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コラム32「なぜか自分だけが疲弊している」ー2026年版中小企業白書を読んで感じた、後継者に起きていること

2026年版中小企業白書では、

  • 「稼ぐ力」の強化

  • 価格転嫁

  • 高付加価値化

  • AI・デジタル化

  • 人材不足への対応

  • 経営リテラシー

などが重要テーマとして整理されていました。

特に印象的だったのは、

「経営リテラシー」

の重要性が繰り返し語られていたことです。

財務・会計だけではなく、

  • 組織

  • 人材

  • 経営戦略

  • 運営管理

まで含めて、
経営者が判断できる力を高める必要性が示されていました。

実際、現場で後継者や第二創業フェーズの経営者と向き合っていると、
この問題を強く感じます。

ただ、現場では、
もう少し手前の問題が起きています。

それは、

「経営知識」以前に、“判断できる状態”を失っている

ということです。


■ 気づくと、「自分だけが疲弊している」

会社を引き継いで、数年。

気づくと、
社長室で一人、考え込む時間が増えている。

「やるべきことはわかっている。でも、動き切れない」

「幹部に任せたいのに、結局自分が全部見ている」

「相談すると話が広がる。でも、何も決まらない」

「現場がズレる。確認してこない。止まる」

「自分も、かなり疲れている」

後継者の方と話していると、
こうした言葉が、本当によく出てきます。

でも、これは能力不足ではありません。


■ 問題は「あなた」ではなく、「構造」にある

責任感が強く、
現場をちゃんと見ている人ほど、
判断を抱え込みます。

ある後継者は、こう話してくれました。

「イベント会場の机の配置まで、自分で決めています」

本人も苦しい。
現場も止まる。
でも、誰にも任せられない。

これは、決して珍しい話ではありません。

多くの場合、会社の中では、

  • 会議が「報告の場」になっていて、何も決まらない

  • 幹部の役割が曖昧で、責任の所在が見えない

  • 判断基準が共有されておらず、確認が止まらない

  • KPIが数字管理で終わり、行動につながっていない

という状態が起きています。

つまり、

「社長が悪い」のではなく、

“社長に判断が集中する構造”

になっている。

だから、どれだけ頑張っても消耗するし、
会社も前に進みにくくなります。


■ 「稼ぐ力」より先に、確認すること

白書では、
価格転嫁や高付加価値化、
AI・デジタル化なども重要テーマとして整理されていました。

もちろん重要です。

ただ、中小企業の現場では、
その前に確認すべきことがあります。

それは、

「この会社は、ちゃんと生き残れる構造になっているか」

ということです。

  • 粗利は残っているか

  • キャッシュは回っているか

  • 投資余力はあるか

  • 借入返済に耐えられるか

ここが崩れると、
どんな戦略も続きません。

だから私は、

「強み → 価格 → 粗利 → 投資余力 → 持続成長」

という流れを、
まず一緒に整理することを重視しています。


■ 私がやること
——「答え」ではなく、「決められる状態」を作る

私が後継者支援の現場で重視しているのは、

  • 論点を整理すること

  • 判断軸を言語化すること

  • 会議を「報告会」から「決定の場」に変えること

  • 役割と責任範囲を整理すること

  • KPIを行動レベルまで落とし込むこと

です。

答えを教えることはしません。

会社を前に進めるのは、
最終的には経営者自身だからです。

私がやるのは、

「自分で決められる状態」

を一緒に作ることです。

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実戦経営アドバイザー/中小企業診断士
熊谷 篤

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