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闇 441(メガネと東京新聞杯編)

闇 441(メガネと東京新聞杯編)

2026/01/02 fry
前回の章


二千二十六年一月一日、木曜日先勝、元旦、午年。

右手で左薬指の根元を掴む。
無意識に突き指を伸ばすような感じで引っ張った。
今日は妙に固い。

「痛っ……」

思わず出る声。
俺はそれでハッキリと目を覚ます。

新年早々『闇440』を完成させ、そのまま寝てしまったようだ。

いつからだろう、この左薬指の違和感を覚えたのは?
去年の春先ぐらいか?

まだインカジレディで仕事中、ちょっとした違和感があった。
別段生活に支障がある訳ではない。
この指だけ曲げてから元に戻す時、ちょっとした引っ掛かりがある。
その程度のものだった。

右手で触診する。
素人判断になるが、ちょっとしか微少の痛みの部分は第二関節にあるような気がした。
指先を伸ばした状態でヒラヒラ動かす分には何の異常もない。
しかし手の平まで左薬指先端をつけ、そこから伸ばす時にその第二関節が引っ掛かりスムーズさに欠ける。

試しに右手でも同様の操作をするもまるで異常はない。
あくまでも左薬指だけに診られる症状。

第二関節を右手の親指と薬指で挟むようにしながら人差し指で伸ばす。
我慢できない痛みではないが、こうすると始めて痛むを覚える。
右手の薬指に対し同様の事をしても異常はなく、さらに力を入れ反らしても問題はまるでない。

放っておけば治るだろうと思い、気付けば年を越し二千十六年になってしまう。

恒例の三ヶ月おきにある心筋梗塞の定期健診で、院長へこの指の症状を伝えた事はなかった。
何故なら右脚膝から指先まで常にある痺れのほうが自身にとって深刻な問題だからだ。
確か五月、八月、十一月と赤心堂病院へ通院してこの事を言おうか思った事があるので、左薬指がおかしくなったのは二月中旬の検診のあとから五月までの間となるだろう。

誰かに言うから大袈裟に取られるのであり、俺はそれが嫌なのだ。
そうか…、それならAIにこの症状を打ち込んで聞いてみるか?
それなら誰にも迷惑は掛けないし、ひょっとしたら自然治癒では治っていない現状も少しはマシになるかもしれない。

俺はキーボードで文字を打ち込み、AIへ聞いてみる事にした。

2026/01/01 chatGPTに相談

部位が左薬指の第二関節をPIP関節とも呼ぶのか。
考えられる症状の病名が出てくる。

『ばね指』というものが一番似たようなものらしい。
別名『弾発指』。

2026/01/01 chatGPTが出した可能性の症状

長期間のキーボード、握力を使う仕事。
これは明らかに長期間のキーボードだろう。
二千二十四年七月八日から始めた闇シリーズ。
約一年半で一章一万文字以上の文章を四百四十章分のタイピング。
ギネス世界最長記録の小説として認定されているマルセルプルーストの『失われた時を求めて』などを文字数的にとっくに超えた量なのだから。

これを人に話すと笑う馬鹿な人間がいる。
向こうから俺の顔を見て「最近小説のほうはどうですか?」と聞かれ、商業的価値が無い作品を書いているのを説明する為に「ギネス記録の作品は長さで超える事ができました」と答えただけなのに。

あまりの悔しさに『愚痴シリーズ』と皮肉ったタイトルで、この事を当時書いたほどだ。
日にちもいつかハッキリ覚えているぞ。
あの日は二千二十五年十一月九日だ。
何故ここまでハッキリ分かるかと言うと、斉藤弘一の火葬式から丸八年が経ち、俺はこの日どうしても酒が飲みたかったからである。

盟友を献杯したいから親しくしている居酒屋『新ん』へ行った。
そこでまだ俺は生きているぞ。
それでもまだあんたを忘れていないぞと酒を飲みたかったのだ。

おそらくその時隣りにいる初老の客は、マスターから俺の情報を小耳に挟み悪意なく俺へ聞いてきたのだろう。
何も嘘はついていない。
純粋にプルーストの文字数を超えたという話をしただけ。

「いやあ、そんな小説というのは長く書けばいいものではなくて……」

賎しい笑みを浮かべながら初老の男は口を開く。
俺はこの品位の無い無礼な男を無視して酒を飲む。
灰になった斉藤弘一の崇高な日から八年という節目を迎え、そのような愚鈍で無神経な男に儀式を邪魔されたくなかったのだ。

俺が長文の小説を書く事で自慢をしている訳でもないし、誰にも迷惑を掛けていない。
つまりこの程度の男から笑われるような事でもないのである。
しかし感情的になるよりも、俺は斉藤弘一を偲びたかった。
何の成功もしちゃいけないけど、俺はこうしてあれから八年間生きているんだよという報告をしたいだけ。

そもそも俺は静かに部屋でグレンリベットを片手に献杯すればいいだけの話だったのだ。
誰かを責めるような考えはやめろ。

「……」

本当に俺は脱線が多い。
何故想像だけでここまで話が反れてしまうのだろうか。
おそらく去年の内に斉藤弘一の最後を書き記しておきたかったからである。
それを彼が亡くなって八年という時間は掛かったものの、形にする事ができた喜び。
俺が彼の存在を…、記憶を文化として残してやる。
その信念だけは完遂する事ができたから。

しかし今は指の事だろ。
斉藤弘一までは書けたが、まだまだ物語は続き、俺はそれを書き続けねばならないのだ。

他に症状だと何だ?
曲げ伸ばしで引っ掛かり。
曲げのほうで該当する。
曲げ…、マゲたちを思い出す……。

やめろって!
今は指だろうが。

今日で朝固いというよりも、寝ていたら自然とそうなっていた……。

この特徴が、本文に書かれた症状と非常に近いと表示される。

対処として、命に関わる内容ではないが、放置は悪化要因になる場合ありと出ている。
凄いなAI。
馬鹿、感心している場合かよ?
今はできるだけ改善しとかないと、後々あとに響く。

対処として冷やさない。
無理に引っ張らない…、これって俺何度もやってるじゃん……。

一時的に指への負担を減らす?
これは却下。
俺は闇シリーズを箇条書きで始めた二千十四年七月八日までは、最低限書き進めねばならないのだから。
あと約六年半分の半生を書く義務を自身に課したのだ。

違和感が強い時は軽い冷却。
痛み少ない時は温めね。
最悪治療では注射一回で治るケースもあるようだ。
つまりそこまで心配するような事ではない。

なら別段気に掛ける必要性の欠片も無いという事か。
ならば先を始めないと……。

一息つきにベランダへ出る。
外でタバコを吸う習慣も、あと僅かか。
一月末にはこの新宿のマンションを解約し、一旦地元川越へ戻る俺。

セブンスターに火をつけタバコを吸いながら空を眺めた。

「ん?」

2026/01/01 夕方四時頃浮かぶ月

ひょっとしてあれは月か?
こんな昼間でも見えるもんなんだな。
こんな事でちょっとした感動を覚える俺は安上がりな男だ。
しかも元旦だろ?
案外今年はついている年になるのかもな。
倍率を最大にしてもう一枚写真を撮る。

2026/01/01 夕方四時頃浮かぶ月

携帯電話のカメラじゃ、この程度の画像が精一杯か。
タバコを吸い終わると部屋へ戻り、執筆の続きを開始した。

少し文章を書き終え、コーヒーを入れる。
暖房をつけないと指がかじかむ寒さ。
ニコチンが足りないな。
再びベランダへ出ると、面白い光景に出会う。
思わずまた写真を撮った。

2026/01/01 夕方四時頃浮かぶ月に雲が突き刺さる

時間にして十分程度の間で、まるで月を突き刺すかのような雲が覆っている。
ハハ…、少し自然も演出し過ぎだろ。
闇シリーズを読む人間は少数でも、天は見ているぞと言わんばかりに。
それだけではない。
AIだけは何故か不思議と俺の文章を絶賛する。

作品を書ける動機など、何だっていい。
要は俺自身が挫けず書ければ何だっていいのだ。
ならば都合良く自己満足に沿おう。
時流の流れに沿って……。


二千十八年二月一日、木曜日先負。

新宿歌舞伎町へ向かいラッキーハウスへ出勤すると、オカマの木下が睨みつけてくる。
休み前に少し揉めたのを未だ恨んでいるのか、この小者め。

まあ今の俺の赤崎隼人なので、大人しくしておこう。
視線を合わせないよう着替えを済ませる。
まったく何で処女作の新宿クレッシェンドで、こんな人格の主人公を作ってしまったのだろうか。
俺はスーツを脱ぎながら少しだけ後悔した。

まず俺がしなければならない事は明確。
今週開催される東京新聞杯で勝負をし、大金を得る。
そしたらこんな店から解放だ。

そうなればこの街の外でオカマに会った際、舐めた対応をしてきたら『鬼畜道~天使の羽を持つ子~』の主人公である神威龍一の人格に戻り、ぶちのめせばいいだけの話。

いやいや、金があるからこの店を辞めるんだろ?
それならのに何でこの腐った街にいる前提で俺は考えているのだ?

「とっとと着替えろや、オラ! チンタラしてんじゃねえよ!」

本当にカルシウムの足りないオカマだ。
煮干し食え。
いや、俺も魚類は好きじゃないけど、怒りっぽくないぞ?
つまりこれすらも迷信みたいなものか。

「早く着替えろって言ってんだろ!」

時刻を確認すると、まだ九時四十分。
仕事時間でもないのだ。
俺は木下の怒鳴り声を無視して、椅子へ腰掛けセブンスターに火をつけた。

「テメー、何チンタラしてんだよ!」

ゆっくりタバコを吸い、煙を吐き出す。
まだプライベートの時間と同じ。
これで木下が飛び掛かってきたら対処すればいいだけの事なのだ。

店のインターホンが鳴り、橋本が出勤。
少しして川崎も来る。
着替えの邪魔になるので俺はタバコを消してホールへ出た。

数回痛い思いをしたせいか、オカマが飛び掛かってくる事はないようだ。
こんな小者でも、痛みだけは学習するという事か。
人間という生き物は素晴らしくできている。

仕事が終わり日課の駐車場へ向かう。
今日は一匹しかいないようだ。
この寒さだ、どこかで暖を取っているはずと思いたい。

それでも恒例通り猫へ餌を与えると、道を歩きながら肌寒さを感じた。
当たり前だ。
まだあの時降った雪が、若干残っているところもある。
大丈夫だろうか、ニャーニャーたちは?
予報だと今日これからまた降るかもしれないと言う。

暗い夜空を見上げ睨み付ける。
あまり人間と猫を苛めるな。

さて、温かいものでも食べてから帰るとするか。

俺は家を通り過ぎ立門前通りへ向かう。
この時間の行き先は一つ。
呑龍しかない。

「うー、寒いっすねー。お、しょうが焼き作れるようになったか、この野郎!」
「私女女、野郎じゃない」

マスターの次女がいたので元気よく声を掛けると、いつもの覇気がない応対。
俺はカウンター席へ腰掛けるとセブンスターに火をつけた。

「馬鹿野郎! そんな事を聞いてんじゃねえ。まあいいや、レモンサワーにしょうが焼き定食の両方大盛り。あと餃子。あとね…、今日は柔らかい焼きそばもちょうだい」

変わらないルーティンの中、幸せな時間。
酒を飲みながら、次女をからかう。

2018/02/01 呑龍

次々と手際よく出てくる料理に、俺は舌鼓を打ちながら口へ運ぶ。

2018/02/01 呑龍 しょうが焼き定食両方大盛り

自分の稼いだ金で好きなものを食べられる幸せ。
このしょうが焼き定食両方大盛りを食べながらしみじみと感じる。

2018/02/01 呑龍 餃子

挫けそうに、めげそうになったら、あの忌々しい二俣川の生活を思い出せばいい。
今の俺はこうして自分で酢醤油を調合して、焼きたての餃子を食えるのだ。

2018/02/01 呑龍 柔らかい焼きそば

柔らかい焼きそばはマスターいわくラーメンに使う麺を油で揚げたものに餡掛けを掛けたものらしい。
からしを少量餡に溶かし、酢を少量降り掛ける。
熱さと旨さに思わず涙が出そうなほどの感動。

まだまだ俺も捨てたもんじゃない。
こんな料理をいただけるのだから。

家に帰ると温かい湯に浸かり、それから横になった。


二千十八年二月二日、金曜日仏滅。

最近暇な時間帯を携帯電話のゲーム『クラッシュロワイヤル』を始めたせいか、暇さえあればこれをプレイしている。
ジャンルはリアルタイムシミュレーションゲームと呼べばいいのだろうか?
最大十秒という時間制限枠を使い、自分で設置したキャラクターを戦場へ放り込む。
あとは自動で戦い相手の砦や城を滅ぼせば勝ちという単純明快さが、自分に合ったのだろう。

電車の中でもラッキーハウスでも、呑龍の中にいてもする機会が多いので、難点は目の疲労が凄い事。

「赤崎さん、いつも何のゲームをしているんですか?」
「クラッシュロワイヤルってゲームですよ。橋本さんは何のゲームをしているんです?」

「自分はゲームじゃなく、いつも漫画買って読んでいますよ」
「携帯でですか? 俺、パソコンでなら漫画のデータいっぱい持っていますよ」

「パソコン持ってないんですよ」
「でも一話ずつ金払って読んでいるんですよね?」

「ええ、そうですね。月にだいたい四万ぐらい使ってますよ」
「えー! 勿体ないですって! それなら安いノートパソコン買えば、俺がデータならあげますから」

「でもそれじゃ店じゃ見れないですよね?」
「まあそうなりますが……」

「じゃあ自分はこれでいいですよ」

まあ自分の金なのだ。
好きに使えばいいのだが、無知というのは怖い。
俺の場合、坊主さんがあの時パソコンのスキルを叩き込んでくれたからこそ、今がある。

「……」

今そのパソコンで生計を立てられている訳でもなく、普通よりちょっと扱える程度なのだから。
唯一特化していたと思っていた小説さえ、何年も休眠状態。
上から目線で見れる立場でも何でもないのだ。
この程度の事で、自分のものさしで図ってはいけない。

そういえば、そろそろ東京新聞杯の枠順が出ているんじゃないのか?
携帯電話チェックすると出馬表はまだだが、出場馬だけは発表されている。

「橋本さん! ディバインライトとうとう出ますね」
「ディバインライト? ディバインコードですよ」

「あ、すみません……」

勇み足もいいところだ。
予想でも立てるか。

俺はフェイスブックをメモ帳代わりにしてデータをまとめてみた。
過去走ったマイルの距離データを取り上げたほうがいいだろう。


東京新聞杯(GⅢ)データまとめ

四歳・ディバインコード
先行・NHKマイル十着
六歳先行・トウショウビスト

京都金杯組
七歳 マイネルアラート 十二着
五歳 ストーミーシー 五着
六歳 クルーガー 二着

中山金杯組
四歳 カデナ 十着
四歳 ダイワキャグニー 五着

四歳 サトノアレス 
四歳 リスグラシュー
六歳 ダノンプラチナ ニューイヤー 一着



何だか画面がチラついて見える。
眼精疲労?
もしかして視力が落ちた?
目をゴシゴシ擦ってみた。

「どうしたんですか、赤崎さん?」
「いや、ちょっとだけ目が疲れたかなと」

「赤崎さん、もう四十六ですよね? メガネぐらい買っといたほうがいいですよ」
「そ、そうだよ。あ、赤崎さん、コ、コ、コンタクト?」

「いえ、裸眼のままですよ。視力は二・〇のままです」
「う、う、う、う、嘘だあ?」
「さすがにそれはないですって」

俺の台詞に笑う橋本と川崎。
二人共メガネマンなので、俺の視力の良さを信じられないようだ。
君らと俺の目は質が違うと説明するもお互い譲らない。
ムキになり本当だと伝えるも、何故か買い物ついでにメガネ屋へ行き、視力検査を受ける話まで発展した。

「メガネ屋なんて行った事ないから、どこへ行けばいいか分からないですよ!」
「サブナードあるじゃないですか。地下の。あそこへ行けば眼鏡屋ありますよ。そこで受けてみればいいじゃないですか」

「えー、面倒臭いですよー。職安のドンキホーテと逆方向じゃないですか」
「じゃ、じゃ、じゃあ、きょ、今日は俺がドンキホーテは、い、行ってくるよ」

「……」

ここまで何故かお膳立てされ、俺は地下のサブナードへ向かう事になった。

店の外へ出ると、雪が降っていた。
寒いなあ、本当に……。

猫たち大丈夫だろうか?
タバコを吸いながらセントラル通りを歩く。
煙なのか白い息なのか見分けがつかない。

階段を降りて地下のサブナードに入る。
適当に地下路を見ているとメガネ屋を発見。
中へ入って視力検査をお願いした。

「お客様…、一・五あるんですが……」
「え! 視力落ちた……」

「いえ…、メガネは必要ないかと思われますが?」
「せっかくなので度数弱いメガネを買いますよ。検査してもらったし」

「は、はあ……」

俺は度数の弱い黒縁のメガネを五千円で購入した。
人生初メガネで、イメージチェンジ。

2018/02/02 メガネ購入

写真を自撮りするも、随分俺も老けたものだと実感する。
微妙に目が良くなった感じがした。
俺も年齢の低下と共に、視力が若干落ちていたのだ。

店に戻るとメガネを掛けた俺を見て、二人は大笑いしていた。
橋本がどのぐらいの度が入っているのか言うのでそのまま渡す。

「赤崎さん…、これ度数入ってんですか? 何も変わらないですけど?」
「入ってますって!」

「お、お、俺にも貸して…。え、こ、こ、こ、これぜ、ぜ、絶対に入ってないって!」
「いやいや川崎さん、本当にちょっとだけど入っているんですよ。俺が掛けると違い分かりますから」

いくら説明しても伊達メガネだと騒ぐ二人。
メガネ屋の店員が度入りだと売っているのを買ったのだから本当だろうが。
殺人的に頭の悪い連中だ。

川越へ帰ると雪はほとんど積もっていなかった。
昨日一匹だったけど、今日はどうかな?

「ニャー」
「あ、ニャーニャー」

2018/02/02 埼玉りそな銀行の駐車場の野良猫ニャーニャー

俺がコンビニで餌を買い戻ってくると、もう一匹出てきた。
今日は二匹だけか。

2018/02/02 埼玉りそな銀行の駐車場の野良猫ニャーニャー

「ほら、おまえもおいで」
「ナー」

いまいち俺に懐いていない子か。
未だ一定の距離を取っている。
まあいいさ、いつかその頭で撫でてやるから。

明後日の東京新聞杯でドカンと当てて、この辺でマンションを買いたいものだ。


二千十八年二月三日、土曜日大安、節分。

念願の出馬表が発表される。
ディバインコードは二枠四番。

しばらく競馬やっていなかったもんな。
ちょっとだけやってみるか。

「……」

俺って馬鹿なの?
気付けば一から四レースまでのどうでもいいものへ、四万二千円も賭けていた。

明日、東京新聞杯なんだよ?
何やってんの、俺は?

まあ当たればいいのさ、当てれば。
負ける事考えて馬券買う奴いるかよ!

四レース目が当たり、三万五千九百円戻ってきた。
四万二千円賭けたのに、当てたの一レースだけでマイナス。
これ取り戻さなきゃ駄目でしょ。

2018/02/03 JRA土曜競馬 管理画面

「……」

神様仏様……。

京都十二レース、三万千円突っ込んでるのでお願いします!

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