「こんなはずでは……」をなくしたい。地方移住で詰む人の共通点と回避方法
要旨(3行)
地方移住は、やり方を間違えると普通に詰む。
ただしこれは能力の問題ではない。構造の問題だ。構造を理解し、順番を外さなければ、難易度はかなり下がる。
地方移住は「構造」を知らないと詰む
私は都内の大学を卒業後、地元の県にUターンした。
ただし、生活の拠点は出身自治体ではなく、別の町に置いている。
そのため、移住者コミュニティにも入れてもらってるし、経済団体勤務という仕事柄、移住者の実態も日常的に見ている。
そこで分かったことがある。
地方移住は、構造を知らずに入ると普通に詰む。
しかも厄介なのは、詰んでいることに気づくのが遅いことだ。
本人は「うまくやれている」と思っていることすらある。
ただ、詰む人には共通点がある。
努力が足りないわけではない。
構造理解の不足と行動の順番を間違えているだけだ。
地方は「団体戦」のゲームである
前提として、地方は団体戦だ。
子育ても、仕事も、情報も、人に紐づいている。
個人の能力で突破するゲームではなく、「どのネットワークに乗るか」で難易度が決まる。
だから、地縁のない移住者は最初から不利だ。
頼れる親族はいない。紹介ルートもない。信用もない。
団体戦のマップに、ソロで降りている状態になる。
ここを理解しないまま動くと、だいたい同じところで詰む。
詰むパターン①:移住者コミュニティに留まり続ける
まず多いのが、移住者コミュニティに留まり続けるケースだ。
これは気持ちは分かる。
自分と似た属性の人がいるし、生活の基本も教えてもらえる。安心できる。
ただ、構造的にここに長くいると詰む。
あえて言うが、
移住者コミュニティは
「弱者コミュニティ」だからだ。
流れてくるのは二次情報で、意思決定層には繋がらない。信用の移転も起きない。
しかも停滞する。同じ話を何度も繰り返し、関係は深まらず、時間だけが過ぎていく。
安心はあるが、状況は変わらない。
だからこれは入口として使う場所であって、居続ける場所ではない。
詰むパターン②:生活設計がないまま動く
次に多いのが、生活設計がないまま動くケースだ。
地方に来る人は、仕事を変える。これは問題ではない。
問題は、その後の生活の回し方が設計されていないことだ。
地方は外注で穴を埋められない。
子どもの発熱、急な呼び出し、保育の隙間。
こういうイベントを誰がどう吸収するのかが決まっていないと、必ずどこかで崩れる。
地方で安定している人は、収入より先に、
家族が「回る構造」を作っている。
詰むパターン③:役割を増やしすぎる
そして、一番多いのが、役割を増やしすぎるパターンだ。
地方には役割が余っている。
そして、できる人に仕事が集まる。
若くて、動けて、スキルがある。
この条件が揃うと、一気に負荷が乗る。
頼まれるし、断りづらい。
気づけば役割が増え続ける。
でも、ここで起きているのは単なる忙しさではない。
役割だけ増えて、ポジションが上がらない。
つまり、「使われる側」に固定されている。
頼られることと、使われることは違う。
地方はポジションが空いているが、空いているのには理由がある。
価値が低いから空いている。
一方で、価値のあるポジションは空かない。
では何を見るか。
そのポジションにいると、強者と繋がれるか、だ。
地方の強者ははっきりしている。
県議や、地域の有力同族企業の経営層だ。
地方は競争ではない。ポジション取りのゲームだ。
詰むパターン④:制度のルートを知らない
制度についても同じ構造がある。
地方には補助金や支援制度が多いが、要件を満たしているのに使えないことがある。
このとき、市町に詰めても解決しないケースがある。
なんなら、市町の担当者自体は、かなり共感して味方になってくれていることも多いだろう。
理由は単純で、制度の事実上の決定権は、実は県にあることが多いからだ。市町は、極端に言えば、窓口でしかない。
だから、県で詰まっていれば動かない。
解決するには、県議経由で県の担当課に照会するしかない。
そして重要なのは、そのルートを持っている人と繋がることだ。
そういう人の人物像をあえて挙げるとすれば、
地域で自営業を長くやっていて、
県議のことを「〇〇ちゃん」と呼ぶ、
話好きの妙齢の女性。
こういう人が、実際にルートを握っている。
地方は制度で動くのではなく、ルートで動く。
実例:「成功しているように見える人」が詰んでいるケース
ここまでの話をまとめたような実例がある。
地域おこし協力隊として移住してきた知人だ。
協力隊終了後も定住し、移住者コミュニティの運営、地域コミュニティのリーダー、農地の維持と、いくつもの役割を担っている。
外から見ると、成功した移住者に見える。
人当たりもよく、能力も高く、地域でも人気がある。
ただ、仕事柄、この人の決算申告書を見る機会がある。
収支が合っていない。
コミュニティ運営も、地域活動も、農業も、労力に対して収益が見合っていない。
そこに子どもの教育費が乗る。
家計はかなり厳しい状態になっている。
そして、その影響は家庭にも出る。
夫婦仲は、目に見えて悪くなっている。
この人は能力が低いわけではない。むしろ逆だ。
だからこそ頼られ、役割を引き受け続けてしまう。
結果として、貢献しているのに報われないポジションに固定される。
そして今も「移住者」のままだ。
強者のポジションには入れていない。
これは努力の問題ではない。構造の問題だ。
ちなみに、この人の移住当初の目的は
「家族で仲良く、豊かに暮らす」
だった。
少なくとも、その方向には進んでいないように見える。
原因はシンプルだ。
善意の順番を間違えた。
特に子育て世帯は「順番」を間違えないで
地方でラクに暮らしたいなら、順番を守るしかない。
特に子育て世帯は、ここを外すと一気に崩れる。
地方は外注できない。だからまず家庭を回す。
次に、子育て世帯同士で緩く助け合う関係を作る。
地域に入るのは、その後でいい。
多くの人がこれを逆にやる。
だから消耗する。
そもそも、移住者は最弱プレイヤーだ。
その状態で「まずはギブ」とやると、先に消耗する。
地方のルールは「団体戦」だが、
移住者が最初に持っている「団体」は家族しかない。
だからまず、そこを固める。
ギブは余力でやるものだ。
最初に決めておくべきこと
そして、もう一つだけ。
移住する前に、
「なぜ移住するのか」
を家族で決めておいた方がいい。
理由は何でもいい。
本当のことは、他人には言えなくたっていい。
ただ、判断に迷ったときに立ち返る軸がないと、流される。
地方は正解がない。
だから、意思決定の基準がないと消耗する。
地方移住は、家族単位の意思決定の連続だ。
つまり、家族が機能しているかどうかがすべてになる。
結論:地方移住は“構造と順番のゲーム”
地方移住は、当たれば強いが、外すと普通に詰むゲームだ。
ただし、ルールはある。
構造と順番を理解すれば、難易度は確実に下げられる。
それだけの話だ。
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