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大名行列に学ぶ、“歩きたくなる”まちづくり

■ 要旨(3行)

・「歩ける街」と「歩きたくなる街」は違う
・欧州型の並木道は魅力的だが、普通の地方都市で再現、維持するのはかなり重い
・大名行列をヒントに、普通の地方でもできる”歩きたくなる”まちづくりを考えてみた


最近、木下斉さんの記事を読んでいて、

「これはかなり重要な視点だな」

と思ったので記事を書いてみた。


テーマは、

「歩きたくなる街」。

とりあえず、上にリンク貼ってるので、

気になる人は見てみてほしい。


バルセロナの街には、 巨大な街路樹があり、 木陰が連なっているらしい。

行ったことはないが、 なんか良さそうである。


歩道が整備されているだけではない。

“歩きたくなる”。

これは、 直感的にかなり大事だと思う。


ここで出てくるのが、

「樹冠被覆率(Tree Canopy Cover)」

という概念だ。


簡単に言うと、

「木の葉が、どれくらい街を覆っているか」

という指標である。

めちゃくちゃざっくり言うと、

「木陰がどんくらいあるか」の数字だ。

欧州ではかなり重視されているらしい。


これは、 本当に良い視点だと思う。


日本の地方都市って、

たしかに、 “歩けるっちゃ歩ける”。

段差も減ったし、 歩道もそこそこある。


でも、 真夏に歩きたいかと言われると、 正直かなり厳しい。


暑い。

日陰がない。

アスファルトの反射もきつい。


しかも今後、

・猛暑の常態化
・高齢化
・人口減少
・自治体財政の圧迫

まで考えると、

“歩ける”

だけでは、 かなり厳しくなってくる気がする。


“歩きたくなる”

とは、 かなり距離がある。


ただ、 ここで問題がある。

木下さんがいうところの、

木陰涼しいバルセロナの街並み的な、

“欧州型ウォーカビリティ”

を、 そのまま普通の地方都市に持ち込むと、

結構まずいことになると思う。


まず、 めちゃくちゃ金がかかる。

街路樹は、 植えて終わりではない。


・剪定
・落葉
・害虫
・根上がり
・倒木対策

など、 維持管理コストが、 ずっと発生する。


昔、 今はなき“大きなモーター系の車屋さん”が、

街路樹を勝手に取っ払っていたことがあった。


街路樹を枯らすのは、

チェーン店の一店長の独断でもできるが、

きれいに維持するのはその何倍も大変だ。

(木を枯らしてはいけません)


しかも、 木を増やすと、

当然、生態系も戻ってくる。


虫も増える。

鳥も増える。

フンも増える。

そして、クレームも増える。


ここらへん、

実際はかなり専門家の知見がいると思うが、

普通の地方自治体でそこまで対応できるか、

というと結構怪しい。


大阪万博のユスリカ問題を思い出してほしい。 

国が威信をかけて、

「自然と共生する空間」

を実験的に作った結果が、 あれである。


国ですら、 自然との共生で普通に苦戦する。

それを地方自治体が、

「よし、おいらたちはバルセロナを目指すぞ!」

みたいな理念先行でやると、 どうなるかは、
想像にお任せする。


現代の日本社会は、

・落葉
・虫
・鳥
・汚れ
・雑草

への心理的耐性が、 かなり低い。


つまり、

「やみくもに緑を増やせばOK」

ではない。


じゃあ、 どうしたらよいのか。


ここで、 ふと思った。

そもそも、 日本人って、 めちゃくちゃ歩いていた民族じゃないか?


飛脚。

参勤交代の大名行列。

お伊勢参り。


昔の日本人、 普通に長距離を歩きまくっている。

しかも、 今みたいにエアコンもない。


平均気温は今より低いにせよ、

歩いている距離を考えれば、 過去を参考にする価値はある気がする。


なぜ、過去は歩くまちづくりが成立していたのか。

ここからは仮説だ。


まず、 日本には“軒”があった。


縁側。

深い庇。

すだれ。


日本の街って、 本来、

「完全な屋外」

を歩かせる設計ではなかった。


陰をつくる。

風を通す。

湿度を逃がす。


“半分守られた空間”

を、 連続させていた。


つまり、 日本版ウォーカビリティって、

「欧州型の巨大並木道」

というより、

「小さな軒をつなぐ文化」

だったのではないか。


しかも、

大名行列の絵を見ると、 みんな何か被っている。

編笠だったり、 日除けだったり。

あれ、 よく見ると、 結構かっこいい。


つまり日本人は、

「都市側が全部快適化する」

のではなく、

「身体側も適応する」

文化だった。


これ、 実はかなり重要だと思う。


人口減少社会の地方で、

・大規模な木陰
・木陰の代替としての巨大アーケード

を維持するのは、 かなり厳しい。


だからむしろ、

・ミスト
・タープ
・半屋外ベンチ
・商店街の軒

みたいな、

“軽い快適性”

を増やした方が、 現実的なのではないか。


あと個人的には、

自治体とか商工団体が、

「ご当地日傘」

を作って、 配ったり貸し出したりすればいいと思っている。

いや、 割と本気で。


地場繊維。

染物。

伝統工芸。


そういうものと組み合わせて、

「歩きたくなる装備」

を、 地域で作る。

街路樹を維持するより、 たぶんずっと安い。


なんなら、 編笠でもいい。

草間彌生にデザインしてもらおう。

めちゃくちゃ先鋭的になる。

私はけっこう欲しい。


たぶん今の日本に必要なのって、

「ヨーロッパ風オープンテラス」

を、 無理して作ることではない。


“令和版の大名行列装備”

みたいなものを、 真面目に開発することだと思う。


・オシャレ日傘
・冷感羽織
・ミスト付き休憩所
・軒下ベンチ

みたいなものを、

地域資源とデザインを組み合わせて、 再定義する。


その上で、

「歩きたくなる理由」

を、 事業者側と連携して作る。


・夏の夜市
・夕方マルシェ
・スタンプラリー
・健康ウォーキング
・イベント時のホコ天

など。


地方都市って、 たぶん、

“欧州都市を再現するゲーム”

をやるべきではない。


むしろ、

“日本の暑熱適応文化を、令和仕様に再編集する”

方が、 かなり強い。


地方都市に必要なのは、

“欧州の並木道”

ではなく、

“令和の軒と大名行列”

なのかもしれない。

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