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【油絵日記】15cmのキャンバスに描いた「言葉にできない想い」。初めての油絵で見つけた新しい自分

はじめに

最近、自分の中で「言葉を介さない表現」への渇望が静かに、でも確実に膨らんでいます。

きっかけは、現在進行している「ユースコーチ」の活動を通じた出会いです。日本画家の石田さんや、染織作家のむらたさんをはじめとするアーティストの方々と接する機会が増え、彼らの作品や思考に触れるたび、「芸術の持つ圧倒的な力」を肌で感じるようになりました。

「自分の中にある抽象的な感情を、そのまま色として置いてみたい」

そんな衝動に突き動かされ、気がつくと私はAmazonで油絵のセットをポチっていました。



①きっかけ:数十年越しの伏線と、アーティストたちとの対話

実を言うと、油絵への興味は昨日今日始まったものではありません。

中学生か高校生の頃、父親に連れられて「ゴッホ展」に行ったことがあります。そこで初めて本物の油絵を目の当たりにし、そのうねるような筆致と圧倒的な色彩に心を奪われました。「いつか自分でも描いてみたいな」と、その時にぼんやりと思った記憶が、心の奥底にずっと眠っていたのです。

大人になり、Youth Coachを通じてプロの表現者と対話する中で、その記憶が鮮明に蘇ってきました。石田さんやむらたさんが持つ「正解のない問いに向き合い続ける力」。感性と理論は別物であると考えていた私にとって、感性と理論を兼ね備えて戦う彼らは非常に大きな刺激となりました。

「あの時ゴッホを見て感じた衝撃を、今の自分ならどう表現するだろうか」

その好奇心が、私をキャンバスへと向かわせました。


②準備:YouTubeも眺めず、何もわからぬまま飛び込む

さて、「描こう!」と決めたものの、私は全くの素人です。

「勉強してから……」なんて言っていると、いつまでも筆を持てない気がしたので、「何もわからないけれど、まずはやってみよう」とYouTubeすら開かずに書き始めることにしました。

用意したのは、以下のシンプルな道具たちです。

【今回の画材リスト】

・初心者用油絵セット

・小さなキャンバス(15cm四方)

大きなキャンバスを前にすると、「何か立派なものを描かなければ」と身構えてしまいますが、この15cmという「小さな世界」なら、失敗を恐れずに飛び込める気がしました。本格的なイーゼルなどは使わず、ダイニングテーブルの上に新聞紙を広げ、キャンバスを直接置いて描き始めるという、実にラフなスタイルです。

油絵具特有の、あの少しツンとしたオイルの香りと、バターのように重厚な質感。チューブから色を出すだけで、心の中のスイッチがカチリと切り替わる感覚がありました。


③制作:隣には「小さな巨匠」がいた

私がテーブルで準備をしていると、5歳の娘がトコトコとやってきました。

「パパ、なにしてるの? 私もやりたい!」

というわけで、急遽、父娘並んでの「週末アート教室」がスタートしました。娘はいつもの水彩絵の具を使い、私と同じサイズの小さなキャンバスに向き合います。

YouTubeを見ても結局よくわからず、手探りで色を混ぜ、厚塗りを試みる私の横で、彼女は迷いなく筆を動かしていきます。さらさらと描かれたのは、鮮やかな赤のトマトと、オレンジの人参

「できた! ほら、可愛いでしょ?」

そう言って見せてくれた彼女の作品は、屈託のない生命力に溢れていました。隣で唸りながら「正解」を探していた私は、「ああ、表現って本来こういう自由なものだったな」と、小さな巨匠から大切なことを教わった気がします。


④体験:油絵が教えてくれた「寛容さ」

知識ゼロで描き始めた油絵でしたが、実際に筆を動かしてみると、その魅力にどっぷりと浸かってしまいました。

最も衝撃を受けたのは、「やり直しができる」という寛容さでした。

水彩画は一度塗ると修正が難しいですが、油絵は上から色を重ねることで、前の色を隠したり、混ぜ合わせたりすることができます。この「塗り重ねる」という工程が、コーチングで対話を重ねながら深層心理に近づいていく過程と重なり、不思議な心地よさを感じました。

言葉では説明できない、グラデーションの絶妙な境界線。

混ぜすぎて少し濁ってしまったけれど、それが逆に深みとなった色。

15cmのキャンバスを埋めるのに1時間以上かかりましたが、その間はスマホの通知も、投資のチャートも、仕事の悩みも、すべてが意識の外に追いやられていました。ただ目の前の色が混ざり合う瞬間に集中する時間は、ある種の深い瞑想のようでもありました。

そうして描き上がったのが、この作品です。

写真:「非常口」

技術的に拙なく、自己満足の域にも達していませんが、この深い緑の重なりの中に、今の自分が感じている「油絵への憧れ」を込めることができた気がします。

次描くときはもう少し大胆に絵の具を乗せてみたいと思います。


⑤結論:芸術は、自分を取り戻すための儀式

初めての油絵を終えて、今、心地よい疲労感の中にいます。

正直に言って、出来上がった作品が「上手い」かどうかと言われれば、首を傾げざるを得ません。しかし、「初めての油絵だったけれど、とても楽しかった。これからも続けたい」。これだけは断言できます。

芸術家の皆さまが日々向き合っている世界の入り口に、ほんの少しだけ指先を触れさせてもらったような、そんな高揚感があります。

これからも定期的に、この15cmのキャンバスに向き合う時間を作りたいと思います。論理的な思考も大切ですが、言葉にできない「何か」をそのまま受け入れるためのアートの時間は、私にとって欠かせない「心の栄養」になりそうです。


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