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中国が制した太陽電池を、日本企業は取り返せるか──ペロブスカイトの物理と投資の地図

割引あり

Tech × 物理 × 投資 ──
現役ハードウェアエンジニア×物性物理学系院卒の
次世代太陽電池解説


あなたの家の屋根、もしくは近所のメガソーラー。


あの黒いパネルが何でできているか、答えられるだろうか?


シリコンだ。

そしてそのパネルは、ほぼ確実に中国製だ。

日本は太陽電池を「発明」した国であり、量産で世界一だった時代もある。
それが今、世界シェアの8割以上を
中国に明け渡している。

なぜ負けたのか──
そこについては第一章で話そう。


ところでこのnoteの本題は、
次世代の太陽電池である。

名前は、あなたも一度は聞いたことがあるはずだ

──ペロブスカイト。



1,400℃の炉ではなく、
ホットプレートくらいの温度で作れる。
硬い板ではなく、ペラペラのフィルムに刷れる。


そしてその心臓部に使う「ある資源」を、日本が世界の3割握っている。



この話を聞くと、こう思うかもしれない。


「日本発の次世代太陽電池が来る」
「軽くて、安くて、曲げられるなら、シリコンを置き換える」
「ならば関連株を買えばいい」


だが、ここで一度立ち止まりたい。


なぜシリコン太陽電池は、1,400℃近い高温の炉と、
きれいに整った単結晶を必要とするのか。




なぜペロブスカイトは、インクのように塗って、低温で膜にできるのか。




そして、もし本当に「安く・軽く・高効率」が成り立つなら、
なぜまだ、あなたの家の屋根はペロブスカイトで覆われていないのか。




「ペロブスカイトは日本発で、軽くて、安い」

この説明は、結論としては間違っていない。


しかし、それがなぜ成り立つのかを物理で説明できなければ、
投資家は重要な判断を見誤る。


どの性能が本質なのか。
どの弱点が致命傷なのか。
どのニュースが事業価値に直結し、
どのニュースが実験室の記録にすぎないのか。



それを見分ける基準を持てないからだ。



結論だけを追う投資家は、「変換効率の世界記録更新」というニュースが出るたびに右往左往する。



一方で、原理を理解している投資家は、
その数字が量産に近づいた証拠なのか、
まだ研究室の中だけの成果なのかを、

自分の頭で判別できる。




NVIDIAを2020年に買えた人は、
GPUがなぜAIに向いているのかを理解していた。


ASMLを長期で持てた人は、
EUVの波長がなぜ半導体微細化のボトルネックになるのかを理解していた。



同じことが、ペロブスカイトにも言える。

ペロブスカイトの覇権銘柄を見極められるかどうかは、
単に「日本発」「軽い」「安い」という言葉を知っているかでは決まらない。




その裏側にある物理を理解しているかどうかで決まる。

──物理を知る投資家は、強い。──


この記事は、ペロブスカイト投資を物理の第一原理から解剖する完全ガイドだ。 結晶の生まれ方、欠陥許容性、安定性、タンデム、放射線──そのすべての物理レイヤーを、身近な比喩で噛み砕きながら、 どこにMoat(参入障壁)が築かれ、どの銘柄がなぜ強いのかを一気通貫で解説する。


第1章 1,400℃の炉と純度の壁──シリコンはなぜ「中国製」になったか


■結晶の「育て方」が、すべてを分ける

世の中の固体には、大きく分けて二つの作り方がある。

ひとつは、育てる
高い温度でドロドロに溶かし、ゆっくり時間をかけて、ひとつの大きな結晶に育て上げる。
ダイヤモンドや、宝石や
──そしてシリコンが、こちらだ。


もうひとつは、乾かす
溶かした液を垂らして、水分を飛ばす。
すると、誰が並べたわけでもないのに、勝手に結晶ができあがる。
塩や、砂糖が、こちらだ。



太陽電池の主役だったシリコンは、前者。
ー育てられた結晶
これから主役を狙うペロブスカイトは、後者だ。
ー乾かされた結晶


たったこれだけの違い。
「炉で育てる」か「塗って乾かす」か。


この生まれ方の違いが、
価格を、重さを、形を、設置できる場所を、
そしてどの国が勝つかを、すべて分けている。


まずは王者・シリコンが、
なぜ「重くて・硬くて・中国製」になったのかを、物理で見ていこう。



■なぜシリコンは手間暇かけて”育てる”必要があるのか

シリコンの太陽電池を作るには、とんでもない手間がかかる。


原料は、砂や石英(二酸化ケイ素)。
ありふれている。

地球上で最も多い元素はシリコン(Si)である
ということは理科の授業で習ったことがあるだろう。


原料は大量にある。
問題は、そこから先だ。


太陽電池に使うシリコンは、

純度99.9999%(シックスナイン)以上。


不純物が100万個に1個以下、という世界。
なぜ、ここまで純度が必要なのかは、すぐ後でわかる。


まずは「どうやって作るか」を話そう。


この純度を出すために、
原料を一度ガスにして蒸留し、また固体に戻す。


そして、それを1,400℃を超える炉でドロドロに溶かし、
種となる小さな結晶を浸して、
ゆっくり、ゆっくりと回しながら引き上げる。

すると、巨大な一本の単結晶が育つ。

あなたが理科の実験で、
ミョウバンの種結晶を糸で吊るして、
何日もかけて大きな結晶を育てたことがあるかもしれない。

あれの、超巨大・超高純度・超高温バージョンだ。



なぜ、ここまでしなければならないのか。


たかが、日光を浴びるだけの板だ。
それなのに、ガスにして、蒸留して、1,400℃で溶かし、単結晶を育てる。


その理由を説明するためにまずは、
シリコンの苦手分野について説明しなければならない。

その苦手分野とは

── 光を吸うこと、だ。

物理用語では間接遷移という。


例えてみよう。



あなたが横スクロールゲームの主人公になったと想像してほしい。


あなたは、
赤い帽子をかぶり、低い足場に立っている。


足場は狭く、ほとんど動けない。


下は奈落の底。落ちればゲームオーバー。



ふと上を見ると、
一段高いところに別の足場がある。
そこへ移れれば、あなたは自由に動けるようになる。


この足場への移動が、電子が光を吸収して、発電に使える状態へ移るイメージだ。



ところが問題がある。

その高い足場は、真上にはない。

少し横にズレた場所にある。


光は、あなたを上へ持ち上げる力をくれる。
しかし、横へ押す力はくれない。


だから光が当たっても、
あなたは真上に跳ぶだけだ。
横にズレた足場には届かず、空を切って、また元の場所に落ちてくる。



ここで必要になるのが、横から押してくれる“風”だ。


その風の正体が、結晶そのものの揺れ。
物理でいう格子振動というものだ。


シリコンでは、光が電子を上へ持ち上げるだけでは足りない。
同時に、結晶の揺れが横方向のズレを埋めてくれなければならない。




光と、格子振動。


この二人三脚がそろって、ようやくシリコンは光を吸収できる。


だが、二つの偶然が同時に起きる確率は高くない。



だからシリコンは、光を吸うのが下手なのだ。
薄い膜では、
光の多くがそのまま通り抜けてしまう。


結果として、

太陽電池にするには、ある程度の厚みが必要になる。



──つまり、板を分厚して、
何度も、何度も、チャンスを与えること。

その厚みが、150μm。


さて、赤い帽子の主人公は、ようやく横にズレた高い足場に飛び移れた。
光を吸い込み、電子が自由に動ける状態になった。



だが、ゲームはここで終わらない。

ここからゴール──電極まで、走り切らないといけない。

走り切って初めて、その光は「電気」になる。


問題は、ゴールまでのトラップだ。

ステージの足元に、穴のトラップがたくさんあれば、

主人公(電子)は、そこに落ちる。




ゴールにたどり着けず、
せっかく受け取ったエネルギーを、
熱として失って消える。
(物理ではこれを再結合という。電気にならず、ただ熱くなって終わる)



この穴のトラップの原因は何か?

ひとつは、不純物。

シリコンに紛れ込んだ、別の種類の原子だ。


もうひとつは、結晶の不完全さ。

結晶がキレイに育っていない場合にできる不完全さだ。



つまり、こういう連鎖になっている。

光を吸うのが下手(間接遷移)  
→ だから分厚くするしかない(150μm)  
→ 分厚くすると、穴(不純物)や結晶のズレ不完全が起こる確率が上がる
→そのトラップにハマれば、
電子は途中で落ちてゲームオーバー


だからシリコンは、
不純物を100万個に1個以下まで消し、
完璧に近い結晶を、
ゆっくりゆっくり育てるしかなかった。


主人公(電子)が無事に走り抜けられる、完璧な一本道を敷くためだ。

第1章の冒頭で「不純物が100万個に1個以下」という異常な数字を出した。
なぜそこまで要るのか──その答えが、これだ。



ここで、驚くべき事実がある。


このあと出てくるペロブスカイトは、

足場が横にズレていない。




光が当たった一瞬で、風の助けなしに、ひとっ跳びで届く。

だから、必要な厚みは0.5μm前後。

シリコンの、およそ300分の1だ。



その差は、職人の腕でも、
コストダウンの努力でもない。

足場が真上にあるか、横にズレているか
──物理の構造そのものから来ている。



だから、シリコンの太陽電池は──

・重い(光を逃さないために、分厚い板にするしかないから)
・硬い(その分厚い板を、割れやすい単結晶で作るから)
・高くつくはずだった(炉と純度と単結晶の手間)

「高くつくはず」と書いたのは、ここに逆転が起きたからだ。


この「炉・純度・単結晶」という工程は、
要するに巨大な装置で大量に作る勝負になる。


材料の発明や繊細な職人技ではなく、
いちばん多くの工場を、
いちばん大規模に回した者が勝つ。



その勝負を、中国が制した。
国家の補助金と、
安い電力と、桁違いの量産規模で、

ポリシリコンからウエハー、セル、モジュールまで、世界シェアの8割以上を握った。


結果、シリコン太陽電池は「ハイテク製品」から「コモディティ(汎用品)」になり、

価格は劇的に下がり、日本企業はほぼ撤退した。




ここまでで、
シリコンの「重くて・硬くて・中国製」が、
たった一つの物理から生まれていたことが見えた。


足場が、横にズレている。


それだけのことが、板を分厚くさせ、
分厚さが、純度と単結晶を要求し、
それが、炉と規模の戦いを呼び、

最後に、中国の独走を生んだ。



ということは── これから出てくる「軽くて・曲がる」も、
もう宣伝文句には聞こえないはずだ。


足場がズレていない → 薄くていい → 薄いから、軽くて、曲がる。
これも、物理の必然だ。



逆に、この「なぜ」を持たない投資家は、
「ペロブスカイト関連」という言葉だけで何にでも飛びつき、
本物と、雰囲気だけの銘柄を、見分けられない。

さて。

この章の冒頭で、固体には二つの作り方がある、と書いた。
「炉で育てる」シリコンは、いま見てきたとおりだ。


では、もう片方──「塗って乾かす」方は、どうなっているのか。


炉も、高い純度も、何日もかけた単結晶も、要らない。

液を塗って、乾かすだけ。


それだけで、発電する結晶が、ひとりでに組み上がる。

……正気か、と思うはずだ。



炉も、純度管理も、職人技もなしに
──勝手に、結晶になれるのか。


この「勝手に組み上がる」という反則。
これこそが、
ペロブスカイトの安さも、軽さも、薄さも
── そして、のちに牙をむく最大の弱点も、すべてを生む源だ。


第2章 塗って乾かすだけで、なぜシリコンに並ぶのか──自己組織化と「欠陥許容性」


ペロブスカイトは「勝手に組み上がる」。


炉も、純度も、単結晶も要らず、
塗って乾かすだけで、

発電する結晶ができる──


これは魔法ではない。

ほどいていけば、ちゃんと物理の理由がある。
そして、その理由をたどると、
最後はたった一つの性質に行き着く。


その説明のために、身近な例から「勝手に組み上がる」から見ていこう。


■ 誰も並べていないのに、なぜ勝手に結晶になるのか

小学校の理科で、食塩水を皿に入れて、
窓際に置く実験をしたことがあるだろうか?


数日後、皿のふちに、四角い塩の結晶ができている。


あれは、誰かが塩の粒を一個ずつ、ピンセットで並べたわけではない。

それなのに、なぜ、定規で引いたように規則正しい形が、ひとりでに出来上がるのか?



このきれいな結晶を並べているのは、人間ではない。


「電気的な力」だ。


塩は、ナトリウム(+)と塩素(−)という、
電気を帯びた粒(イオン)でできている。


電気には、二つの鉄則がある。


・プラスとマイナスは、引き合う
・同じ符号どうしは、反発する。

水の中では、イオンは自由に泳ぎ回っている。
そこから水が蒸発していくと、イオンはだんだん追い詰められ、
互いに近づいていく。


このとき、イオンはどう並ぶのが「いちばんラク」か?


+の隣には−、その隣にはまた+──と、交互に並ぶ形だ。



引き合う相手が隣にいて、
反発する相手とは離れている。
この配置が、いちばんエネルギーが低い。
=いちばん落ち着く。



自然界には、たった一つの大原則がある。


ものは、放っておくと、
いちばんエネルギーの低い、
ラクな形になる。


イオンにとっての「最もラクな形」が、
たまたま、あの規則正しい格子だった。
だから、誰も並べなくても、勝手に整列する。


この「勝手に秩序ができる」現象を、
自己組織化という。


ペロブスカイトは、これを"発電する材料"でやってのける。


材料を溶かしたインクを基板に塗り、
100℃前後で乾かす。
ホットプレートで目玉焼きを焼くくらいの温度だ。


それだけで、発電する結晶が、勝手に並んで膜になる。



ここで、第1章を思い出してほしい。
シリコンは、同じ「結晶を作る」ために、1,400℃の炉が要った。

100℃と、1,400℃。 この14倍の差は、
いったいどこから来るのか。


結合の、強さの違いだ。


シリコンの原子は、互いにガッチリと手をつないでいる(共有結合)。
一度つないだ手は、そう簡単にはほどけない。


だから、いったんバラして組み直すには、1,400℃まで上げて、溶かすしかない。



ペロブスカイトのイオンは、
手をつないでいるわけではない。
+と−が、電気の力で、

ゆるく寄り集まっているだけだ。

結びつきがゆるいから、
低い温度でも、ほどけて、組み直せる。



つまり── シリコンが「炉で育てる宝石」で、
ペロブスカイトが「塗って乾かす塩」だったのは、
突き詰めれば、

「原子の結びつきが、ガッチリか、ゆるいか」

の一点だったのだ。

そして、この「ゆるさ」こそが、これから出てくる強さの、ほとんどすべての源になる。

そして同時に、最大の弱点の源でもある。


■「ペロブスカイト」とは、形の名前

ここで一度、言葉を整理しておく。

ペロブスカイトとは、特定の物質の名前ではない。

結晶の"形"の名前だ。



A・B・Xという3種類の部品が、
積み木のように規則正しく組み合わさった形をしている。


太陽電池に使うのは、このXの位置にヨウ素をを入れたものが多い。


■ 欠陥だらけなのに、なぜ動くのか

ここまでで、勝手に組みあがるペロブスカイトについて説明した。
塗って乾かすだけの、安くて雑な作り方だ。



勝手に組みあがるとはいえ、
こんな雑な作り方では
さすがに欠陥は多数できてしまう。


それなのに、なぜシリコンに迫る性能が出るのか?


ここに、ペロブスカイトの二つ目の反則がある。
そして、その答えも──また、あの「結合のゆるさ」が原因だ。


もう一度、第1章のゲームの世界に戻ろう。

光を吸って自由になった主人公(電子)は、
電極というゴールまで、走り切らないといけなかった。

走り切って初めて、その光は電気になる。


第1章で見たとおり、シリコンのコースには、
穴のトラップがあった。

不純物や、結晶の不完全さ。
そこに落ちた電子は、這い上がれず、熱になって消える(再結合)。


この穴は、奈落だ。底なしの落とし穴だ。


だからシリコンは、穴のない完璧な一本道──超高純度の単結晶──を、
手間暇かけて敷くしかなかった。


では、ペロブスカイトのコースはどうか。

穴は、たくさん空いている。
塗って乾かしただけの膜だから、
あちこちで勝手に結晶の粒ができて、
その境目だらけになる。

欠陥も、数えきれないほどある。


普通なら、即ゲームオーバーだ。


ところが──ペロブスカイトの穴は、奈落ではない。

浅い、くぼみなのだ。



主人公は、その浅いくぼみにつまずいても、
すぐに這い上がって、また走り出す。

落ちても、ゲームオーバーにならない。



これを、欠陥許容性(defect tolerance)という。
欠陥が、罠にならない、という意味だ。


では、なぜ。 同じ「穴」なのに、
シリコンでは奈落になり、
ペロブスカイトでは浅いくぼみで済むのか。


これも、結合の違いから来ている。



シリコンの原子は、
互いにガッチリと手をつないでいる。
(共有結合と呼ばれる)


これが切れて欠陥ができると、
早く、がっちり手をつないだ状態に
戻りたい力が働く。


この力が電子を掴んで離さない。



ペロブスカイトのイオンは、
もともと手をつないでいない。
ゆるく寄り集まっているだけだった。


だから、穴(欠陥)そのものは、
むしろ簡単にできてしまう。

だが──ゆるい結びつきのおかげで、
欠陥ができたとしても電子を掴む力は弱い。

もともと仲はそんなに良くなかったし!


とでも言わんばかりに欠陥の力も弱い。



この弱さによって、
ペロブスカイトの欠陥が作るトラップは浅いくぼみ
──ハマっても出てこれるぐらいの罠なのだ。


つまり、ペロブスカイトの「ゆるさ」は、
低温で勝手に組める理由であると同時に、

雑に作っても穴が罠にならない理由でもあるということだ。


一つの結合がゆるいという性質が、二つの反則を、同時に生んでいる。

これが、ペロブスカイト最大の「反則」だ。



普通の半導体は、雑に作れば欠陥が罠になり、
性能が落ちる。
だから、完璧に作るために手間暇がかかる。



ペロブスカイトは、
雑に作っても欠陥が罠にならない。
だから、雑に作っても性能が出る。


「炉も単結晶もいらないのに、シリコンに肩を並べる26%超の効率が出る」。

本来なら両立しないはずのことが、欠陥許容性という物理で、
成立している。

証拠は、進化の速さだ。

ペロブスカイト太陽電池が2009年に日本(桐蔭横浜大学・宮坂力教授)で生まれたとき、
効率はわずか3.8%だった。

それが、十数年で26%超に達した。



シリコンが半世紀かけて積み上げた効率に、
塗って乾かす電池が、一気に並んだ。

欠陥があまり問題にならないから、
研究者が試行錯誤するたびに、
効率がぐんぐん伸びた。

この異常な追い上げを支えた正体こそ、
欠陥許容性だ。



■ ここまでの物理を整理しよう

あなたは今、以下を理解している。

・シリコンは「炉で育てる宝石」
ガッチリした共有結合ゆえに、重く・硬く・装置産業になり、
中国が制した(第1章)

・ペロブスカイトは「塗って乾かす塩」
ゆるいイオン結晶ゆえに、低温で勝手に組み上がり、
軽く・曲がり・どこでも貼れる(第2章)

・雑に作っても効率が出るのは、
同じ「ゆるさ」が生む欠陥許容性のおかげ(第2章)


普通の記事なら、「ペロブスカイトは低コスト・軽量・高効率の次世代電池です」と、結論だけを書くだろう。

だが、あなたはもう、その理由を、物理で言える。




では、次の問いに、答えられるだろうか。

「これほど良いことづくめなのに、なぜまだ、あなたの家の屋根に載っていないのか?」


「ペロブスカイトの弱点を消した企業はどこで、その弱点の消す方法は"昔のとある技術"?」


「シリコンが苦手な2つの場所で、ペロブスカイトが勝てる理由とは?」



この問いの答えを導くのが、次章以降の本題だ。

逆に、ここから先を読まない場合、あなたの手元に残るのは「ペロブスカイトは日本発の次世代太陽電池らしい」という、見出しだけだ。


ペロブスカイト実用化の壁を越えた企業はどこか?
誰が勝っても儲かる横串はどこか?

── この構造が見えないまま、
「ペロブスカイト関連」という言葉だけで、
売買を迫られることになる。

次の決算やニュースで「効率の世界記録を更新」と報じられたとき、

それが本物の前進なのか、
実験室だけの数字なのかを判断する根拠が、
あなたには、まだない。



もうあなたはニュースにいちいち踊らされる必要はない。

この記事の先にあるのは
ペロブスカイト太陽電池の構造を根本から理解し、

自ら未来を読み解く力です。


※本記事は買い切りです。重要な動きがあった際には、内容をリライト・追記していきます。一度購入すれば、最新の分析にアクセスできるバイブルです。


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参考リンク
1. IEA「Solar PV Global Supply Chains」
https://www.iea.org/reports/solar-pv-global-supply-chains/executive-summary
2. TU Delft「Crystalline Silicon Solar Cells」
https://ocw.tudelft.nl/wp-content/uploads/solar_energy_section_12_1.pdf
3. Nature / npj Flexible Electronics「Defects engineering for high-performance perovskite solar cells」
https://www.nature.com/articles/s41528-018-0035-z

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