闇 563(12歳の続きを50歳で編)
闇 563(12歳の続きを50歳で編)

2026/05/16 sat
※これは世界で一番泣きたい小説グランプリを処女作で取った作家が13年ぶりに書いた作品は世界で一番駄作と自覚しながら書き出している小説です。
前回の章

二千二十二年七月九日、土曜日仏滅。
安倍元総理殺害から翌日。
それでも俺の生活は変わりなく、夜になればインカジ『レディ』へ出勤するだけ。
おじいちゃんが生きていたら、あの事件は何て思うのだろうな。
いや、亡くなっているのだから、こんな事知らないほうがいい。
皮肉な事に、暗殺した犯人の山上徹也は、弟の徹也と同じ名前。
極めて重いニュースを日本全国…、いや、世界へ恥を晒した。
何故なら人間が絶対にしてはならない禁忌とは、殺人と自殺なのだから。
他人の命を奪う。
自分の命を絶つ。
これらの行為は、人生における最大の禁忌である。
亡くなってしまえば、すべてはそこで終わるだけ。
残った人間だけが、その事に意味を考えられるのだ。
俺のような裏稼業で働く何も無い人間にとっても、あの事件は衝撃的だった。
まさか令和になったこの世で、あんな事が起きるのかと誰もが目を疑ったであろう。
しかし俺にはそう思うだけで、何一つ何かをできる力も地位も金も無い。
せいぜい今日の昼飯をどうしようかと思案しながら歩くのが関の山。
気付けば大久保通りをひたすら進んでいた。
ランチで大久保駅北口の先にあるとんかつの『にいむら』へ行く。

食事中でったんから電話が掛かってくる。
明日の十日にはこちらへ着くらしい。
十一日の月曜は休みを押さえたものの、さすがに明日となると難しい。
店に行かないと何とも答えようがなかった。
小学校卒業で九州へ転校してしまったでったん。
勝手に三十二年ぶりと思っていたが、今五十歳で考えたら十八歳になってしまう。
それは高校を卒業した年齢だ。
そこから六年引いた十二歳。
これがでったんと別れた年齢。
つまり三十八年ぶりの再会となる訳だ。
本来なら中央小から富士見中と、同じ学校へ行くはずだった仲。
空白の三十八年、お互い別々に生きて再び交わる時、どんな感情が生まれるのだろうか?
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
