無印良品を隠れ蓑にする男
みなさんはファッションに対するこだわりってお持ちですか?
わたしは特にありません。
強いて言えば「シンプルかつそれなりにきちんとして見える服装を心掛ける」くらいです。
洋服に対しては、壊滅的と言っていいほどセンスがないので、余計なことはせず大人しくしていようという小賢しい作戦です。
戦略的撤退とも言う。
好きな系統、ブランド、色味、素材感、シルエット、アクセサリーの有無、髪型etc.
無数にある選択肢の中から自分に似合う格好を選び出せるなんて、わたしからするとすごい才能ですし、ファッションを楽しんでいる人は羨ましいなぁと思います。
その人に似合っているかどうかはさておき。
そんなこんなでおもしれー男シリーズです。
前回はこちら ↓↓↓
R18指定されるほどではないと思うんですけど、若干下ネタが出てくるため、苦手な方は今のうちにお逃げください。
1 お相手について
お名前:剛田くん(仮)
年齢:20代前半
職業:大学生
雰囲気:清潔感のある無印良品系男子
マッチから初回デートまでの期間:2週間
2 マッチしてから初アポまで
度重なる写真詐欺に辟易し、身も心もズタボロになったわたしは、
「年下の可愛い男子を愛でまくって、ご飯奢って癒されてぇな!!」と思い立ち、マチアプを死んだ目でスワイプしていました。
学習能力って今からでは身につかないんですか?
そんな中でマッチした剛田くん。
マッチしてから何回か電話をし、ご飯行きましょう!とお誘いを受け、会うことに。向こうから会いましょうって声を掛けてもらえると、そこはかとなくテンションが上がりますよね。
それで何回失敗してきたんだという、至極真っ当な指摘は受け付けておりません。
剛田くんから、「落ち着いた雰囲気のお店に行ってみたい」とリクエストがあったので、デートでよく利用している、エロい大人カップル向けの創作料理屋さんに連れ込むことにしました。
ご飯屋さんにまでエロを追求すんな。
3 好印象男子はそれはそれで困る
当日、待ち合わせ場所に現れたのは、
ゆるっとしたパーマにリムレスメガネ、無印良品で働いていそうなナチュラルかつ清潔感のある格好をした可愛らしい男の子でした。
えっっっ、かわっっっっっ
これ、手を出したら絶対犯罪になるやつじゃん。
あまりの初々しさに、出会って2秒で邪念を取り払い、もはや母親のような気持ちで相対することを決意しました。
わたしにも良識が残っていて良かったです。
ご飯中は大学生活の話や趣味の話で盛り上がったのですが、恋愛の話題になった途端、剛田くんが少し口を噤みました。
聞けば、彼は20代前半にして未経験であり、「彼女ができても、どうやってそういう雰囲気に持っていけばいいのか分からない」と悩んでいるようでした。
そんなもん、付き合ってるんだから、二人きりになったときにさりげなく押し当ててみたらいいのでは?(最低)と思いつつ、
目の前で照れながらお話ししている彼が可愛らしかったのでちゃんと自重しました。
大人になるって嫌ですね。
その後は、「オーセンティックバーに行ってみたい」という剛田くんの希望を叶えるため、行きつけのお店に案内することに。
恋愛から友人関係、学業についてなど、お店のマスターを交えてひとしきり悩みを聞き、午前1時という健全すぎる時間帯に解散しました。
これ以上連れ回したら、わたしが職質されそうで怖かったので。
これまで、マッチングアプリを介して魑魅魍魎と出会ってきましたが、ピュアすぎる個体と遭遇すると、わたしの方が気圧されてしまうことに気がつきました。
浄化されてるってコト?
4 様子がおかしいですね
初回アポ後、特に連絡を取り合うことはなく、2ヶ月ほど経ったある日。
「久しぶりにお会いしたいです」と剛田くんから連絡が来ました。
前回会った時からかなり時間が開いていたし、このタイミングで再び連絡が来るのは初めてのパターンだったので一瞬戸惑ったものの、
ちょうどやり取りしている相手もいなかったし、あれからどうなったか気になるし、暇だし、了承することに。
聞けば「一緒に行きたいところがあります」とのことだったので、何をするか深くは追及せず、会う約束をしました。
そうして迎えた待ち合わせ当日。
なんだかんだ剛田くん、前回可愛かったし楽しみだなーとソワソワしていると、
目の前からオレンジ色のTシャツを着た男性が手を振って近付いてきます。
よーく目を凝らすと、
紛うことなきジャイアンTシャツを身に纏った剛田くんが、目の前までやってきました。

は????
ジャイアン????
わたしの無印良品系男子はどこ行った?
久しぶりの再会だというのに、
「そのTシャツどうしたの?」としか言葉を発せないわたしに、剛田くんは答えます。
「元カノが似合うって言ってプレゼントしてくれた服なんですよー」
え、こっわ
それともあれですか。わたしが流行りに疎いだけで、今は元恋人から貰った洋服で他の人とデートしたり、ネタTを私服として着こなすのが流行ってるんですかね?
そんな流行り滅べばいいのに。
30代にもなってジャイアンTシャツの男と並んで歩きたくないなーというわたしの気持ちを知ってか知らずか、ニコニコしながら目的地まで案内してくれる剛田くん。
なにこの地獄絵図。
5 辿り着いた先は
「一緒に行きたいところがある」と言われて連れて行かれた先は、まさかのネットカフェでした。
シンプルになんで?
なぜわたしは、元カノから貰ったジャイアンTシャツを着た大学生と、昼間からネカフェのカップルシートに通されているのでしょうか。
人生って時々あまりにも説明が足りませんね。
入っちゃったものは仕方ないし、とりあえず話を聞いてみると、剛田くんはこの2ヶ月の間に新しい彼女ができ、無事にチェリーを卒業することができたとのことでした。それはおめでとう。
初回で「どうやってそういう雰囲気に持っていけばいいのか分からない」と照れていた貴方が、まさかちゃんと大人の階段を上っていただなんて。
お母さんは少し安心しました。
しかし、話はそこで終わりませんでした。
どうやら彼は、初めての経験がよほど嬉しかったらしく、彼女と色々な場所で大人の行為に及んだ結果、ネカフェのカップルシートで声を押し殺して致すという状況にそこはかとない興奮を覚えるようになったらしいのです。
学びの方向間違えてるんだよなぁ。
わたしが会った時、彼は無印良品で働いていそうなピュア男子だったはずです。
それなのに。
たった2ヶ月の間に元カノから貰ったジャイアンTシャツを着て、別の女をネカフェに連れ込み、自分の性癖発表ドラゴンになっているなんて、人類の進化のスピードおかしくないですか?
わたしがついていけていないだけですか?
さらに聞けば、その彼女とは半月ほど前に別れたらしいのですが、そのタイミングでわたしのことを思い出したそうです。
「大人のお姉さんが声を押し殺しながら、自分に蹂躙されてるところを見てみたいと思って」
え、こっわ
初回アポで恋愛相談に乗っていただけの(自称)お母さんをどうする気?
正直、それを言われた瞬間少しだけ悩みました。
ホテルとか家なら全然相手したのに。
でも、場所がネカフェなら話は別です。一応、こんなわたしにも道徳心というものは存在します。
ということで僅かな理性が競り勝った結果、
「ごめん、ネカフェはさすがにわたしの良識が死ぬから帰るね」と伝え、帰宅しました。
剛田くんの「まさか断られるとは思ってなかった」という顔が今も脳裏に焼き付いています。
いや、断るだろ。
6 結びに
初めて会った日にわたしを浄化してきた無印良品系男子は、たった2ヶ月の間に悲しき性欲モンスターへと進化を遂げていました。
「人の成長とは時に残酷である」という、至極当たり前の事実に気付かされるのと同時に、性的交渉未経験者というだけで、どこか下に見ていたのではないかという内省をするきっかけになりました。
誰だって未経験だった時期は確かにあったはずなのに、いつのまにこんなに荒んだ考え方をするようになってしまったのでしょうか。
性癖なんて十人十色なはずなのに、どうしてそんな簡単なことに考えが及ばなかったのでしょうか。
自分が情けないです。
こんな気持ちになるなら、初めて会ったあの日にわたしがお持ち帰りしておけば良かった。
