5.邪教の誕生②
前回は、邪教の祖、伝説の女セミラミスは実在したのか、というところで終わりました。
セミラミスは実在したのか
小アジア(現在のトルコ)のフリギアには、大地母神キュベレーがいました。

同じ小アジアのエペソスにはアルテミスという女神がいました。
どちらも人の生贄を要求する残虐な神で、いいか悪いかといわれると、悪い女たちです。
現在のわたしたちも、ハリウッドのセレブやアイドルなどの女神を崇拝しています。難しいことを考えなくても、美しい女神様のほうがむさ苦しい男よりキャッチーです。
そして邪教の人たちは、信徒獲得のため、詩や彫刻や絵画や映画などで美しさ、偉大さを称え、崇拝の存在として強化していきます。
さらに信徒が欲しくなったら、性欲を煽ります。堕落させるほうが簡単に信徒を獲得できるからです。

女性は本質的にこのような性質があるので、女神崇拝は(悪意がなかったとしても)堕落します。
また、神に女性を選ぶ時点ですでに意図的です。アイドルにエロい格好をさせないプロデューサーはプロ失格です。
そして必ず、女神崇拝のルーツは存在します。なにごとにもはじめがあります。

キュベレーは、城塞都市のミニチュアのようなものを頭に乗せています。
都市を壁で囲み、塔を建てた記念からではないでしょうか。女性の頭に都市を乗せようという発想はなかなか出てきません。
このキュベレーの原作者は、はじめて都市と城壁を建設したほかの女神を参考にしたのかもしれません。そうでなければ、キュベレーが城塞都市の創始者です。
なので、はじめて都市を城壁で囲んだだれか(女性)は必ずいるはずなのです。
ニムロデは世界最初の王で、バベルの塔を建てようとしました。都市を建設し、城壁で囲もうとしましたが、建設は中止になりました。
創世記十一章にはこうあります。
それで主は、かれらをそこから全地に散らされた。かれらは(よそで)都を建てるために立ち去った。
伝承によると、セミラミスはニムロデの死後女王として君臨し、バビロンを完成させました。
セミラミスは、アッシリアの王ニノスの妻で、ニノスは一部の人たちからニムロデと同一視されているのですが、ニノスもまた伝説的な人物だ、という話を前回しました。
ニノス(ニムロデ)の死後、セミラミスは、ニネヴェからそう遠くない場所に、広大な都市を建設することにしました。これがバビロンです。

紀元前一世紀の古代ギリシャの歴史家、シケリアのディオドロスによると、セミラミスはこの仕事を完成させるために、約二百万人の労働者を雇ったという話です。
城壁の周囲だけで六十六キロあり、幅は馬具をつけた戦車6台が並走できるほど広く、二百五十もの塔で守られていました。
都市の中央にはユーフラテス川が流れているのですが、セミラミスは全長九百メートルの橋を渡しました。橋の両端には王妃の居城と城があり、川の下の地下通路で結ばれていました。
偉業です。頭に都市を乗せたくもなります。
ダニエル書の十一章にはこうあります。
かれはこれらの者の代わりに、要塞の神をあがめる。金、銀、宝石、および宝物をもって、その先祖たちの知らなかった神をあがめる。
エフェソスのディアナも頭に要塞を乗せています。

ニムロデが人気だった理由
ニムロデの時代は大洪水の数世紀後なので、人口が乏しく、人類よりも森の野獣のほうが急速に増えていたようです。人々は大変な恐怖を感じていたことでしょう。
出エジプト記の二十三章にはこうあります。
わたしはあなたの先にクマバチを遣わし、ヒビ人、カナン人、ヘテ人をあなたの前から追い払う。しかし、わたしはかれらを一年のうちは、あなたの前から追い払わない。その地が荒れ果て、野の獣があなたに対して増えることのないように。
カナンはのちほど出てきますが、ハムの息子で、ノアに呪われた悪い人です。カナン人というのはカナンの子孫たちで、悪い人たちです。
悪い人たちなのに「一年は追い出さない」と唯一神が告げたのは、当時ののっぴきならない状況をあらわしているのではないでしょうか。森の野獣はオオカミやイノシシだけでなく、ヒョウやライオンも含まれます。とりあえず夜は出歩けません。
なのでライオンなどを倒してくれる「力強い狩人」は、英雄です。ライオンを従えている彫刻などがよくありますが、このような事情から来ています。
バビロンの宮殿には、夫婦でライオンを狩るレリーフがあります。

セミラミスは美しいだけでなく、戦に赴く戦士であり、建築家であり、優れた軍事戦略家でもありました。
ニムロデは暴君で、家父長制を廃し、民を抑圧していました。ですがやはり身の安全が第一です。世界ではじめて城壁を建設しはじめたのですから、民からの人気は絶大だったでしょう。
邪悪な婚姻
ニムロデは「主の御前に立つ」男なので、これだけでは終わりません。大洪水を引き起こし、民に森の野獣などを与えた神は、できれば玉座から退いてもらいたいものです。
なので唯一神の恐怖からの解放も着手しました。
チグリス・ユーフラテス地域に王国を築いたあと、ニムロデは父のクシュとともに、邪悪な偽宗教で世界を支配するための青写真をこしらえます。
ニムロデは自分自身を神とし、民に崇拝させました。宗教体制の中には悪魔崇拝と星崇拝も含まれていて、ニムロデがとくに重視していたのが占星術です。バベルの塔の頂上には天文台が設置されていました。
この占星術はまっとうな原始占星術ではなく、堕落した占星術です。魔術であり科学です。
ギリシャ神話の人物に、ポロネウスという人がいます。

ポロネウスは最初の王、または最初の人間だった、といわれています。一つの言語を話していた時代の人で、明らかにニムロデです。
また、偶像崇拝をし、生贄を捧げた最初の人物ともいわれています。
ポロネウスは「背教者」という意味です。「自由にする」という意味もあります。そのため、信者たちはこの名前を採用し、ニムロデを偉大な「解放者」として称えました。
唯一神は、ニムロデの信者たちが一つの宗教(ニムロデ崇拝)と一つの帝国を望んだので、人の子の言葉を乱し、世界各地に散らしました。そのためバベルの塔と町の建設は中止になりました。
するとニムロデは、宗教体制を強化すべく、セミラミスと結婚しました。
アッシリアの王ニノスは、「子」という意味です。ニノスはセミラミスの子と呼ばれることもあり、夫と呼ばれることもありました。古代史の研究家は混乱したようです。
ニムロデは母と結婚したのです。
ここから「母と子」という奇妙な崇拝体系が生み出されました。キュベレーの愛人も息子のアッティスです。オシリスも「母の夫である息子」として、母(イシス)に抱かれた子供として表現されました。

ヴィーナスと狩人アドニス、もちろん幼子イエスを抱く聖母マリアも、ここがルーツです。
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