そうだ、私は花だった。【物語のエッセイ#04】
夫が愛を告白してくれた日、手に小さな花を持っていた。
後日「なんでわざわざ花をくれたの?」と聞くと、私の親友・Tからのアドバイスだったらしい。
「舞にプレゼント?ほんなら絶対に花やで。アイツには花渡しとき~」。
(こんな言い方をしていたと聞いたおぼえがある。ちゃうかったらごめん、T)。
付き合い始めて最初の頃、私はまるで自分がお花になったみたいだった。
温かい部屋で大切に水を与えれて、手のひらの中で愛でてもらう。そんな感じですごしていた。
先日、結婚してから7周年を迎えた。恋人だった期間よりも、結婚生活の方が長くなった。私はお花ではいられなくなり、生活を回す二の腕はたくましくなった。
息子に「ママは素敵だからお花になれば?」と言われた時、胸が震えてどうにかなりそうだったのを覚えている。
今、私のお花はこの子であり、むしろこの子はまだ芽も出てないような小さな種で、大切に育てているところだ。
どうしてこの話をしたかというと、メンバーシップ「Lien」でご一緒している橘ゆずさんの選書を受けたからだ。
ゆずさんがnoteを読んでくださり、それぞれにぴったりの本を選んでくれる。
私自身、選書マイスターの資格取得に向けて勉強しているので、自分が本を選んでもらう経験をしてみたかった。そこでお願いすることにしたのだ。
ゆずさんは、私に以下の3冊を選んでくださった。
1.梨木香歩『裏庭』
2.ダニエル・キース『アルジャーノンに花束を』
3.山下幸久『花屋さんが言うことには』
選書リストには、ゆずさんからの選書理由が添えられている。最初は何も考えず、うきうきでリストに目を通していた。でも、ゆずさんからのメッセージを読んでいくうちに気がついたのだ。この3冊、ぜんぶ「花」だ、と。
プロフのお写真も華があって!ご自身のやりたいことにもまっすぐで、読書会を主催したり、本のnote記事をアップされたり。書店にてこの本を見つけ、この本はぜひ舞さんへ!とぴんときました。(あ、アルジャーノンもそうですが花に寄っていますね…)
久しぶりに、人様から「花」と言っていただけた感覚に、頭がぐわんぐわんするほどの衝撃だった。そうだ、私は「花」だったのだ。
夫に愛されたから花になった?ううん、そうじゃない。そのずっと前から花だった。
自分にはバラが似合うと思っていた(なんという自信!若かったね~)し。
衣裳さんに相談を受けた時、バラを入れてくださいと頼んだこともあった。
ファンからの花束には、バラをリクエストしていた。
ああ、忘れていた~。そうだそうだ、私はバラだったんだ。
なんだか妙に目の前がクリアになって、うきうきと踊り出したい気持ちになった。
ゆずさん、すごい。忘れていた自分に、また出会わせてくれた感じ。
でも、1冊目に梨木香歩『裏庭』が入っているのに注目したい。
ここで咲く花は、「花束」とか「鉢植え」にお行儀よくおさまった花ではないはずだ。
庭にはありとあらゆる植物が息づいている。そこで咲き誇る花は、ただきれいなだけじゃなくて、もっと野性味あふれる、ある種のしたたかさを持っている。
今の私は、裏庭に咲く花になりかけている。
誰かにお世話してもらい、美しさを保つ時期はもうすぎた。
根から水を吸って、有象無象の中で自分の力で咲き誇る。そんな「裏庭」の花になりたい。
ゆずさん、ありがとうございます。
本を選んでもらって、思いがけないプレゼントをたくさんもらいました。
この記事を書いた人:
✍️元舞台俳優、今はライター
✍️愛する夫、息子(もうすぐ4歳)との日々
✍️本を読むのが死ぬほど好き
✍️趣味で小説書くのがストレス解消法
✍️物語が人生最初の友達でした
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