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【ゼルビア 5-3-2ブロックの崩し方】「2024 J1リーグ 第36節」町田ゼルビアvs FC東京 分析レポート

「2024 J1リーグ 第36節」

町田ゼルビアvs FC東京 分析レポート

3-0(前半1-0/後半2-0)




Ⅰ.「はじめに」

 首都東京をホームとするチーム同士の対戦で締め括る、今シーズン最後の「THE国立DAY」。

 新国立競技場では「2分2敗」と勝ちがないゼルビア。対して「8勝1分」と負けがないFC東京。リーグ戦直近5試合の結果を見ても「2分3敗」と苦戦が続くゼルビアに対して、前節はベルマーレに完敗したものの「3勝1分1敗」と決して調子は悪くないFC東京。
 しかし、蓋を開けてみれば結果・内容共にゼルビアの圧勝と言って過言ではない一戦に。

 ゼルビアとしては「3-1-4-2」へのシステム変更が功を奏し「町田らしさ」を取り戻した中での貴重な勝ち点3。
 ここ最近、どことなく浮かない顔で試合に臨んでいた選手が多かった様に見えたゼルビアですが、今節は試合序盤から引き締まった良い顔をしており、実際にキックオフ直後から試合の主導権を掴んでいました。
 中でも序盤から頻繁にセカンドボールを回収できており、これには原点回帰・意識の徹底がベースにあった上での「システム変更で生まれたIH」「セカンドボールの回収に備えて中に絞るWB」の存在が大きかった様に見受けられました。
※ セカンドボールの回収に備えて中に絞るWB:3分2秒~/5分29秒~

 攻撃では①「オセフン選手へのロングボールとエリキ選手のセカンドボール回収」・②「IHに入った白崎選手の2列目からの飛び出し」・③「内側にポジションを取るWB林選手と外を使うIH相馬選手」(左サイド)・④「FC東京のSB・WGの間に位置取るWB望月選手の仕掛け」(右サイド)の4本を上手く組み合わせながらゴールに迫っており、実際に1点目は①と②の組み合わせ、2点目は②と③の組み合わせから生まれていました。
※ 1点目:57秒~
※  2点目:5分29秒~

 ④は得点にこそ結びつかなかったものの、何度もゴールには迫ってはおり、確実に相手の脅威となっていました。
 中でも前半10分頃のカットインからのシュートは(僕の勉強不足かもしれませんが)これまでの望月選手には見られなかったプレーであり、確かな成長と大器の片鱗を感じさせてくれる素晴らしいシーンだったと思います。
※ カットインシュート:40秒~

 対してFC東京は、詳細は後記しますが、恐らく想定とは異なる「3-1-4-2」で臨んで来たゼルビアに対して、攻守両面において最後まで適応することが出来ず、少し厳しい言い方になってしまうかもしれませんが、負けるべくして負けた一戦といった印象を受けました。

 ゼルビアが良かったことは誰が見ても明らかであり、上記した攻守のポイントとハイライト動画を見比べて下されば基本的には事足りるかと思いますので、今回のレポートでは「FC東京の前線からのプレス」(問題点・改善案)「ゼルビアの5-3-2ブロックの崩し方」をメインに分析・解説していきたいと思います。

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Ⅱ.「フォーメーションの確認」

 ここまで繰り返しお伝えして来た様に「4-4-2」から「3-1-4-2」に変更して来たゼルビア。守備時にはWBが最終ラインに入り「5-3-2」ブロックを形成。
 FC東京はいつも通り「4-2-3-1」を採用。守備時にはトップ下の荒木選手が前に出て「4-4-2」に可変。試合終盤はベースを「4-4-2」に変更。

 ちなみに今回のゼルビアのシステム変更・FC東京のゼルビア対策に関しては34節「レイソルvsゼルビア」の一戦からの連鎖で生まれたものであると考えられます。
 
 34節のレイソルは攻撃時「3-1-4-2」に可変し、両WBの幅を使った攻撃でゼルビアを苦しめていました。そして守備時には「4-4-2」のミラーゲームによる前線からの同数プレスで嵌め込んでおり、結果としては後半アディショナルタイムのPKでゼルビアが追いついたものの、内容的にはレイソルが勝っていた印象を受けた一戦でした。
 次に35節のサガンは中断期間中にゼルビア対策を徹底していた様に見受けられ、攻撃面でのブラッシュアップ(IHがゼルビアのSH・SB・ボランチの中間を取る形)は見られたものの、基本的にはレイソルと同じ攻撃時「3-1-4-2」守備時「4-4-2」の構造で13試合ぶりの勝利を掴むことに成功していました。

 この2戦を受けてFC東京としては、守備時「4-4-2」に可変しての同数プレスで、レイソル・サガンと同じ様に前から嵌めることを目論んでいたのだと思います。
 しかし、恐らく、ゼルビアは自分達の過去2戦を分析し「3-1-4-2の利点」「同数プレス対策」「サイド攻撃対策」「セカンドボールを回収しやすい配置」「中盤が攻撃参加しやすい配置」などを考えた上で、また、FC東京が前節「3-1-4-2」を長年ベースとしているベルマーレに完敗した試合を観て「3-1-4-2」への変更に踏み切ったと思われ、それが結果としてFC東京の裏を掻く形になり、その変更が功を奏したゼルビアが勝利を飾った一戦と見ることが出来るかと思います。

 34節「レイソルvsゼルビア」・35節「サガンvsゼルビア」は分析サポートを作成しております。
 前者では「ゼルビア苦戦の要因」を詳しく、後者ではゼルビアがサガンに対して実行した、今節とは異なる「同数プレス対策」などを分析・解説しておりますので、興味のある方は本記事と併せて、お読み頂くことをお勧め致します。

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Ⅲ.「FC東京の前線からのプレス」(問題点・改善案)

レイソル・サガンの同数プレス(ミラーゲーム構造)

 FC東京の「4-4-2」に対してゼルビアが「4-4-2」でビルドアップを行ってくれば、ミラーゲーム構造であるため、前線からの同数プレスで簡単に嵌めることが出来ました(図Ⅰ参照)。
 簡略化してしまうと、レイソル・サガンが行っていたプレスはこの様な形となります。

図Ⅰ.「4-4-2」のミラーゲーム

「3-1-4-2」に対する「4-4-2」でのプレスの嵌め方

 しかし、何度もお伝えして来た通り、今節のゼルビアは「3-1-4-2」にシステム変更して来たため、噛み合わせ上、3バックに対して2トップでプレスを掛けても、簡単には嵌めることが出来ません。但し、もちろん「4-4-2」のままでも嵌める方法はあります。それは図Ⅱの形となります。

① 2トップの一角が相手CBにプレスを掛けてサイドへ誘導
② 2トップの一角が相手サイドCBにプレスを掛けてサイドへ誘導
③ SHが相手WBにプレス
③と並行して①でプレスを掛けたCFが相手アンカーをケア

 この流れで③でボールを奪うことが理想の形となりますが、例えそこで奪えなくても、次の縦パスで嵌めることも出来ますし、相手がCBにボールを戻せば、同じことを繰り返すだけとなります。

 ただ、1点気をつけなければならないのは④の相手アンカーへのケアとなります。「4-4-2」(中盤BOX型)は中盤4枚の中央のスペースを使われると苦しくなる傾向にあるのですが、今回は噛み合わせ上、そのスペースに初期配置で相手のアンカーがいるため、ここのケアは必須となります。
 ちなみに実際にあったシーンなのですが、FC東京のボランチの選手が下田選手のところまで出てしまうと、ロングボールを蹴られた後のセカンドボール回収において不利になるため、やはりアンカーへのケアは①でプレスを掛けたCFに任せることを推奨します。
※ FC東京のボランチが前に出てしまったシーン:3分2秒~

図Ⅱ.「3-1-4-2」に対する「4-4-2」でのプレスの嵌め方

 実際にFC東京の選手も途中から似た様な形でプレスを掛けていたシーンもあったのですが、4バックを想定して準備をして来たからか、十分な連動性や思い切りの良さがなく、更にはアンカーへのケアを怠っていたため、WBからアンカーの下田選手へとパスが通ってしまい、下田選手がダイレクトで裏に蹴り込み、プレスをひっくり返すというシーン(図Ⅱ青色の矢印参照)が何度か見受けられました。

「3-1-4-2」に対するプレスでの嵌め方②

 FC東京としては上記の形の徹底の他に、もう1パターン「3-1-4-2」を嵌めるプレスの方法があります。それは「4-2-3-1」のままプレスを掛ける形です。

 図Ⅲの様に「1トップ+両WG」が3トップの様な形で相手の3バックにプレスを掛けることで、同数プレスを実現することが出来ます。また、3トップから後ろは基本的に初期配置のままで相手に対してマンツーマンでつくことが出来るため、前線での同数プレスでパスコースを限定することで、構造上、ボールが回収しやすい形となっています。
 但し、マンツーマンでつくということは、相手にズレを作られてしまうと苦しくなるため、楕円で囲まれた「SB対WB」の局面でボールを奪い切る(もしくは前を向かせない)ことが重要となります。ここの勝負で負けてしまうと、SBが前に出ている分、裏の大きい楕円のスペースを使われてしまうため、一気に窮地に追い込まれるというデメリットもあります。

 ちなみにゼルビアが側からの視点として、この状況でのビルドアップが非常に上手く、パターンも豊富なチームがミシャ監督率いるコンサドーレ札幌となります。

図Ⅲ.「3-1-4-2」に対する「4-2-3-1」でのプレスの嵌め方

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Ⅳ.「ゼルビアの5-3-2ブロックの崩し方」

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