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[音楽]「ゴー・ホーム・ガール (ライ・クーダー/1979)」


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ライ・クーダー

 ライ・クーダーというアーティストについてアレコレと語るほど聴き込んではいない。

 せいぜい、ヴェンダースの『パリ、テキサス (Paris,Texas/1984)』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ (Buena Vista Social Club/1999)』やウォルター・ヒルの『ロング・ライダーズ (The Long Riders/1980)』『サザン・コンフォート (Southern Comfort/1981)』『クロスロード (Crossroads/1986)』など映画音楽で馴染み深い⋯といった程度だ。

 家には何枚かのサントラ盤の他に「チキン・スキン・ミュージック (Chicken Skin Music/1976)」「ジャズ (Jazz/1978)」そして「バップ・ドロップ・デラックス (Bop Till You Drop/1979)」のCDがある。

 一番聴き込んだのは「バップ〜」で、「ゴー・ホーム・ガール」はこのアルバムの2曲目となる。

ロンサム・カーボーイ

 そもそもライ・クーダーの名を覚えたのは1979〜80年にかけてオンエアされていたCMだった。

 その、パイオニアのカーステレオ「ロンサム・カーボーイ (Lonesome Car-boy)」のCMは私ぐらいの年齢の方ならご存じの方も多いはず。

 出演はウォーレン・オーツ、ナレーションが片岡義夫、そして流れていた曲が「ゴー・ホーム・ガール」だった。荒野でエンコしたと思われる車のそばに座って不機嫌そうにリンゴをひとかじりし、おもむろに不味そうに吐き出す。ナレーションの内容は忘れてしまったが、映画の1シーンのような奥行きのある映像だった。

 当時はまだ『ワイルドバンチ (The Wild Bunch/1969)』『ガルシアの首 (Bring Me the Head of Alfredo Garcia/1974)』未体験でウォーレン・オーツと言えば、テレビで見た『デリンジャー (Dillinger/1973)』や『悪魔の追跡 (Race with the Devil/1975)』で名前と顔がやっと一致したぐらいだった。

 オーツはこのCMに出演したあと1982年に53歳の若さで亡くなった。

ロンサム・カウボーイ

 CMを作った秋山晶は2つのきっかけがあったとのこと。ひとつは片岡義夫の小説「ロンサム・カウボーイ」。もう一つが片岡義夫がDJを担当したFM東京の「FM25時 気まぐれ飛行船~野生時代~」。

 小説から浮かんだ映像をラジオから流れた片岡の語り口で再現したのがこのCMだったとのこと。

 パイオニアのカーステレオなので「"カー"ボーイ」で洒落だろう。ただその昔に『真夜中のカーボーイ (Midnight Cowboy/1969)』という変な邦題の映画もあった。wikiによると当時、日本ユナイト映画の宣伝部にいた水野晴郎の趣向だったとか。

「ゴー・ホーム・ガール」

 オリジナルはアーサー・アレキサンダーの1962年のヒット曲。

 ライ・クーダーのカバーは8枚目のアルバム「バップ・ドロップ・デラックス」に収録。

Well, me and Frank
We're the best of friends
And our friendship will never end
But I would hurt him so
for him to know
That I'm in love with his girlfriend

僕とフランクは大の親友
この友情は終わることはない
だから彼に知られたら傷つけてしまう
フランクのガールフレンドと恋に落ちたなんて

Now, the love of a girl
And the love of a friend
Are two things you can't compare
Though my heart will ache
I will let it break
'Cause I know that it just ain't fair

あの娘も愛しているし
フランクも愛している
とてもどちらかなんて選べない
心が壊れそうだけど
僕らは別れるしかない
こんなことはフェアじゃないから

So go on home girl,
Let's call it a night
You better go home girl
This just ain't right

家に帰りなよ
もう終わりにしよう
帰った方がいいよ
こんなことは正しくない

But before you go
I want you to know
That I love you, yes I do
And though it breaks my heart
For us to part
Still I know Frank loves you too

でも別れる前に
これだけは知っておいてくれ
僕は君を愛している
辛くて仕方がないけど
こうするしかない
フランクも君を愛しているんだから

Now you say that
We can make him see
We got a love that's really real
But I think that he is just like me
And I know just how he feels

君はこう言う
"彼に納得させることができるわ
私たちの愛が本物だということを"
でも僕もフランクと同じなんだ
彼がどう感じるかよくわかるんだ

Darling, we both know
It would hurt him so
If you told him that it must end
And I could never hold the love I stole
From a man I call my best friend

わかってるだろ
フランクがとてつもなく傷つくことを
もし"私たちはもう終わりよ"なんて言ったら…
僕の親友、と呼ぶ男から奪い取った愛なんか長続きしないさ

Go on home girl,
You better go home, girl
Go on home,
Better move on

Me and Frank been friends for so long
And our friendship is really strong
He gives me his car to go for a ride
Never knows how long I'll be gone

僕とフランクはずっと親友同士
僕らの友情は決して壊れることはない
フランクはドライブ用に車を貸してくれた
どれだけ時間がかかるかも知らないで

Well, I'm trying to forget
all the things that we've done
'Cause Frank is just a-waiting back home
Girl you can't go ride with me anymore
That's the way it's got to be from now on

だから僕たちのことはもう忘れるようにするよ
フランクが君の帰りを待ってるんだろ
もう一緒にいちゃだめだよ
これからは何もなかったようにしないとね

 "go ride with me"は"一緒にドライブする"という意味と"一緒にやっていく"という意味がある。前の歌詞でフランクは気軽にドライブ用に愛車を貸してくれて、しかも好きなだけ使いなよ、とまで言ってくれている。それに対する二重の意味合いだろう。

Go on home
Umh better go home, girl
Umh you better move on, girl 

 じゃあ彼女の気持ちはどうなのよ…という突っ込みがありそうだけど、なんとも無邪気な歌詞で、ライ・クーダーは朗らかに歌い心地よい曲だった。あらためて歌詞を咀嚼したうえで果たしてCMの映像があっているのか…と言うと、それは微妙な気もするが、当時は好きなCMだった。

CMのその後

 「ロンサム・カーボーイ」のCMは3作品あり、2作目と3作目はライ・クーダー御大が出演。使用曲も「アクロス・ザ・ボーダーライン (Across The Borderline/1981)」「ビッグ・シティ (Big City/1982)」に変わった。それぞれ良い曲だがあまり印象に残っていない。

 「アクロス〜」はCM向けに書き下ろしたらしい。『ボーダー (The Border/1982)』のテーマ曲として採録されたバージョンのみが流通しているらしい。

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 「ビッグ〜」も書き下ろしで「ザ・スライド・エリア (The Slide Area/1982)」のアナログ盤のボーナストラックとして収録されたが、CD化される際にカットされたらしい。

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おわりに

 noteで音楽のことを書くと80年代に寄ってきた。たぶん未知の音楽をなんの情報もなく純粋に楽しんでいた時期なのだろう。所有しているCDも70〜80年代の作品が多いのも納得。

 最後に「バップ~」から、これもお気に入りの「富める秘訣 (The Very Thing That Makes You Rich (Makes Me Poor))」。

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