闇 586(中山競馬場編)
闇 586(中山競馬場編)

2026/06/08 mon
※不味いスープでも化学調味料は入れない小説として俺は書いている。
※スキ二度押しユーザーは本当にウザいのでブロックする事にしました。
前回の章

二千二十二年十一月十日、木曜日友引。
耳障りな河本マンション大家の会話の大声で目を覚ます。
この時間帯、部屋の中にいると精神がおかしくなりそうだ。
俺は着替えを済ませると、外へ出掛ける事にした。
「おー、岩バミさん、おはよう」
「おはようございます……」
一応大家なので挨拶はする。
だが蚊の鳴くような声で。
入居して一ヶ月半。
生理的にこのメガネザルの大家夫婦は、どうも好きになれない。
当たり前か。
部屋で寛いでいても会話が常にうるさいし、あの手書き光熱費の請求書も何だか怪しい。
お菓子を黙って食べる神経もどうかしているし、異国文化の違いなのか?
しかしここは日本であり、新宿区だ。
「……」
まあもう引っ越してしまったのだから、今さら粗探しをしたところで何も生み出さない。
最低限あの台湾人大家とは揉めないよう平和に過ごさなくては。
牛肉とトマトホルダーの缶詰、ビーフシチューの元を買い、簡易的なシチューを作る。
ついでに青椒肉絲、肉団子など材料の余り物で適当なおかずを。
材料を無駄にしない工夫。
作り置きのフライ系を油で揚げると、今日も職場へ弁当を持って行く。
もしまた星野が何かからかってきたら、メガネでも割ってやるか。
人間の尊厳を軽視して嘲笑するような人間は万死に値する。
何様のつもりか知らないが、人を軽く見て笑いものにする場合、自身の命の危機感も同時に携えておいたほうがいい。
落ちるところまでは落ちた。
だが、俺自身の凶暴性と力が同時に失った訳ではないのだから。
どうせ店の人間は食べないだろうから、仕込みをしている最中のカミヤへまた余った弁当はあげればいいか。
さてと…、今週のエリザベス女王杯に向けて、とりあえず地方競馬で腕試ししとこう。
インカジ『レディ』が暇だったので、園田競馬から賭けてみた。
地方馬なんて一頭も知らないのばかりだ。
俺はレース状況と、今日作った弁当をフェイスブックへ投稿する。
園田競馬 第18回 第3日
7R C2一 C2 一 3歳以上
1400m 発走時刻 13:50
2-4-7

やらなきゃよかった。
【御献立】

・ビーフシチュー
・肉団子
・ポテトサラダ
・青椒肉絲
・唐揚げ
・クリームコロッケ
・カボチャフライ
・焼きうどん
仕事を終えると、またカミヤへ寄ってしまう。
「先輩、さっきはご馳走様です。今日も焼鳥売れ切れちゃったんですよ」
「いいですよ、いつものとお新香にガツ刺し下さい」

烏龍ハイにレモンサワーを飲んで仕事の疲れを癒す。

ガツ刺しに漬物を食べて会計千円ちょっと。
本当に安い店だ。

詩織との競馬デートまであと三日。
失った女運をこれで取り戻せればいいが。
二千二十二年十一月十一日、金曜日先負。
最近仕事を終えると、どこかしらで飲んでから帰る習慣が身に付いている。
ストレスが溜まっている証拠だろうか。
串カツ田中でチンチロリンを二杯分やったら、両方ゾロ目でタダになってしまった。
エリザベス女王杯の前に、こんな事で運を使ってしまっていいものだろうか。

いや、そうではない。
運気がいい流れ。
これは明日明後日の競馬いけそうだ。

時流の流れに沿って。
人生なるようにしかならない。
ならばこのまま運気に身を委ねてもいいだろう。
二千二十二年十一月十二日、土曜日仏滅。
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