な「解決」を目指すことがいかに難しいのかが見えてくるような気がします。

一方で、日本では10年前と比べて韓国に対する空気もずいぶん変わりました。若い世代を中心に韓国への肯定的な感情が広がっていることを考えると、日韓関係が良好になること自体はもちろん歓迎したいところです。一方で、歴史問題や領土問題は、あまり表立って触れられなくなっただけで、重々しい通奏低音のように日韓関係に横たわり続けているのです。
恐らく、韓国の化粧品に関心を持っている方の中でも、韓国と日本の政治問題に同じくらい関心を持っている方はそれほど多くないのではと思います。お客さんがドイツ人であればなおさらです。
もちろん、これを政治的プロパガンダだと断じるつもりはありません。一方で、政治的な背景を知らない人が、まったく別の目的で手に取った商品を通じて、知らず知らずのうちに政治的な主張に触れることには、私は少し不気味さを感じます。
そう言えば、約10年前、日韓関係は慰安婦像(平和の少女像)の海外設置を巡って大きく荒れていたことがあります。ドイツ及び欧州初の設置は2017年。そして2020年には、ドイツ及び欧州で2番目となる慰安婦像が、フランクフルトの韓人教会に設置されるに至ったのでした。
その経緯も考えると、フランクフルトは良くも悪くもドイツにおける韓国の発信地なのかもしれません。
また、まさにこれが理由で、私はこの地の韓国人と仲良くなって、色々と本音を聞いてみたいなと思っています。ただ、元々が内向的な自分、なかなかに彼らとの接点が見つかりませんが…。
そう考えると、日本やドイツに入ってきている韓流コンテンツも、韓国国内で消費されているものの一部に過ぎないのかもしれません。日本ではない第三国に輸出されるとき、どこまで政治的な文脈が薄まるのかは興味深いところです。
K-POPや韓流ドラマに興味を持った純粋なドイツ人たちが韓国に興味を持ち、韓国を好きになることは自然ですし、私としてはアジア全体のイメージアップにつなげるためにも是非とも進んでいってほしいトレンドではあります。一方で、こういうさり気ないところに隠れている微妙な政治問題に、その背景を知らない人たちが触れてしまい、更には片方の主張をそのまま受け入れてしまうような事態にはなって欲しくないと願っています。
とは言え、日本文化が好きな海外ニキ、海外ネキの皆さんも、だからと言って日本人が考える(日本の外から見れば「保守的」とされる)歴史観や政治観に完全に染まるわけではないのを見ると、「文化が好き=政治的立場を肯定する」とは簡単にはならないのかもしれません。日本好きな韓国人や中国人の場合も多くはそうではないかと思いますし、ドイツ人の親日家でも、歴史問題や領土問題では日本の立場に必ずしも好意的ではない人も少なくありません。
そのため、「文化は政治をともに運ぶ」という私の懸念は、案外杞憂に終わるのかもしれません。
そう思いながら、韓国の名産品や名所のイラストが描かれたメモ帳を見てみると、韓国の地図をあしらったイラストで、日本海にちゃんと島が2つ描かれていました。大きいほうが鬱陵島、小さいほうが竹島ですね。
普通ならその少し上に行けば北朝鮮との軍事境界線があるはずなのですが、この地図の韓国は妙に縦に細長い。
あ…これ、北朝鮮も入れて「韓国」ってしているのか。
そういや韓国の方が「Südkorea(South Korea)」ではなく単に「Korea」と言うのを聞いたことがあるし、彼らの中での「Korea」って自分とはまた違う感覚なのかもしれないな。
めっちゃ政治的でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました!🍀
参考にさせていただいたウェブサイト
【Round Lab社のサイト】
Ulleungdo – Round Lab
【竹島と鬱陵島の距離】
竹島の認知|外務省
【二ホンアシカ】
島根県:第11回(トップ / 県政・統計 / 県情報・統計 / 竹島関係 / Web竹島問題研究所 / 調査研究 / 杉原通信)
【慰安婦像】
유럽 두 번째 평화의 소녀상, 독일 프랑크푸르트에 건립 < 오피니언 < 기사본문 - 이로운넷
【画像】Gabriele M. Reinhardt さま【Pixabay】
