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闇 401(マグりマグるマグれば編)

闇 401(マグりマグるマグれば編)

2025/11/27 thu
前回の章


二千十七年三月二十七日、月曜日先勝。

結果からまず話したい。
終電に間に合うよう叙々苑游玄亭のあと急いで帰ろうとしていた俺に声を掛けてきた奴がいた。

インターネットカジノ新宿クレッシェンドの名義を任せたのに、何のクソの役にも立たなかった伊達だった。
二千十四年末までの出来事だから、もうあれから二年以上経つ。

しかし俺はあれで持っていた大半の金を失い、ヤクザの管理するゲーム屋で働くといった図式になってしまったのである。
確かに選んだのは俺だ。
そこは間違いない。

だけど伊達がもうちょっと現場をしっかり管理し仕事してくれていたら、俺が番頭業務に対し、余裕持った対応でできたはず。
だが、そうなるとしても一原の阿呆がいるので結局変わらなかったのか?

俺がこんな回想をしてるのに笑顔でお構いなしに話し掛けてくる伊達。
それで時間を取られ、気付けば終電は無くなり日にちも翌日になっていた。

「良かったら飲みに行きましょうよ」
「いや、今そんな手持ちないんですよ」

「前に散々ご馳走になったんで俺が出しますから」

丁重に断ったものの、空気を読まない伊達はズカズカと土足で踏み込んでくる。
電車もないので仕方なく飲みに行く事になった。

居酒屋で酒を飲みながら話していて気付いた事がある。

「一、いいすか? 二、いいすか?」とタカって来なくなり、チャラな関係でさえあれば、伊達自体は飲み相手としては話が合うので問題がないという事。
そして今のラッキーハウスのメンバーで、仕事終わってから一杯飲みに行きますかとなるような従業員が一人もいない事。
今の仕事を長続きさせなければならないというものを第一優先させている俺は、いつの間にかストレスが溜まっていた事。
その裏業界の話を分かってくれる人間はそうそういないという現実。

人という生き物は結局のところ弱い生き物である。
苦い水よりは甘い水のほうが誰だっていい。

気付けば複雑な思いを抱えつつも、俺は伊達と以前のように笑顔で談笑していた。

口から出るのはラッキーハウスの愚痴のオンパレード。
金を抜く。
人を騙す。
人を出し抜く。
遅刻連発。
そういった悪党従業員はいないが、いまいち馬が合わない連中ばかり。

店長香川の澄ました感じの無神経さ。
責任者橋本の暗くジメジメした陰気な不潔さ。
木下のオカマっぷり。
川崎はまだいい。
木幡の馬鹿さ加減。
たまにしか来ない吉岡はいまいちよく分からない。
そして酒井さんの先輩という立場を利用しながら客のふりをして毎日のように店へ来る金太郎。

そういった店の内輪の内容を喋りながら、相槌を打つ伊達。
彼も井村系列のインカジで働きながら、自分の店の愚痴をこぼす。

いわば俺たちのしている行為は、四十歳を過ぎた独身男二人が傷の舐め合いをしているだけなのだ。

しかも酒を飲み会話が進むと、どうしても俺には二度目の横浜で味わった津波のように押し寄せた地獄連続コンボがある。
それを理解するには裏稼業の仕組みや業種の理解があって初めてできる事。

普通に生きている人へこんな話をしても「ふーん、大変だったんですね」で終わってしまうだけ。
この辺だけは何かしら共通する経験を持っていないと分からないだろう。

つまりあれだけ嫌い避けていた伊達に対し、俺はまた心を開きつつある。
情けないと思いつつも、これまでまるで満たされなかった自分を誰かに分かってほしかったのだ。

夜中の三時過ぎまで俺たちはどうしょうもない愚痴を語り合う。
お互い朝から仕事があるのでそこでお開き。
会計は伊達がすべて出してくれた。

一人になった俺は歌舞伎町をフラフラ彷徨いながら、寝る場所を探す。
花道通りを横切りバッティングセンターへ向かって歩く。
区役所通り沿いではなく街中にあるほうのオスロ。
その斜め向かいに昔からあるAK会館。
ここは基本雑魚寝であるが、別途に金を払えばパテーションで簡易に区切った個室があるのを知っていた。

俺は四千百円の金を払い、風呂も入らずベッドへ倒れ込む。
ここからなら店まですぐなので充分に寝られる。

横になり缶コーヒーを飲みながら、携帯電話でどうでもいいネットの記事を読んだ。

ラッキーハウスは変わった店で有線を設置していない。
つまりゲーム屋のくせに音楽が流れていないのだ。
代わりにそこそこ大きなモニターがホール全体から見えるように設置されており、早番だと橋本が好きな番組をつけているだけ。

そんな環境なのでドラマとんぼ以来、テレビを見ない俺でも必然的に映像が飛び込んでくる。
その中で関心を持ったのが、森本学園問題だった。

あれって実際なんなのだろうな?
安倍首相が悪いのか?

政治に関心のない俺はまるで分からない。
ただ民主党の辻本という変なおばさんがよくグダグダ話している姿は、何だか醜いなあと感じた。

そうか、今俺が自分で調べてみればいいんじゃん。
様々な記事を読みながら漠然とだけ理解してくる。

まあおじいちゃんが生前安倍さんを応援していたもんなあ……。

よし、俺が分かる範囲でフェイスブックへ森友問題を投稿してみるか。


森友学園問題

よく分からないので、色々調べてみました。
こんな感じの流れなんでしょうか?
誰が詳しい方いたら、教えて下さい。

部落の産廃埋まってる国有地のクズ地がありました。
籠池氏がそこに学校を建てようと考えました。
学校が建てばクズ地が文京地区となり周囲のクズ地の地価が上がります。
周囲の土地を持ってる部落の人たちは大喜びです。
籠池氏は安倍総理とも仲良しで話はトントン拍子に決まりました。
春にはいよいよ開校です。

ところが辻元氏が安倍内閣潰しの指令をどこからか受けました。
予定地は本当はクズ地だったのを高級不動産だったと偽り、安倍総理が取引に口利きしたと騒ぎました。
騒ぎを大きくするために工作員を工事現場に送り込み、メディアで報道させて更に炎上。
ところが裏で糸引いてたことがメールでバレてしまい辻元氏自身に火がつきました。
土地売却も取り消し、土地もクズ地であることがバレて不動産価値急落して、部落超激おこで終了。

松井大阪府知事
「メディアの皆さんもね、民進党の要請を受けて忖度してるじゃないですか。なんで辻元清美さんという名前はいっさい出さないのかね。他の人は名前出すのに。」
「総理も全く辞職にあたいする話じゃない。このことで総理大臣が代わることが、日本の国のためになるのかね、そういう風に思います。ただ、総理はやっぱり忖度ないという強弁はもうやめて、丁寧に説明するべきだと思います」
これらの発言を放送しないマスコミ



よく分からないが、多分これで安倍さんの援護射撃にちょっとはなったのかな?
政治問題は本当難しくてよく理解できないなあ。

俺は睡魔に襲われそのまま気を失うように寝た。


二千十七年三月二十九日、水曜日仏滅。

日曜の休みがほとんど歓迎会で潰れたようなものだったので、休みを取る事にした。
従業員同士の休みさえ被らなければ、この辺は自由なので助かる。

裏稼業は出た分しか給料は発生しないが、ここまで週に一度とキッチリシフトをこなしてきたので、この休みに文句を言う人間は誰もいなかった。
遅番にいる川崎は、スロットの勝ち負け状況により、休む時は分かりやすいほど取ろうとするから信用がない。

予定も何もなくダラダラ過ごし、ゆっくり身体を休める為の日。
以前のようにまたブロック注射を打つようになったんじゃ、元も子もない。

あれ以来身体の異変はないからいいが、俺もそう無理をしてはいけない年齢に差し掛かっているのだ。

そういえば斉藤弘一の体調はどうなのだろうか?
いくら早期発見だったとはいえ、癌だから気は抜けないはず。
まだこっちへ帰って来てから一度しか会っていない。
近い内彼に連絡をしてみるか。

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