食べたバナナの本数は忘れても、今日の肯定感は残ってる。
「今日で何本目のバナナなんだろうか。」
ふと、残り1本の朝バナナを食べながらそう思った。
いつものように、昨日の夜準備したジャージに着替えて家を出る。
「ちょっと、雲があるな。急ごう。」
耳にワイヤレスイヤホンを入れ、音楽アプリを押す
サカナクションの「怪獣」を今日の一曲目にした。
退職を上司に報告した次の日から、早朝ランを新しいルーティンにした。
会社に出社することがルーティンだったが、やはりいつもの時間に
目が覚めてしまう。
二度寝も休暇中最初の方は良かったが、なんかしていないと
気持ちが悪かった。
家から出て直ぐの公園ではなく、700m先の公園に行く。
軽く肩を回したり、途中信号待ちで足を伸ばしたりしてる間につく。
先の公園には、トラックがあり、地面には距離数が書かれている。
何周走ったら、何キロ走ったかわかりやすいのでここに来ている。
1周420メートル ちょっと微妙な距離である。
「今日は、10周か。 いけるかな。」
昨日は9周だった。1日1周ずつ増やしながら走っている。
日々記録更新!とゲーム感覚でやれば持続するのではないか。
もう一回、那覇マラソンを走り切りたい。
この2点のみ心に誓い、走っている。
「はぁ、はぁ、はぁ、、、、 」
自分の呼吸が荒くなってくる。
「あれ、何周目だったけ。」
7、8? 公園の時計を見た、けどわからん。
次からは、ペンも持ってこよう。手のひらに正を書いて。
違う、タイムラップ機能をアイフォンで周回ごとに押して。
いやだ、めんどくさい。
もういい。あと2周走ったら終わり。もう、それでいい。
ふと、トラック中央の芝生を見ると知らないおばさまとワンちゃん。
「待て!・・・・・・・・よし!」
「ちゃんとできてえらいね〜。」
⁉️
何周走ったか分からなくなって、足も頭もフラフラしている私に
おばさまの毅然とした「待て」からの「よし」
褒める時、全力の「ちゃんとできてえらいね〜。」
そのしっかり躾けられたワンちゃんの一連の動作を見て感心すると同時に
一瞬で勝手に脳で変換され、私は私を褒め始めていた。
脳ではこう変換されていた。
「よし、ちゃんとできてえらいね」
「インベス、毎日えらいね」
「インベス、ちゃんと走りが継続してるじゃないか、えらいね。」
「インベス、1日1日進化してるじゃないか、えらいね。」
「よし、インベス。そのまま思うように突き進め。行けー。」
その後、「インベス全肯定」の言葉が脳内を吹き荒れる。
ランニングハイという言葉がある。それが今なのかもしれない。
きっとそうだ。間違いない。
高揚感と肯定感。すごくいい。
おそらく8周目。に現れた。
敏腕ブリーダーとランニングの神様。
んなアホかと思った。
でも、それでいいと笑えた。
内心、朝「だるいなぁ。」と思っていた。
雨が降ったらやめちゃうかもな。とも思ってた。
何周走ったか忘れても、
食べたバナナの本数を忘れても、
明日の朝、やっぱり「だるい」と思っても、
今日の肯定感は残ってる。
なんか、続けられそうな気がする。
全く都合のいいもんである。
そんなことを思いながら、残りわずか。
「はぁ、はぁ、はぁ、 ゴール。」
今日一日、もうこれで終わっていい。
芝生を見るとしつけ中のおばさまとワンちゃん。
おやつを美味しそうに食べている。
「ありがとうございました。」
心の中で一礼して、公園を出た。
風が吹いていた。とても気持ちいい。
「明日は、田園にしよう。」
