6.邪教の誕生③
邪教の誕生の三回目です。
一回目では、邪教の創始者とされるニムロデとその妻セミラミスは実在の人物なのか、という話でした。
一部のキリスト教徒は、ニムロデとセミラミスが悪魔崇拝、サタン崇拝を発明したと信じています。また、夫婦はバビロンを建設し、はじめて都市を城壁で囲った(要塞化した)、とされています。
二回目では、セミラミスは「要塞の女神」の原型なのか、という話をしました。
正義の鉄槌
ニムロデは自分を神とした偽宗教を創始し、バベルの塔の建設、都市の要塞化に着手しました。唯一神によって阻止されたあと、宗教体制を強化すべく、母であるセミラミスと結婚しました。
古代の神話に近親相姦が多いのは、単に邪教の連中だからです。「遺伝学上、障害者が生まれる可能性が高いから」というのは、「昔の人はアホ」という固定観念に基づいた説です。近親婚はふつうに不自然ですし、障害者が多く生まれはじめたら(やめたい人は)やめます。

ニムロデとセミラミスの信者たちは、オカルトに深くのめり込み、公然と邪神崇拝を行っていました。サタンにとってはいい時代です。
キリスト教徒は、こういった唯一神への反抗を、「サタンに利用されている」などといいます。裏で糸を引く邪悪な存在で、ニムロデもセミラミスもサタンによって堕落した、と考えるわけです。
信者たちは邪神(サタン)のために、赤ん坊を生贄に捧げていました。魔術には生贄と血は欠かせません。現代の科学者のように拷問し、苦痛を与え、血を抜き、殺します。
退役軍人救済団体と称する退役軍人省は、猫の頭蓋骨に穴を開け、肛門に「人工便」を押し込み、膀胱に電気ショック装置を取り付けていました。これが現代の邪教崇拝です。一般には「科学」と呼ばれています。
ノアの子で正義の人セムは、邪教の蔓延に心を痛めていました。そこでニムロデを殺し、体をバラバラにして各地に送りつけました。邪教を崇拝したらこうなるぞ、という戒めのためです。
ただし、セムが使った武器は言葉です。暴力ではありません。
エジプトの冥界の神オシリスも、体をバラバラにされ、世界中にばらまかれました。
当時のエジプトの司法制度では、死罪が宣告された場合、遺体を埋葬すべきかどうかを決定しました。重罪の場合は埋葬しません。
つまりセムは、言葉で訴え、納得させ、ニムロデ=オシリスを処刑させたのです。
士師記の十九章にはこうあります。
かれは自分の家に戻ると、刀を取り、その妾を捕らえ、その骨とともに十二に断ち、イスラエルの全沿岸に送った。
あるレビ人がエルサレムで老人の家に泊まったのですが、地元のホモ集団がやってきて、レビ人をよこせと騒ぎました。レビ人は泊めてくれた老人を思ってか、自分の妾を外に放り出します。一晩中レイプが行われたあと、レビ人は妾と家に帰り、妾をバラバラにしました。どれだけ恐ろしい罪が行なわれたかを知らせるためです。
邪教のレシピ
ニムロデの死後、唯一神への信仰が取り戻され、セミラミスと邪教の信徒は地下に潜りました。
今日までつづく神秘宗教はここから発展しました。体裁を繕い、裏でこっそり邪神(サタン)を崇拝するテクニックです。
秘密結社はさまざまなシンボルやサインを用いますが、自分が入信者であることを暗に伝えるためです。NとYがくっついたシンボルを身に着けていれば、ニューヨーク・ヤンキースのファンだとわかります。
セミラミスは、邪教を新しい形で復活させる方法を思いつきました。ニムロデの死後、セミラミスは息子のタンムズを産みます(息子の息子です)。

そこでセミラミスは、ニムロデは死んだあと太陽に昇り、その光が自分の元にやってきて子を孕ませ、太陽神の生まれ変わりとして戻ってきたのだ、と主張しました。
創世記三章にはこのような「予言」が記されています。
そして、わたしは、おまえ(エヴァを騙した蛇)と女(蛇に騙されたエヴァ)とのあいだ、およびおまえの子孫とその子孫とのあいだに敵意を置く。それはおまえ(蛇)の頭を打ち、おまえはその(エヴァ)かかとを砕くであろう。
これは邪神(サタン)と人類との永遠の戦いをあらわしています。エヴァは蛇の誘惑に負け、果実を食べ、罪を犯しました。
エヴァの子孫がいずれ蛇の頭を踏んづける(サタンをやっつける)のですが、この子孫は全人類を代表する個人、つまり救世主(メシア)です。創世記の時点ですでにキリストの到来を予言していたわけです。
救世主もかかとを砕かれるので、相打ちです。
ギリシャ神話のアキレスは、かかとだけは不死身にならず、弓で射られて重傷を負いました。

ヒンドゥー教のクリシュナも蛇を踏みつぶしました。そして足の裏を矢で射られて死にました。
イエス・キリストは磔になって死んだのですが、三日後に蘇り、血の償いによって全人類の罪を洗い流しました。
当時のバビロンの人々も、このくだりを知っていました。メシアがあらわれ、(相打ちになって)悪を滅ぼし、人類を救うという設定です。
なのでセミラミスは、ニムロデとタンムズにこの設定を当てはめました。ニムロデ(救世主)の悲劇的な死によってわれわれは世界の呪いから解放されたのだ!というわけです。七転び八起きです。
ニムロデはエチオピア生まれなので、当然黒人です。当時は「唯一神はイヤだけど黒人は崇拝したくねえな」という人もいたはずです。
ですが、生まれ変わりのタンムズは超自然的に妊娠してできた子なので、黒くありません。
セミラミスは放縦で淫乱な生活を送っていて、男前の兵士を呼びつけてはやりまくっていました。
ニムロデは「超自然的な力」によって、タンムズとして白く生まれ変わったのです。
当のニムロデは黒人だったので、以後寂しいことに神としての評判を落としていきます。
秘儀のカラクリ
秘儀は信徒を集めるテクニックです。文字どおり秘密のサークルなので、希望者はこっそり入信します。
入信希望者は懺悔し、誓いを立てたあと、ある場所で驚くべき体験をします。光、輝く炎、恐ろしい幻影などを見、雷と稲妻、恐ろしい咆哮などを聞きました。
その後、おびえる入信者の前に、偉大な神が優しい姿であらわれます。入信者はほっと安心します。
これは恐ろしい魔術、ではなく、ただのトリックです。スライド映写機のような機械を用いてビジョンを見せたわけです。


雷などの効果音も、いかようにもできたでしょう。舞台裏には祭司が潜み、イケボで語りかけたりします。
このペテンぶり、このチンケさが、集団宗教の本質です。祭司は信者を騙すために必死なので、邪神崇拝をひた隠しにするために、テクノロジーや思想、ややこしい教義、神話などが発達するのです。
自分も神になる
セミラミスは今度は、自分の魂は月であり、ニムロデがすでに太陽の中にいるように、自分も死んだら月の中に住むのだ、と言い出しました。
そして自分は「天の女王」であり、そのように崇拝されるべきだと宣言しました。
エレミヤ書の七章にはこうあります。
あなたは、かれらがユダの町々やエルサレムの通りでしていることを見ないのか。子供たちはたきぎを集め、父たちは火を焚き、女たちは粉をこね、パンをつくって天の女王に供える。またかれらはほかの神々の前に酒を注ぎ、わたし(唯一神)を怒らせる。
そしてレア(女神)とニン(母と子)という名前で母子崇拝がはじまりました。表向きは美しい関係なので、熱狂的に崇拝されました。母子の偶像はあらゆるところにあったそうです。
邪教崇拝が広まるにつれ、世は乱れ、カジュアルセックスが横行し、多くの孤児が生まれます。子を抱く母というイメージは、まさに聖母マリア的に、その孤児たちの共感を得るという仕組みでもありました。
母の腕に抱かれた子供は「エヴァの子」というイメージそのものなので、タンムズはメシアとして完璧です。
ですが次第に母親のほうが人気になっていきます。

セミラミスは「超自然的な力」でタンムズを授かったので、処女です。いくらやりまくっていたとしても処女です。
はじめはメシアを抱く脇役だったのですが、処女(乙女)であり優しい母親というイメージは美しいので、やはり崇拝したくなります。ローマ教会も聖母マリア崇敬を積極的に認め、マリア聖堂なるものまでこしらえました。
キリスト教にはこのようにいろいろと不可解な点があるのですが、難しく考えることはなく、単にローマ教会が邪教のテクニックを取り入れただけです。人気を取るなら女です。
セミラミスの死後、崇拝者たちは絵画や彫刻でセミラミスの美しさを称え、どんどん神聖化していきます。いつの時代も信者獲得は最優先です。
やがてセミラミスはアスタルトと呼ばれるようになり、宣言どおり月のシンボルになりました。
すべての母の母、豊穣の女神とされ、エジプトではイシスとして知られています。古代メソポタミアで崇拝されたイシュタルとも同一視されます。

現代の英語ではイースターといいます。
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