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ひさびさのプラス要素として山の栗を拾えるこの時期の存在は大きい


ありがとうございます

はじめに


 農業をやっていた期間は10年に満たない。当時はさまざまな作物をつくり山の幸を手に入れた。ちょうど2週間ほどは栗拾い。8月末から9月はじめにかけては、暑い日中をさけ朝と夕方だけ秋作の準備。そのため畑での収穫はひとやすみ。9月末の播種や苗づくりの作業まで間がある。その合間のちょっとさびしい時期だけに、まるまると膨らんだ栗のようすをみるとうれしい。

きょうはそんな話。

(タイトル写真:ハートのかたちの巨峰をみつけた)

暑さをさけて


 中玉トマトがひと段落したあとの時期の農作業は7月末のじゃがいもの植え付けが中心。お盆明けまで畑の整理。ほかは早朝まだ暗いうちにオクラ、ピーマン、ハーブ類の収穫、収穫がひと段落したナスはいったん秋ナスを得るための剪定などで株を養生させる。暑さに合わせて作業は半分ほど。

ブロッコリーも最初の収穫ののち追肥すると、つぎつぎに芽があがる。トウ立ちしないように丹念に収穫をつづければ、合算すると1株あたり何個分かを数週間にわたり得られる。

オクラはうまく時期をずらして何度か種まきしておき、追肥をつづけると10月末まで休みなく収穫できる。体力のないわたし向けで、この地域の環境によく合う作物のひとつ。

ようやく秋


 春・秋の本格的な収穫シーズンとくらべると、この時期の収穫量は全般的に低い。そんななかようやく栗の季節を迎える。1日おきにしょいこを背にいのしし除けの小さな鈴をつけて山にはいる。山道の入口で口には出さないで「入りますよ。」と山にあいさつ。すこしずつ登りはじめ、めぼしい栗の木へとたどりつく。いつもの木の上でなく下の地面に目を行きわたらせる。

ときに木を揺する。揺するたびにボタッ、ボタッとイガの落ちる音。その方向へ移動。まだ薄暗いなか、足もとのイガを長靴のさきで抑えつつ、火ばさみでひらく。なかから丸まるとした茶色く色づいた実を厚手のゴム手袋ごしにとりだす。ことしもよく実ったと感謝のきもちが湧く。山にあがるたび、最初のひとつを手にするたびにありがとうと思う。

作業のつづき


 そばにいのししの匂いのするときはイガのままをせなかのしょいこへ。ふもとに降りてから栗の実をとりだす。

つぎに栗の木の畑へ。ここには栗の木が10本ほど。さきほど同様木をゆすりつつボタボタの音に向かいイガを開く作業をくりかえす。しょいこのビニール袋の中身はいっぱいに。家にもどりきれいにひとつひとつ清浄な布でふいて網の袋につめていく。山の栗と畑の栗に分けて、合計10~15袋ほど販売所にもちこむ。たいてい午前中の早い時間で売れてしまう。

きもちがちがう


 はたけでろくな収穫物がない頃、こうして山から収穫があるといま一度前向きになれる。ちょうど1年ごとの区切りの時期といえる。これからつぎの秋作と春作、そして初夏までの一連の農作業にむけての準備期間といえる。

西南日本のこの地域の冬はフルにからだを動かせる。秋口からそれまでに体力を徐々に養っていく。販売所(10~20キロ先)への自動車での運搬以外に機械をまったくつかわない。人力で天地返しや里芋用の畑の準備などの作業をいちばん寒い1月中旬から下旬のあいだにおこなう。家にもどると真冬でもシャワーのみですごせるほど汗をかく。

栗拾いのこの時期が農業のしごとはじめ。まずは山と畑にこのシーズンもよろしく、冬も安全に作業させてくださいとあいさつする時期と思ってきた。

おわりに


 こうして、あいさつへの返礼のようなかたちで栗の実が手に入る。それだけにいい実が入っていると山や畑からよい返事をもらえたと思う。ふだんの年と変わりのない収穫にほっとする瞬間。

(昨今の流行り病以前の行動の記録です。)


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