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HTKさんと自分(その一) | パプアニューギニア(PNG)

パプアニューギニア(PNG)に行きたかった理由は以前、書いた通り

ただ、人類学をやるとも決めたので、トゥブアンだけではなく、現地に行ったら他の事も知りたいなと。

そこで、トーライの人たちについていろいろと読み進めていった。そうする中で、貝で作られた「貝貨」タブを彼らが使っていると知る。
それは、1999年のこと。

当時、インターネットで得られる情報は、今ほどに沢山なかったけれど、思ったよりも他国のニュースについては読むことができたものだった。
そこで見つけたのが、南太平洋を対象にした月刊誌Pacific Islands Monthly。その中の記事の一つに、貝貨タブを集めた大きなタイヤ状の輪を背景としてこちらを見る男性、HTKさんの写真があった。

記事によれば、HTKさんは日本軍が太平洋戦争中に占領していたラバウルで、貝貨とPNGの国民通貨キナ・トヤとの交換所を運営していたという。

しかし、1994年に起きたラバウル近郊の火山の噴火ですべてが一変した。
奇跡的にこの火山の噴火で亡くなった人はいなかったのだけれど、町が壊滅したことで略奪行為が横行し、損壊した彼の交換所も被害を免れなかったと。

火山の噴火ですべてを失ったHTKさんだが、それでも彼は「貝貨銀行」を再興し、人々に貝貨とキナを双方向で交換する機会を提供したいのだと。
貝貨を沢山持っているのに手持ちの現金が少なくて困っている人と、定職についているのでお金は持っているが貝貨タブを得る機会が町にいると中々ない人、この両者をつなげたいというのがHKさんの主張だった。

トーライの人々は、あらゆる人生儀礼でタブが必要だ。
トーライである限り、なんとか貝貨を調達しなくてはいけないのである。

貝貨タブによる婚資の交換儀礼
ラバウル沖にあるデュークオブヨーク諸島の一つ、ミオコ島にて著者撮影)

「うん、この人に会いに行こう」

Pacific Islands Monthlyを読み終わってすぐに決めた。

続く